最強超人は異世界にてスマホを使う

萩場ぬし

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ある意味これもWデート……?

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「はぁ……何かあるとは思ってたけど、また面倒な子に好かれちゃったみたいね」

 モモたちとの話を終えた後にヴェルネがいる部屋へ行き、コロシアムでの報酬やその後の話などをした。

「好かれたとは違うと思うけど……」

「でも『あの』アイドル様自らがデートしたいって言ってきたんでしょ?恋まではいかなくても好意くらいはあるんじゃない?じゃなきゃ好きでもない奴とデートなんてしようと思わないでしょ。それか人間に対するただの興味本位か……それでどうするの?」

 別の女とデートするくらい気にしないというような態度で淡々と聞いてくるヴェルネ。理解してくれるのは嬉しいけど、それはそれで複雑な気分になる気がする。

「俺は乗り気じゃないけどあちらさんがな……ってことで一つ提案があるんだけど」

「……あんたの言う提案ってロクでもない予感しかしないんだけど」

――――
―――
――


「ありえない……せっかくのアイドルとのデートに彼女を同伴させる普通?」

 モモが不貞腐れた様子で前を歩き、その後ろを俺とヴェルネが並んで歩く。
 派手なアイドルの服から着替え、髪型も多少変えて一気に雰囲気が変わった彼女は他の魔族や獣人と溶け込んでいるように見えた。

「そもそもしたくてしてるデートじゃないからな。普通っていうならデート中の男を横取りみたいなことしようとしてる時点でお前も普通じゃないだろ」

「それはっ……あなたが私を蔑ろにするからでしょ!」

 なぜか逆ギレされた。
 しかもモモが大声を出してくれたおかげですれ違う人々の視線が集まってしまう。
 モモが有名なのもあって「あれってモモちゃんじゃない?」「こんなに近くで見れるなんて……」とどんどんと視線が増え、俺やヴェルネにも嫉妬の視線が向けられて居心地の悪く感じた。

「それはつまり、構ってほしかったってことか?」

「違う!だって私はアイドルなのよ?その私を褒め称えるならまだしも、私のことを知らない上に直接会っても感動してる様子も喜んでる感じもないし」

「悪いけど知らない奴に一目惚れするほど俺は単純じゃないぞ」

 なんて、後から実は自分がヴェルネに一目惚れしてたかもしれない事実は棚の上にあげて言ったりしてな。

「くっ……人間ならそれが当たり前って言いたいけど、魔族の彼女を作ってるからそうも言えないし……私ってそんなに可愛くない⁉」

「可愛い部類には入ると思うぞ。ただ俺は元々惚れっぽくはないってのと、ヴェルネが好みだったってだけの話だ」

「……あんたサラッと惚気てんじゃないわよ」

 ヴェルネは恥ずかしそうに顔を赤らめてそっぽを向く。
 するとモモは苦虫を嚙み潰したような顔をして俺を見ていた。

「だけど恋をしたのが魔族で町の領主でって……それだけで一つの物語が作れそうね。竜も倒しちゃったし……次は悪者から攫われたお姫様を取り返したりする?」

「勘弁してくれ、俺は物語の主人公になれるほど綺麗じゃない。もし誰かがヴェルネや俺の大切な仲間を連れ去ろうというのなら――」

 「ただでは済まさない」。そこまで言わずとも、何が言いたいのかを理解したモモが固唾を飲む。

「そこまでにしておきなさい。仮面のせいで余計怖いわよ」

 ヴェルネに諭されハッとする。若干殺気がダダ漏れしていたようでモモが震えてしまっていた。

「ん……感情的になるところはまだ未熟だな。ま、何にせよそういうことだ。とはいえその『お姫様』が誰かにもよるかもしれないけどな」

 一呼吸置いて落ち着いてモモの方を見る。

「このまま三人のデートを継続してもいいけど、俺はヴェルネを優先する。それだけは明言しておくからな……それでも――」

 俺はモモだけに素顔が見えるように仮面をズラしてニッと笑う。

「飯のリクエストくらいは聞いてやるけどな」

 そう言うとモモはうつ向き、しばらく黙る。

「……だったら」

「ん?」

 モモが一つの店を指で指し示す。

「アレが食べたい」

「……マジ?」

 意外な店の指定にヴェルネがポツリと言葉を零す。

――――
―――
――


 モモが指定した店の中へと入り、そこで注文した品に彼女が嬉しそうにだらしない笑みを浮かべる。
 そしてナイフとフォークを持った手を伸ばし、鉄板に乗った肉を一口ほどの大きさに切って口へ運ぶ。

「ん~、美味しっ!」

 肉を頬張ったモモは幸せそうにしていた。
 それほどまでに美味しそうに食べる彼女を見て食欲を増した俺もいただくことにする。

「アイドルやってるとこういうのって下手に食べられないのよね。周りの目もそうだし、太ったりでもしたらファンのみんなが幻滅しちゃうだろうしね」

 口に肉を含みながら愚痴を零すモモ。こういう姿はアイドルらしくなく、ただの少女でしかなかった。

「さて、ご飯を食べ終えたら次は何する?」

 しかしそれも束の間、モモはスイッチを切り替えたようにアイドルらしい小悪魔的な笑みを浮かべて聞いてきた。
 「アイドルも大変だな」と口から出そうになったが見てる限り言うほど大変そうでもなく、むしろやりがいを感じて満足しているようにも見える。
 これだけタフな精神を持っているならアイドルで人気を取れるというのも納得かもしれないな。

「とりあえず俺たちはまだこの町を見て回ってないから、時間が許す限り全部見て回るか」

「来ていきなりコロシアムに行ったもんね……あんたのおかげで早く終わったからいいんだけど」

 嫌味っぽいことを言われた気がしたが気にしないでおく。
 モモがステーキ二つをペロリと完食し、俺たちも食べ終わったところで店を出た。

「ごちそうさまです、人間さん♪」

 モモは舌を出しウインクしてあざとくそう言ってきた。食事代は当たり前のように俺持ちだった……別にそれくらいだったらいいんだけど、やっぱり図太い神経の持ち主である。
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