最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし

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武人祭

祭りの延期

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 「えっ、延期?」

 学園にやってきてすぐ、玄関近くで待ち伏せるように待機していたカルナーデに呼ばれ、俺たちは学園長室に通されてあることを伝えられた。

 「そう、武人祭の延期。本来なら二日後に始まるアレがもう七日伸びてね、今日から数えて九日後だ」

 集められてそう伝えられたのは武人祭に出場するカイトたちと俺だ。メアとノワール、ヘレナとココアには先にクラスの方へ行ってもらった。ユウキたちも同様。
 リリスたちは全員、寮住まいというのもあり、どうせなので武人祭に出るまでの間は屋敷に泊まってしまおうという話になり、朝は全員揃って登校していたところにカルナーデに呼ばれたというわけだ。
 なので部屋に入って待つ間もなくすぐ話が始まった、というのがここまでの経緯となる。

 「そうか……ということは、修業する時間が増えたわけか」

 俺の言葉に武人祭に出場する俺以外がホッと息を零したのが聞こえる。まるで命拾いしたかのような反応だ。

 「……まぁ、その延期の理由はある国の王族から申請があったからなんだけどね……グリフィン王国、ジスタチオ様が依頼主らしい」
 「「っ!?」」

  その名前にカイトとリナが反応を示す。 
 学園長の方も、相手が王族相手だから仕方なく「様」付けをしてるような言い方をしている様子だった。

 「理由は聞いたのか?」
 「いや、それは……一応はラライナ主催の催しだから、ワンド王を通してその申請が通るんだ。それが叶ったってことは、ワンド王も納得の上での延期理由なんだろうと思うよ」

 学園長の推察に「そっか」と簡単に返事をする。
 ルークさんが納得するような内容ってのは気になるが、推測ぐらいはできる。もしカイトの相手が俺の思っているような性格をしているとしたら、と。
 それはそれとして。

 「全く、祭り一つでここまでの騒ぎが起きるとは……」

 何気なく発した言葉に、カイトとリナが目を逸らして申し訳なさそうにしてしまっていた。

 「本当に。騒ぎの中心に君たちはいつも関わってるよね……弟子が師匠に似るとはいえ、似なくていいところまで似るというのはどうかと思うよ?」
 「戦い方や性格が似るのはともかく、運命というか体質まで似るとは……」

 俺がいるところで巻き込まれるのはしょうがないとして、俺のいないところで面倒事を引き起こしてるってのがまたなぁ……と思いながら溜息を零し、その原因がシトがカイトに食わせたという飴玉ではないかと思う。

 「カイト、それにお前ら。そのジスタチオだかスタジオだかが気を利かせてくれたんだ、期待に応えてやろうじゃねぇか」

 気合を入れるために言った俺の言葉に、学園長を含めた全員が呆然とした表情で俺を見る。

 「気を利かせた?って……」
 「そいつが言ったんだろ?「どちらの師がより弟子の育成に優れているか」を勝負するって。もしリナが欲しいだけなら力尽くでも権力でも使えばいい」

 それをすれば最後、俺がどうにでもしてやれるが、などと心の中で呟いたりして言葉を続ける。

 「だけどそれをせずにわざわざ祭りの延期を申請したってことは、相手の方も正々堂々とした戦いを望んでるんじゃないのか?」
 「「あー……」」

 納得した声がリナや学園長から聞こえる。
 そんな中でカイトが難しそうな顔をしていた。

 「でもそれ自体がそう思わせようとしてて、罠を仕掛ける時間を設けてるとしたら……?」
 「カイトも中々疑い深くなってきたんじゃないか?」

 俺がクスクス笑ってそう言ってやると、カイトは頭を掻いてそっぽを向く。

 「別に……疑うに越したことはないでしょう?」
 「かもな。ちなみにミーナから見たそいつの印象は?」

 話題を変えてミーナに振ると、首を傾げた後に考える動作を見せる。

 「余裕」

 ポツリと言葉足らずに答えたミーナ。
 まぁ、その一言だけでも十分に理解できてしまえるんだが。

 「自分の実力に対する圧倒的な自信の表れ、か?」

 ミーナが頷く。
 その表情は少し困っているようにも見えるのはなんだろうな……

 「彼の実力は試合に出る私たちの誰より強い。多分全員で挑んでも……」

 最後まで言わなかったが、ミーナの表情には「無理だ」とでも言いたげに俯き暗くなっていた。

 「カイトさんと手合わせしたあの方……レチロラさんと言いましたっけ?彼女もかなりの実力でしたわ……現状ですと、ミーナさんと実際に手合わせしたカイトさんぐらいしか勝ち目はないのでは?」
 「リナは?お前も修行して強くなったと思うが、勝てなそうか?」
 「無理です」

 いつも拙い言葉遣いのリナが、ここぞとばかりにハッキリと即答してきた。こういう時だけハッキリしなくていいんだがな……

 「カイト君、たちが、打ち合ってるのを見てる、のがやっとで……」
 「あの剣撃を目で追えただけでも凄いですわ」

 感心するリリスに謙虚の言葉を漏らすリナ。
 リナは逆に目で追えていたが、体が追い付いてなかったパターンか。弓を当てる時の動体視力の良さで見えたのだろう。

 「リナはその目でジスタチオとかいう奴の動きはわからなかったのか?」

 前に聞いた時は見えなかったって言ってたが、その場の流れで言い出せなかっただけで本当は見えていたんじゃないかと。嘘を吐いてるようだったし。

 「えと……はい、ホントは見えて、ました……と言っても、反応もできないくらい、一瞬だったし、見えただけ、なんですけど……」

 リナの言葉にその場にいた全員が「おー」と感嘆の声を漏らして拍手する。

 「僕でも見えなかったのになぁ……やっぱり師の教えがいいのかな?」
 「リナの視力の良さは最初からの気がするがな」

 悪戯な笑みを浮かべて俺を見てくる学園長の視線を軽くスルーして返す。
 しかし学園長でさえ見えてなかった動きを見たということで、評価が高かったらしい。というか、元とはいえSSランクの学園長が見えてないのも問題だ。
 SSランクの冒険者がどれだけの動体視力を持ってるかは知らないけれど、ここへ編入する時に戦った学園長の動体視力はそれなりにあった。
 それでも見逃してしまったということは、カイトの相手はそれだけの相手となる。

 「カイトは見えなくて、リナは動けないか……いっそフュージョンでもできればいいのにな」
 「アヤト君?」

 「何を言ってるんだい、君は?」と言ってきそうなしかめた顔で俺を見る学園長。
 おっといけないいけない。ユウキみたいな発言をしてしまっていた。

 「……と、そういえば俺を呼んだ理由ってなんだ?武人祭の延期を説明するだけならホームルームなり後でカイトたちから聞かせるなりでよかっただろうし」
 「君には別件で伝えることがあるってことさ。『剣魔祭』って聞いたことあるかい?」

 学園長の言葉に、頭のどこかで引っかかった記憶を掘り出そうとする。

 「……ああ、ミランダとガーランドの言ってたアレか」
 「そういえば彼とも知り合いだったね、君は。そう、剣魔祭は武人祭と違って世界の強者を決める戦いだ。そこにSランクとSSランクの冒険者は新旧問わず招待状が届くわけだが……」

 学園長は机の中から二つの封筒を取り出した。
 そのうちの一つを俺に向かってキザっぽく投げ付け、俺もそれっぽく二本の指で挟んでキャッチする。
 リリスからは呆れた溜息が聞こえたが、それを無視して封筒を開ける。
 そこには丁度ギルドカードと同じくらいの大きさをしたカードが入れてあった。
 そこには『剣魔祭出場権許可証、SSランク冒険者アヤト様』と書かれ、俺の顔写真も貼られている。

 「それが君専用の入場パス。失くすなよ?」
 「そうか、俺は武人祭の代わりにこっち参加か……って、もしかして武人祭と同時に開催するのか?」

 俺の疑問に「え?うん」と答える学園長。

 「武人祭もだけど、剣魔祭にも多くの力自慢が集まるんだ。同時に行わないとその日には終わらないからね……」

 日程自体をズラせないのは何か意味があるのかと考えそうになるが、それは置いておく。

 「ちなみにこれの使用回数は?」
 「特にないけど……なんでだい?」
 「パスがあるってことはカイトたちが戦う会場とは別になるってことだろ?自分の試合以外はカイトたちのを見てたいからよ」

 そう言うと学園長が「弟子想いだねぇ?」といやらしく笑う。
 俺は「なんだよ」と反抗的な言い方をして、不要になった封筒を折り曲げて紙飛行機にして学園長に向けて投げる。紙飛行機は思いの外勢いよく飛んでしまい、学園長の額へ激突して「いたっ!」と悲鳴を上げる。

 「まぁ、そういうわけだ。ちなみに武人祭も剣魔祭もグループの取り決めは当日やる……と言っても、冒険者の資格を持ってる僕たちみたいな人たちはシード扱いになるから最初は気にしなくていいんだけどね」

 シード扱い……つまり強者とわかっている奴を最初から試合に出さないための運営側からの配慮か。ってことは、それまでは自由にしていいってことだな。

 「さて、そろそろ授業も始まりそうだし、授業に遅れる前に君たちを返さないとね?」

 ――――

 学園長から促されてそれぞれのクラスへ行くことになり、部屋から出る時には「僕も出場するからよろしくね?」と笑顔でウィンクされたりした。
 俺に一度負けたからとといって戦意喪失はしてなかったらしい。いつもは俺のことをありえないだとか化け物みたいだとか言うくせに……やっぱり彼女はバトルジャンキーらしい。
 そしてその放課後、再びリリスたちを集めた時にそれぞれの武具を渡した。

 「な、なな……なんですの、これっ!?」

 渡した物の一つを見たリリスが悲鳴に似た声を上げる。
 声を上げなかっただけで、他の奴も驚いた顔をしてる奴がいる。
 サイとメルト、カイトとフィーナだ。
 リリスには魔術師らしく大杖、サイには黒い大盾、メルトにはレイピア、カイトには普通の刀と黒刀の二丁、フィーナにはグローブだ。

