186 / 428
前世編
第64話:犬を拾った猫人
しおりを挟む
校庭には体格の良い猫人たちが集まっていた。
集団の中から頭が出るくらい、特に大柄な茶トラがチャデとすぐ分る。
「おかえり、チャデ!」
クロエが駆け寄るとチャデは体を屈めて、頭と頭を軽くコツンと突き合わせる。
それは、猫人たちの特に親しい間柄での挨拶だ。
互いに微笑むように目を細めて愛情表現頭突きをし合った後、クロエはチャデの近くにいた小柄で青い毛並みの仔猫人に気付いた。
「アズもお帰り。その生き物はなぁに?」
黒いフサフサした生き物が、アズの腕の中にいる。
ウルフ系の獣の子供かな?
「雪狼の子供だよ」
「え? こんな真っ黒な仔が?」
クロエは自分の毛並みと同じ、漆黒の毛色を見て首を傾げた。
雪狼はその名の通り、雪のように真っ白い狼だ。
「珍しいから、動植物学部の人にあげようと思って拾ってきたんだ」
「ほんと珍しいよな。黒い雪狼なんて初めて見たぞ」
チャデも会話に加わる。
「もふもふで可愛い……けど、目付き悪いな」
エカも仔犬を覗き込んだ。
仔犬が目を開けると、緑の吊り目でジロッと睨む。
「ガルルル!」
「っと、意外と凶暴?!」
仔犬、目付き悪いと言われて怒ったかも?
唸り声を上げて口を開け、小さい牙を見せた。
「こら、いい子にしてろよ」
エカが噛まれそうになるのを、アズが首の後ろをつかんで阻止する。
仔犬は、渋々という感じで大人しくなった。
「アズは、噛まれないの?」
「うん。俺はこういうの全部回避しちゃうからね」
凶暴と聞いてエカの後ろに下がりながら、ソナが聞いた。
大人しくなった仔犬を抱き直して、アズは平然としている。
多分、学園に帰るまでに、何度か噛もうとしてはスカッたんだろうね。
仔犬は観念したような顔してるよ。
「【完全回避】だったか? ドラゴンの爪もブレスも当たらないとか、ワケが分からなかったぜ」
チャデが豪快に笑いながら言った。
【完全回避】は神の贈り物の一種で、同じ時代には他に持つ者がいないユニークスキルだ。
たとえ至近距離で爪を振るわれても、ドラゴンブレスを浴びせられても、アズには一切当たらない。
「ってチャデたち、何を狩ってきたの?」
クロエが問う。
もう何を狩ったか分った気がするけどね。
「大物だぜ。あれだ」
「にゃっ?!」
クロエのシッポが、ブワッと膨らむ。
エカが、鼻の穴広げて真顔になる。
いつもならエカの頬をつついて我に返らせるソナも、ビックリして固まった。
「ね? 凄いでしょ?」
マリンが苦笑して同意を求める。
得意気にチャデが指差す方には、トカゲを巨大化して背中にコウモリの羽を付けたような生き物、ドラゴンが転がされていた。
集団の中から頭が出るくらい、特に大柄な茶トラがチャデとすぐ分る。
「おかえり、チャデ!」
クロエが駆け寄るとチャデは体を屈めて、頭と頭を軽くコツンと突き合わせる。
それは、猫人たちの特に親しい間柄での挨拶だ。
互いに微笑むように目を細めて愛情表現頭突きをし合った後、クロエはチャデの近くにいた小柄で青い毛並みの仔猫人に気付いた。
「アズもお帰り。その生き物はなぁに?」
黒いフサフサした生き物が、アズの腕の中にいる。
ウルフ系の獣の子供かな?
「雪狼の子供だよ」
「え? こんな真っ黒な仔が?」
クロエは自分の毛並みと同じ、漆黒の毛色を見て首を傾げた。
雪狼はその名の通り、雪のように真っ白い狼だ。
「珍しいから、動植物学部の人にあげようと思って拾ってきたんだ」
「ほんと珍しいよな。黒い雪狼なんて初めて見たぞ」
チャデも会話に加わる。
「もふもふで可愛い……けど、目付き悪いな」
エカも仔犬を覗き込んだ。
仔犬が目を開けると、緑の吊り目でジロッと睨む。
「ガルルル!」
「っと、意外と凶暴?!」
仔犬、目付き悪いと言われて怒ったかも?
唸り声を上げて口を開け、小さい牙を見せた。
「こら、いい子にしてろよ」
エカが噛まれそうになるのを、アズが首の後ろをつかんで阻止する。
仔犬は、渋々という感じで大人しくなった。
「アズは、噛まれないの?」
「うん。俺はこういうの全部回避しちゃうからね」
凶暴と聞いてエカの後ろに下がりながら、ソナが聞いた。
大人しくなった仔犬を抱き直して、アズは平然としている。
多分、学園に帰るまでに、何度か噛もうとしてはスカッたんだろうね。
仔犬は観念したような顔してるよ。
「【完全回避】だったか? ドラゴンの爪もブレスも当たらないとか、ワケが分からなかったぜ」
チャデが豪快に笑いながら言った。
【完全回避】は神の贈り物の一種で、同じ時代には他に持つ者がいないユニークスキルだ。
たとえ至近距離で爪を振るわれても、ドラゴンブレスを浴びせられても、アズには一切当たらない。
「ってチャデたち、何を狩ってきたの?」
クロエが問う。
もう何を狩ったか分った気がするけどね。
「大物だぜ。あれだ」
「にゃっ?!」
クロエのシッポが、ブワッと膨らむ。
エカが、鼻の穴広げて真顔になる。
いつもならエカの頬をつついて我に返らせるソナも、ビックリして固まった。
「ね? 凄いでしょ?」
マリンが苦笑して同意を求める。
得意気にチャデが指差す方には、トカゲを巨大化して背中にコウモリの羽を付けたような生き物、ドラゴンが転がされていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。
音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、
幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。
魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。
そして再び出会う幼馴染。
彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。
もういい。
密かにやってた支援も打ち切る。
俺以外にも魔道具職人はいるさ。
落ちぶれて行く追放したパーティ。
俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる