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変なのが来た
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「リーシア!アレはどういうことです!?」
入って来たのは二人組の男女。
先陣を切って不機嫌そうに入って来たのは頭の両サイドにクルクルとしたドリルのような形状の金髪をしたお嬢様っぽい風貌の女性。胸がかなり特徴的で、恐らくレトナくらい大きい「それ」が歩く度に上下に揺れる。
そしてそんな彼女のボディガードをしてると言わんばかりに身長が三メートルはありそうな猫背の大男がその後ろを付いて歩く。
二人の姿はそれだけで異質で、しかしこの場にいる者のほとんどは「またか」と呆れた反応を示していた。コイツらの反応……もしかしていつものことだったりするのか?
「どういうことも何もないわ、ルー。さっき連絡した通り、今年は私たちが一番よ」
「一体どうやって……あなたのところの主戦力であるジーク様だっていつも手が空いてないからと急な参加はできなかったはず……なのにこの短時間で依頼を達成できるほどの腕を持った者が一体どこに――」
そんな二人のやり取りを隣で見ていると、ルーと呼ばれたお嬢様風の女性が俺に視線を向けてくる。
「……あら、あなたは?」
一応仮面を被っているから俺が人間だとはバレていないはずだが、彼女は俺を物珍しそうにジロジロと見てくる。
「ここの者たちはワタクシが来ると煙たがって近寄って来ないのがほとんどですし、新人の方でしょうか?」
「俺はカズ。あんたらの言う依頼を受けたモンだ」
「……あなたが?そんな貧弱そうな体で?冗談はその筋肉だけにしなさいな」
彼女の暴言……暴言?謎の言葉に眉をひそめて視線をリーシアに向けると苦笑いが返ってくる。
「彼女はルディ・エリアルって言って、見ればわかると思うけど良いところのお嬢様。そんで筋肉フェチ」
「フェチではありません、ただ殿方の筋肉を見たり触ったりするのが好きなだけです。それが功を奏したのか、今では殿方の腕や太ももに触るだけでその方がどれだけお強いのかが計れる――」
リーシアの紹介の後にルディが否定できていない特技の説明をしながら何気に俺の腕に手を置いてきた。
なぞるような触り方にゾッとしてやめるよう言おうとするが、なぜかルディは驚いた表情をしたまま固まってしまっていた。え、何……?
「何も変わってないじゃない……いや、むしろより変態的に聞こえて……ルー?」
反応が無いルディにリーシアが俺と同じように困惑する。
しばらくルディの表情が固まったかと思うと恍惚な表情に変わり涎を垂らし始め、絶対にお嬢様がしてはいけない顔をしてしまっていた。
「こ、これは今まで感じたことのない感触……こんな殿方に襲われてしまったらワタクシ、体が火照って……!」
「おいルー、悪い癖が出てるぞ」
かなり危険な表情になりかけていたルディにリーシアが声をかけるとハッと正気を取り戻す。
「ふぅ、危ない危ない、少々トリップしてしまいました……それはそれとしてリーシア?」
「ダメだ」
「早いです!まだ何も言ってないじゃありませんか!」
「お前の言いたいことなぞ、わかるに決まってる。ヘッドハンティングしたいんだろう?それもいつもの悪い癖だ……」
ヘッドハンティング……向こうでは会社の優秀な従業員を別の会社がスカウトして横取りするとかいう話しか聞いたことがないからあまり良いイメージはないんだが、この二人はそれなりに親密らしくそこまで険悪な雰囲気ではなさそうだった。
しかし俺がその対象になるとは……しかもただ優秀だからって理由以外の何か身の危険を感じるのは気のせいか?
なんて考えているとルディが俺の頭にその大きな胸を乗せて覆い被さるように抱き着いてくる。
「だって……この殿方に運命を感じてしまったんですもの!ねぇ、いいでしょ、リー?」
ルディが甘えるような猫撫で声を出してそう言うとリーシアは頭を抱える。
「こういう時だけ愛称で呼ばないでよ……それにいつも言ってるでしょ、そういうのは本人の意志を尊重しろって。私よりも彼を説得するのが先じゃない」
「フフフフッ、そんなのもう答えが出てるようなものです!なんせワタクシはこの通りの美貌……道を歩けば誰もの視線を釘付けにさせてしまうスタイルなのですわよ?この方だって先程ワタクシの胸に視線が向きましたし、断るはずないでしょう!!」
「いや、遠慮しとくけど?」
リーシアに諭されても自信満々に声高らかと言い放ったルディだったが、俺がそうやってはっきりと断ってやると目を丸くして俺に視線を向け、しばらく固まるとそんなバカなと言いたげに驚いた表情に崩れる。
「なぜです⁉ 今ならワタクシの体をお好きにさせていいのですのよ⁉」
「尚更遠慮するわ」
もう一度断るとルディはさらに絶望した顔を下に向けて虚空を見つめ始める。
「わからない……なぜ絶世の美女であるワタクシの誘いを無下にできるのです……?」
「自分で言っちゃうの?」
「ほら、あの子って本当に美人だしスタイル良いじゃない?親とか周囲から甘やかされまくってたから自分に絶大な信頼があるのよ。実際、あの子の誘いを断れた男ってあなたともう一人しか知らないし、私もちょっと驚いてる」
「もう一人って?」
「ジーちゃん」
リーシアの返答に納得してしまう。ジークもかなりの身体能力があるからスカウトされるのも当然か。
「だがしかし、魅了するにはすでに枯れていたと」
「ぶふっ……いや、私も同じ予想だけど口に出されちゃうとなんか笑っちゃうわね」
「ジークさんならまだわかりますけど、まさかこんな精力があり余っていそうな殿方にまで断られることになるなんて……」
手と膝を地面に付けて落ち込むルディ。コイツ、人を……男を性欲の権化だとでも思ってるんだろうか?
