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本当の意味で誰でも使える魔法を
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「どした?」
「そこに書かれてる文字……文字だよな?全く読めないんだが……」
ユースティックが俺のスマホ画面を指差して言う。
文字が読めない……?
「そういえばあんたって元の場所では違う文字を使っていたのよね。それ全部そうなの?」
ヴェルネからそう言われて思い出した。
そうだった、俺がこの世界の文字が読めないのと同様にこの世界の住人も日本語が読めないんだった。
……あれ、つまりそれって――
「もしこのスマホが誰かに奪われても、情報を読み取られる心配がないってことか」
「何それ……それじゃあつまり、その情報を知りたければあんたかこの文字を知ってる奴が翻訳するしかなくて、変なことに使いたい情報を知りたければあんたをどうにかするしかなくて、って……そんなの現実的じゃないじゃない?実質不可能よね」
「しかしそれだけのことができるなら、それで十分商売が成り立つな」
ユースティックがそう言って冗談っぽく笑う。
「金を稼ぐだけなら冒険者だけで十分だけど……まぁ、それも考えてもいいかもな」
「カズが普通の冒険者より稼げてるって言っても、結局は不安定なことに変わりないものね」
仕事になりそうなら一応後々のことを含めて考えといていいだろう。
「それよりそれっぽい魔法あったぞ」
「え、何が?」
俺が何のためにスマホを取り出したのかすでに忘れてしまったらしいヴェルネ。
「魔力が少ない奴でもお手軽に使えるインスタント魔法」
「どんな魔法ですか?」
期待の眼差しを向けてくるミミィ。なんとなく背後に尻尾を振る犬が見えたが気のせいだろう。
「そうだな、上から読み上げてくと――」
「温」……体の温度を僅かに上げる。
「遠眼」……少し遠くが見やすくなる。視力が上がる。
「速脚」……歩行速度が上がる。この魔法は他者にも付与することが可能。
「整呼吸」……呼吸を僅かに整える。これは自分と同時に周囲の者にも効果がある。
「防体」……物理魔法のダメージを僅かに減らす。しかし火傷や痺れなどの状態異常は防げない。
「異常軽減」……状態異常をある程度抑えることができる。回復魔法と併用すると完治しやすい。
「小火」……辺りを照らす小さな光を灯す。ロウソクの火程度。
「流水」……飲める水を放出する。水道。
「弱風」……弱い風を出す。火や水との組み合わせで温風か冷風を出せる。髪を乾かす程度の風圧。
「静電気」……弱めの電気を体に纏う。体内に電気を持つ者同士が触れ合うと互いにピリッとくる。
「砂」……砂。水を混ぜれば泥にもなる。
「瞬光」……一瞬だけ強い光を放つ。目を眩ませることができる(使用者も注意)
「暗目」……触った相手の視界を暗くして奪う。
「――とまぁ、こんな感じか」
「属性のはともかく、他は使えそうなのが多いわね」
「ああ、強化系は得意な魔法適性がなくても使えるから重宝される。だけどなぁ……」
ユースティックが何か引っかかったような言い方をする。
「そもそもの話、その強化系ですら魔力の効率が悪いと言われていて、誰も使おうとしていないから普及していないはずなんだが……それがどうやれば少量の魔力で行使できるんだ?」
ユースティックだけでなく、周囲の全員が期待の眼差しを向けてきていた。なんだか責任重大な気がしてきた……
「『魔力を少なくする方法は全て共通している。魔法を発動時、体から放出される魔力を感覚的に抑えることである。強化魔法を発動する場合、強化する部位へ人差し指などを当てて集中するとやりやすい。やってみ?』……って、最後の誰だコイツ⁉」
突然こちらに語り掛けてくるような馴れ馴れしい言葉が最後に書かれていて思わずツッコミを入れてしまった。なんだこのネットで質問を投げかけたら知らない誰かが回答したみたいな文章は……
「人差し指……あっ、本当だ、少しだけ腕が暖かくなった!しかも魔力が減った感じがない!」
ミミィが聞いたやり方を早速試したらしい。暖かくなったってことは「温」の魔法を使ったのだろう。
するとヴェルネやユースティックたちも試し始める。
「まさか……こんな簡単な方法で……?」
「……あっ、でも指を離すとすぐに元通りになっちまうな」
驚愕するヴェルネと残念そうにするレトナ。もしかして持続力がないのか?
「強化系魔法というのは元々、攻撃するために放つ放出系の魔法と違って魔力を使い続けるものですし、指から魔力を送って強化してるのなら尚更ですから」
なるほど。体の魔力を直接当ててるのと違って指経由で強化系してるわけだから、離せばその効力が無くなるのは当然ということか。
「なら使う時はずっと指先を当ててなきゃダメってことか?」
「いや、指先を当てるやり方はあくまで『慣れるため』らしいから、そのうち指を当てなくても少量の魔力で自己強化ができるようになるってことじゃないか?」
ユースティックの疑問に俺がそうやって答え、俺たちは魔法に関する意見を述べながら試行錯誤をした。
こうやってると学生時代を少し思い出す。その時の俺は目立つことはせず、普通にクラスの奴らと会話するくらいには仲が良かったなぁ……なんて。
まぁ、特別思い入れがあるような思い出はないんですけども。運動会のような行事は参加しなかったし、大抵は「家の用事」って言って逃げていたしな。
……そう考えると俺ってロクな青春時代を送ってない気がする。
「そこに書かれてる文字……文字だよな?全く読めないんだが……」
ユースティックが俺のスマホ画面を指差して言う。
文字が読めない……?
