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初めての写真撮影
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話も大体終え、行く当てのない俺はヴェルネについて行くことにした。
「ついて来るのはいいけど、命の保証はしないからね」
「しゃーない。情報収集は時に命を懸けないといけない時もあるからな」
「どんな人生を送ったらそんな価値観になるのよ……」
呆れ気味に言うヴェルネ。
するとこちらに近付く気配を察知した。人間じゃないものだ。
ヴェルネも人間じゃないというが、気配は人間に近いものを感じるから魔族のものでもないだろう。
「ヴェルネ、ここら辺に魔族以外の種族は?」
「いないわよ。なんで?」
「んじゃ敵ってことでいいのか、アイツは」
「アイツって……」
俺が「ソレ」に視線を向け、ヴェルネも追うように森の中へと俺から視線を移す。
そこにいたのは頭が二つ付いている奇妙な生物がゆっくりこっちに向かって来ていた。
中々体格が良く、ゾンビものの映画に出てくる変異種みたいな見た目だ。
そして二つある顔はどちらもうめき声を漏らしながらヨダレを垂らして、明らかに正常じゃないのがわかる。
うん、アレは敵だわ。敵じゃなかったらこの世界が信じられなくなりそう。
「まぁ、敵ね」
ヴェルネがただ一言それだけ言うと、突然地面から尖った氷塊が一瞬で飛び出し、ソイツは串刺しにされてしまう。
「……マジか。さっきもそうだったけど、何も無いところから氷が飛び出すってマジックかよ」
その生物のドロリとした赤い血が氷塊を伝って垂れ流される光景を見て出てきた感想はそんなものだった。
だがそれは事実、正真正銘の魔法なのだろう。まぁ、何かしらの種はあるんだとは思うが。
「……あっ」
「今度は何よ……?」
もう面倒事はやめてと言わんばかりに顔を歪めて聞いてくるヴェルネ。今までのだって俺のせいじゃないんだけどな?
それはそれとして俺は自分のポケットの中にスマホが入っていたことを思い出した。
それを取り出して画面を表示する。
「……何それ?」
「俺の世界の便利な文明機器。ここじゃあまり役に立たないみたいだが……」
スマホ画面右上に表示されてるアンテナのところには「圏外」と表示されていて通話もネットにも繋がっていない状態だ。
しかし単純に単体の機能としては使えるものがいくつかあるはずだ。
ひとまずはカメラモードをオンにして変な生物が串刺しになっている絵面を撮る。
「はい、カシャリと」
――カシャ
カメラ独特の音を出して写真が撮られ、綺麗な串刺し絵が保存される。よし、機能は問題無く使えてるな。
「……何したのよ」
ヴェルネが好奇心旺盛な猫のようにスマホを覗き込もうとしてくる。
「これが使えるか試しに写真を撮ったんだよ。ほれ」
たった今撮った写真を画面いっぱいに表示して見せてみる。
するとヴェルネは目を丸くして驚いた表情になった。
「嘘でしょ……何よ、この絵は!? まるで風景をそのまま切り取ったみたいじゃない!」
「それが写真だからな。いや~、でも最近のスマホはさらに性能が良くなってるから尚更綺麗に写るんだな。基本通話にしか使わなかったから知らんかった」
依頼を受けてる家族との連絡以外には使ってなかった無駄に高性能なスマートフォン。
そのスマホの画面からヴェルネへと視線を移す。
ヴェルネは「何よ『すまほ』って……そんなの知らないわよ……!」とブツブツ呟いて俺の視線には気付いていない。
……ふむ。
「はい、チーズ」
――カシャ
親指を噛むヴェルネに向けて写真を撮る。
題名「苛立つ青い少女」
カメラの音で気が付いたらしく、ハッと俺と視線が合う。
「……まさか今、それであたしを写した?」
「はっはっは、何のことだ?」
撮ったけど誤魔化す。ただ誤魔化すってことは肯定してるようなもんだからヴェルネにはバレてるだろう。
「何撮ってんのよ、今すぐ消せぇっ!」
俺からスマホを奪おうとヴェルネが叫びながら飛びかかってくる。
えっと、たしかモードの切り替えは……
スマホを操作しながら素早く移動する。
――カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ!