入って来たのは二人組の男女。
先陣を切って不機嫌そうに入って来たのは頭の両サイドにクルクルとしたドリルのような形状の金髪をしたお嬢様っぽい風貌の女性。胸がかなり特徴的で、恐らくレトナくらい大きい「それ」が歩く度に上下に揺れる。
そしてそんな彼女のボディガードをしてると言わんばかりに身長が三メートルはありそうな猫背の大男がその後ろを付いて歩く。
二人の姿はそれだけで異質で、しかしこの場にいる者のほとんどは「またか」と呆れた反応を示していた。コイツらの反応……もしかしていつものことだったりするのか?
「どういうことも何もないわ、ルー。さっき連絡した通り、今年は私たちが一番よ」
「一体どうやって……あなたのところの主戦力であるジーク様だっていつも手が空いてないからと急な参加はできなかったはず……なのにこの短時間で依頼を達成できるほどの腕を持った者が一体どこに――」
そんな二人のやり取りを隣で見ていると、ルーと呼ばれたお嬢様風の女性が俺に視線を向けてくる。
「……あら、あなたは?」
一応仮面を被っているから俺が人間だとはバレていないはずだが、彼女は俺を物珍しそうにジロジロと見てくる。
「ここの者たちはワタクシが来ると煙たがって近寄って来ないのがほとんどですし、新人の方でしょうか?」
「俺はカズ。あんたらの言う依頼を受けたモンだ」
「……あなたが?そんな貧弱そうな体で?冗談はその筋肉だけにしなさいな」
彼女の暴言……暴言?謎の言葉に眉をひそめて視線をリーシアに向けると苦笑いが返ってくる。
「彼女はルディ・エリアルって言って、見ればわかると思うけど良いところのお嬢様。そんで筋肉フェチ」
「フェチではありません、ただ殿方の筋肉を見たり触ったりするのが好きなだけです。それが功を奏したのか、今では殿方の腕や太ももに触るだけでその方がどれだけお強いのかが計れる――」
リーシアの紹介の後にルディが否定できていない特技の説明をしながら何気に俺の腕に手を置いてきた。
なぞるような触り方にゾッとしてやめるよう言おうとするが、なぜかルディは驚いた表情をしたまま固まってしまっていた。え、何……?
「何も変わってないじゃない……いや、むしろより変態的に聞こえて……ルー?」
反応が無いルディにリーシアが俺と同じように困惑する。
しばらくルディの表情が固まったかと思うと恍惚な表情に変わり涎を垂らし始め、絶対にお嬢様がしてはいけない顔をしてしまっていた。
「こ、これは今まで感じたことのない感触……こんな殿方に襲われてしまったらワタクシ、体が火照って……!」
「おいルー、悪い癖が出てるぞ」
かなり危険な表情になりかけていたルディにリーシアが声をかけるとハッと正気を取り戻す。
「ふぅ、危ない危ない、少々トリップしてしまいました……それはそれとしてリーシア?」
「ダメだ」
「早いです!まだ何も言ってないじゃありませんか!」
「お前の言いたいことなぞ、わかるに決まってる。ヘッドハンティングしたいんだろう?それもいつもの悪い癖だ……」
ヘッドハンティング……向こうでは会社の優秀な従業員を別の会社がスカウトして横取りするとかいう話しか聞いたことがないからあまり良いイメージはないんだが、この二人はそれなりに親密らしくそこまで険悪な雰囲気ではなさそうだった。
しかし俺がその対象になるとは……しかもただ優秀だからって理由以外の何か身の危険を感じるのは気のせいか?
なんて考えているとルディが俺の頭にその大きな胸を乗せて覆い被さるように抱き着いてくる。
「だって……この殿方に運命を感じてしまったんですもの!ねぇ、いいでしょ、リー?」
ルディが甘えるような猫撫で声を出してそう言うとリーシアは頭を抱える。
「こういう時だけ愛称で呼ばないでよ……それにいつも言ってるでしょ、そういうのは本人の意志を尊重しろって。私よりも彼を説得するのが先じゃない」
「フフフフッ、そんなのもう答えが出てるようなものです!なんせワタクシはこの通りの美貌……道を歩けば誰もの視線を釘付けにさせてしまうスタイルなのですわよ?この方だって先程ワタクシの胸に視線が向きましたし、断るはずないでしょう!!」
「いや、遠慮しとくけど?」
リーシアに諭されても自信満々に声高らかと言い放ったルディだったが、俺がそうやってはっきりと断ってやると目を丸くして俺に視線を向け、しばらく固まるとそんなバカなと言いたげに驚いた表情に崩れる。
「なぜです⁉ 今ならワタクシの体をお好きにさせていいのですのよ⁉」
「尚更遠慮するわ」
もう一度断るとルディはさらに絶望した顔を下に向けて虚空を見つめ始める。
「わからない……なぜ絶世の美女であるワタクシの誘いを無下にできるのです……?」
「自分で言っちゃうの?」
「ほら、あの子って本当に美人だしスタイル良いじゃない?親とか周囲から甘やかされまくってたから自分に絶大な信頼があるのよ。実際、あの子の誘いを断れた男ってあなたともう一人しか知らないし、私もちょっと驚いてる」
「もう一人って?」
「ジーちゃん」
リーシアの返答に納得してしまう。ジークもかなりの身体能力があるからスカウトされるのも当然か。
「だがしかし、魅了するにはすでに枯れていたと」
「ぶふっ……いや、私も同じ予想だけど口に出されちゃうとなんか笑っちゃうわね」
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