 「リリスとメルトとフィーナに渡した物には魔石が嵌め込んである。カイトのには何も特別なものは施してないが、代わりに俺の自信作を渡しておく。サイのは仕掛けのある盾だ……ほれ」

 サイに渡した盾の取っ手にあるスイッチを押すと、下部の方に大剣くらいの大きな刃が出る。

 「これは面白いですな!」
 「だろ?これぞ攻防一体って感じでな……」

 珍しく興奮したリアクターを取るサイに俺も嬉しくなる。
 対して渡された大杖を見て口をパクパクさせて唖然としたままのリリスのところにも言って話しかける。

 「どうだ?魔術のことに俺は疎いからドワーフの奴らに作らせた一品だが、変なところはないか?」
 「むしろ変なところしかありませんわ!なんですの、これ?魔石もですが、この杖にされている素材が見たこともない上質なものなのですが……私の目から見ても、並みの貴族が手を出せる代物ではありませんわ!?街一つ作れますわよ、こんなん!」

 リリスもリリスで興奮状態となり、珍しい口調でツッコミを入れてくる。っていうか、そこまで褒め倒しておいて「こんなん」って……

 「え、じゃあ、もしかして私のも……?」
 「……えぇ、最低金貨十枚はくだらないですわね。この手の商業知識に疎くて正確な値段まではわからないのですけれど……」

 メルトは受け取ったレイピアを丸くした目で見つめ「マジ?」と呟いて驚いていた。

 「ちなみにカイトさんのと……えっとフィーナさん、でしたっけ?二人が優遇されているのには違いありませんわね」
 「フィーナさんはともかく……なんで俺?魔石使ってないんでしょ?」

 リリスが目を細めて、カイトが早速腰にぶら下げている刀二本を見つめる。

 「両方ではなく、こっちの黒い武器なのですけれど……私の目が狂ってなければコレ、『ブラックライト鉱石』をお使いになっていません?」
 「ん?ああ、そういえばそんな名前だったような……」

 俺が、というよりその素材を持ってきたランカとチユキが正確な名称を把握してなかったんだけど……

 「……それ、国宝級の宝なのですけれど。欲しがる方に差し出せば王座だって譲ろうとしてきますわ」
 「なんてもん弟子に渡してくれてんですか!?」
 「いいだろ、別に。武器は武器だ、俺の作った武器はただの高級品でも観賞用でもねぇぞ」

 納得しないカイトが「それただの屁理屈……」と呟いたので、デコピンを食らわせる。

 「カイトが金欲しさに換金したんなら何も言わないし、そういった素材ではもう作らねぇ。けどな、勿体無いからって使わないのは無しだ。受け取ったからには使え」
 「……やっぱうちの師匠ってどこかズレてますよね」

 カイトの言葉に他の奴らが頷く。
 ズレてるって、俺が?なんか変なこと言ったか……?

 「でもコレ、師匠がメアさんに渡したものと同じやつなんですよね?」
 「厳密に言えば色々違う。素材はもちろん、さっき言った通り俺の自信作だ。メアに渡したものよりも業物だぞ」
 「「えっ」」

 俺の言葉にカイトとメアとミーナが揃えて声を漏らした。

 「お、おいおい、俺のでさえ扱いが難しいとか言ってたのに、それよりもスゲーやつってことだよな!?」
 「えっと、つまり……扱いに注意しないと色んなものを切っちゃいますよね……」

 ガタガタと震えるカイトの言葉に俺は頷く。

 「失敗すれば自分の指や手足どころか首も跳ねかねないから、細心の注意を払えよ?まぁ、今のカイトなら多少は何とかなりそうだがな」
 「いや、無理でしょう――」

 とか言いながら好奇心に勝てなかったカイトは、黒い方の刀を鞘から抜いた。

 「っ……これは」

 するとカイトの目の色が変わって無言で歩き出し、大きな岩の前に立って黒刀と鞘に戻して試し斬りをしようとしてるようだった。

 「お、おい、カイト!?」
 「みんな、離れよ」

 ミーナがメアの袖を掴みながら冷静にそう言う。
 俺以外が離れて退避したところで、カイトが呼吸を整えて居合切りを放つ。
 軽い風圧が起きた後、大岩は綺麗なブロック状となってバラバラになった。

 「おおー、流石というか、思った通りだな。余計なところは切らず、切ろうとした形に切ったな。剣筋もブレが少なかったし、やっぱり使いこなせてるみたいだな」
 「凄いですね、これ。なんだかかもう手に馴染んでるみたいです。これも配慮してくれたんですか?」

 それは知らんが……まぁ、気に入ってくれたのならよしとしよう。

 「今朝も色んな武器を使えてただろ?だからその刀もお前なら使えると思ったんだ」
 「あー、そういえば……」

 俺の予想が正しければ、シトに食わされた飴のおかげでカイトは俺が使える武器を使えるはずだ。
 そして、カイトがつけ込む隙があるとすれば、そこだろう。
 あとはシトがいてくれればその詳細が聞けたんだけどな……なんて、シトにいてほしいなんて俺らしくもないか。
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