「そういえばあんたって元の場所では違う文字を使っていたのよね。それ全部そうなの?」
ヴェルネからそう言われて思い出した。
そうだった、俺がこの世界の文字が読めないのと同様にこの世界の住人も日本語が読めないんだった。
……あれ、つまりそれって――
「もしこのスマホが誰かに奪われても、情報を読み取られる心配がないってことか」
「何それ……それじゃあつまり、その情報を知りたければあんたかこの文字を知ってる奴が翻訳するしかなくて、変なことに使いたい情報を知りたければあんたをどうにかするしかなくて、って……そんなの現実的じゃないじゃない?実質不可能よね」
「しかしそれだけのことができるなら、それで十分商売が成り立つな」
ユースティックがそう言って冗談っぽく笑う。
「金を稼ぐだけなら冒険者だけで十分だけど……まぁ、それも考えてもいいかもな」
「カズが普通の冒険者より稼げてるって言っても、結局は不安定なことに変わりないものね」
仕事になりそうなら一応後々のことを含めて考えといていいだろう。
「それよりそれっぽい魔法あったぞ」
「え、何が?」
俺が何のためにスマホを取り出したのかすでに忘れてしまったらしいヴェルネ。
「魔力が少ない奴でもお手軽に使えるインスタント魔法」
「どんな魔法ですか?」
期待の眼差しを向けてくるミミィ。なんとなく背後に尻尾を振る犬が見えたが気のせいだろう。
「そうだな、上から読み上げてくと――」
「温」……体の温度を僅かに上げる。
「遠眼」……少し遠くが見やすくなる。視力が上がる。
「速脚」……歩行速度が上がる。この魔法は他者にも付与することが可能。
「整呼吸」……呼吸を僅かに整える。これは自分と同時に周囲の者にも効果がある。
「防体」……物理魔法のダメージを僅かに減らす。しかし火傷や痺れなどの状態異常は防げない。
「異常軽減」……状態異常をある程度抑えることができる。回復魔法と併用すると完治しやすい。
「小火」……辺りを照らす小さな光を灯す。ロウソクの火程度。
「流水」……飲める水を放出する。水道。
「弱風」……弱い風を出す。火や水との組み合わせで温風か冷風を出せる。髪を乾かす程度の風圧。
「静電気」……弱めの電気を体に纏う。体内に電気を持つ者同士が触れ合うと互いにピリッとくる。
「砂」……砂。水を混ぜれば泥にもなる。
「瞬光」……一瞬だけ強い光を放つ。目を眩ませることができる(使用者も注意)
「暗目」……触った相手の視界を暗くして奪う。
「――とまぁ、こんな感じか」
「属性のはともかく、他は使えそうなのが多いわね」
「ああ、強化系は得意な魔法適性がなくても使えるから重宝される。だけどなぁ……」
ユースティックが何か引っかかったような言い方をする。
「そもそもの話、その強化系ですら魔力の効率が悪いと言われていて、誰も使おうとしていないから普及していないはずなんだが……それがどうやれば少量の魔力で行使できるんだ?」
ユースティックだけでなく、周囲の全員が期待の眼差しを向けてきていた。なんだか責任重大な気がしてきた……
「『魔力を少なくする方法は全て共通している。魔法を発動時、体から放出される魔力を感覚的に抑えることである。強化魔法を発動する場合、強化する部位へ人差し指などを当てて集中するとやりやすい。やってみ?』……って、最後の誰だコイツ⁉」
突然こちらに語り掛けてくるような馴れ馴れしい言葉が最後に書かれていて思わずツッコミを入れてしまった。なんだこのネットで質問を投げかけたら知らない誰かが回答したみたいな文章は……
「人差し指……あっ、本当だ、少しだけ腕が暖かくなった!しかも魔力が減った感じがない!」
ミミィが聞いたやり方を早速試したらしい。暖かくなったってことは「温」の魔法を使ったのだろう。
するとヴェルネやユースティックたちも試し始める。
「まさか……こんな簡単な方法で……?」
「……あっ、でも指を離すとすぐに元通りになっちまうな」
驚愕するヴェルネと残念そうにするレトナ。もしかして持続力がないのか?
「強化系魔法というのは元々、攻撃するために放つ放出系の魔法と違って魔力を使い続けるものですし、指から魔力を送って強化してるのなら尚更ですから」
なるほど。体の魔力を直接当ててるのと違って指経由で強化系してるわけだから、離せばその効力が無くなるのは当然ということか。
「なら使う時はずっと指先を当ててなきゃダメってことか?」
「いや、指先を当てるやり方はあくまで『慣れるため』らしいから、そのうち指を当てなくても少量の魔力で自己強化ができるようになるってことじゃないか?」
ユースティックの疑問に俺がそうやって答え、俺たちは魔法に関する意見を述べながら試行錯誤をした。
こうやってると学生時代を少し思い出す。その時の俺は目立つことはせず、普通にクラスの奴らと会話するくらいには仲が良かったなぁ……なんて。
まぁ、特別思い入れがあるような思い出はないんですけども。運動会のような行事は参加しなかったし、大抵は「家の用事」って言って逃げていたしな。
……そう考えると俺ってロクな青春時代を送ってない気がする。
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◇小説家になろう・カクヨムでも同時連載中です◇
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