必殺、驚異の十連射である。
「ちょ……気持ち悪い動きをしながら撮んなっ!つーか何よ、その瞬間移動みたいな動き!?」
あらゆる方向角度から彼女の写真を撮る。撮りまくる。
あまり早く動くといくら高性能でもブレると思うから、写真を撮る瞬間だけ止まった。
それでも何枚かはブレてしまったが、大体は綺麗に撮れた。
「くっ……ホント何なのよアンタ!あたしなんかを撮って何が面白いわけ!?」
「ヴェルネは綺麗だし面白いと思うがな。まぁ、それ以前に俺が写真を撮るのは記念にしようと思ってるからだ」
「ッ……!? き、綺麗……って、記念って一体何のよ?」
若干頬が赤くなったヴェルネの疑問に俺はニッと笑って空を見上げる。
こうして見ると地球のどこで見た空とも違う不思議な風景が広がっていた。
「違う世界で色んなところを回った記録……『異世界放浪録』なんてのはどうだ?」
「どうだって……名前なんて勝手にすればいいでしょ。それよりあたしの写真を早く消しなさいよ」
不機嫌に睨んでそう言うヴェルネに、俺は自分なりの最高の笑顔でこう言ってやる。
「やだ!」
「ついて来るのはいいけど、命の保証はしないからね」
「しゃーない。情報収集は時に命を懸けないといけない時もあるからな」
「どんな人生を送ったらそんな価値観になるのよ……」
呆れ気味に言うヴェルネ。
するとこちらに近付く気配を察知した。人間じゃないものだ。
ヴェルネも人間じゃないというが、気配は人間に近いものを感じるから魔族のものでもないだろう。
「ヴェルネ、ここら辺に魔族以外の種族は?」
「いないわよ。なんで?」
「んじゃ敵ってことでいいのか、アイツは」
「アイツって……」
俺が「ソレ」に視線を向け、ヴェルネも追うように森の中へと俺から視線を移す。
そこにいたのは頭が二つ付いている奇妙な生物がゆっくりこっちに向かって来ていた。
中々体格が良く、ゾンビものの映画に出てくる変異種みたいな見た目だ。
そして二つある顔はどちらもうめき声を漏らしながらヨダレを垂らして、明らかに正常じゃないのがわかる。
うん、アレは敵だわ。敵じゃなかったらこの世界が信じられなくなりそう。
「まぁ、敵ね」
ヴェルネがただ一言それだけ言うと、突然地面から尖った氷塊が一瞬で飛び出し、ソイツは串刺しにされてしまう。
「……マジか。さっきもそうだったけど、何も無いところから氷が飛び出すってマジックかよ」
その生物のドロリとした赤い血が氷塊を伝って垂れ流される光景を見て出てきた感想はそんなものだった。
だがそれは事実、正真正銘の魔法なのだろう。まぁ、何かしらの種はあるんだとは思うが。
「……あっ」
「今度は何よ……?」
もう面倒事はやめてと言わんばかりに顔を歪めて聞いてくるヴェルネ。今までのだって俺のせいじゃないんだけどな?
それはそれとして俺は自分のポケットの中にスマホが入っていたことを思い出した。
それを取り出して画面を表示する。
「……何それ?」
「俺の世界の便利な文明機器。ここじゃあまり役に立たないみたいだが……」
スマホ画面右上に表示されてるアンテナのところには「圏外」と表示されていて通話もネットにも繋がっていない状態だ。
しかし単純に単体の機能としては使えるものがいくつかあるはずだ。
ひとまずはカメラモードをオンにして変な生物が串刺しになっている絵面を撮る。
「はい、カシャリと」
――カシャ
カメラ独特の音を出して写真が撮られ、綺麗な串刺し絵が保存される。よし、機能は問題無く使えてるな。
「……何したのよ」
ヴェルネが好奇心旺盛な猫のようにスマホを覗き込もうとしてくる。
「これが使えるか試しに写真を撮ったんだよ。ほれ」
たった今撮った写真を画面いっぱいに表示して見せてみる。
するとヴェルネは目を丸くして驚いた表情になった。
「嘘でしょ……何よ、この絵は!? まるで風景をそのまま切り取ったみたいじゃない!」
「それが写真だからな。いや~、でも最近のスマホはさらに性能が良くなってるから尚更綺麗に写るんだな。基本通話にしか使わなかったから知らんかった」
依頼を受けてる家族との連絡以外には使ってなかった無駄に高性能なスマートフォン。
そのスマホの画面からヴェルネへと視線を移す。
ヴェルネは「何よ『すまほ』って……そんなの知らないわよ……!」とブツブツ呟いて俺の視線には気付いていない。
……ふむ。
「はい、チーズ」
――カシャ
親指を噛むヴェルネに向けて写真を撮る。
題名「苛立つ青い少女」
カメラの音で気が付いたらしく、ハッと俺と視線が合う。
「……まさか今、それであたしを写した?」
「はっはっは、何のことだ?」
撮ったけど誤魔化す。ただ誤魔化すってことは肯定してるようなもんだからヴェルネにはバレてるだろう。
「何撮ってんのよ、今すぐ消せぇっ!」
俺からスマホを奪おうとヴェルネが叫びながら飛びかかってくる。
えっと、たしかモードの切り替えは……
スマホを操作しながら素早く移動する。
――カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ!
必殺、驚異の十連射である。
「ちょ……気持ち悪い動きをしながら撮んなっ!つーか何よ、その瞬間移動みたいな動き!?」
あらゆる方向角度から彼女の写真を撮る。撮りまくる。
あまり早く動くといくら高性能でもブレると思うから、写真を撮る瞬間だけ止まった。
それでも何枚かはブレてしまったが、大体は綺麗に撮れた。
「くっ……ホント何なのよアンタ!あたしなんかを撮って何が面白いわけ!?」
「ヴェルネは綺麗だし面白いと思うがな。まぁ、それ以前に俺が写真を撮るのは記念にしようと思ってるからだ」
「ッ……!? き、綺麗……って、記念って一体何のよ?」
若干頬が赤くなったヴェルネの疑問に俺はニッと笑って空を見上げる。
こうして見ると地球のどこで見た空とも違う不思議な風景が広がっていた。
「違う世界で色んなところを回った記録……『異世界放浪録』なんてのはどうだ?」
「どうだって……名前なんて勝手にすればいいでしょ。それよりあたしの写真を早く消しなさいよ」
不機嫌に睨んでそう言うヴェルネに、俺は自分なりの最高の笑顔でこう言ってやる。
「やだ!」
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