諦めようとした話。

みつば

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諦めない話。

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君に電話をかけた。電子音声で、君の電話番号はもう使われてないと、言われてしまったけれど。
君の仕職場にも連絡した。君は先週やめたと言われてしまったけれど。

家の中をくまなく探した。なにか手がかりがないだろうか。
そうしたら気づいたことがある。
写真がない。一枚も。テレビの前に飾ってあったツーショットも、君が綺麗にまとめていたアルバムも。何一つなくなっていた。
僕との思い出に持っていこうと思ったのか、それとも僕に君のことを思い出して欲しくないのか、理由は分からない。

君が、写真を見返して、僕との思い出を大切にして生きていてくれるのだと嬉しい。忘れないで。写真を見なければ思い出が色褪せてしまうようになる前に、君のことを見つけるから。



次は君が心を許していた君の友人に会いにいった。君と仲が良すぎて、僕がよく嫉妬していた彼だ。
彼は涙まじりの声で僕をなじった。

「おまえはあいつの何を見ていたんだ。なぜあいつのことを守ってやらなかった。
あいつは、お前のことを本当に愛していたんだ。なのに周りはそれを認めない。それはきっとお前自身も。
いいか、お前にいい顔をする人間が、彼にいい顔をするとは限らないんだ。お前が優しいと思っている人間が、彼にも優しいとどうしたら言えるのか。
それと、俺はあいつの居場所をお前に教えるつもりはない。」
そう言ったきり、彼は口をつぐんだ。


彼の言うことに全く心当たりはなかった。僕は何か重大なことを見落としているのかもしれない。


次に僕は実家に帰った。彼の友人の言葉を聞いて、僕の身近な人が何かを知っているのかもしれないと思ったから。
実家に帰るのは3ヶ月ぶりで、久しぶりともそうでないともいえる微妙な期間だけど、父も母も嬉しそうだ。

前に来たときに紹介したい人がいるって言ったの覚えてる?と僕が口にすると、彼らの顔が暗くなった。

「だめよ、男性なんて。」
僕とは目を合わせず、母は言う。
「あなた、彼女いたことあるじゃない。女性を愛せないわけじゃないんでしょ。男性とお付き合いを続けるなんて、いつか絶対後悔するわ。
母親として、息子には女性と結婚して、子供を育てて、そういうあたりまえの幸せを選んでもらいたいの。」
「実は、おまえの、その、恋人には一度会ったんだ。きっとおまえが選んだのならいい方なのだろう。
しかし、世間の目はそう甘くない。男同士ということで後ろ指を差されることもある。お前にそういう辛さを味わって欲しくない。」


彼に何を言ったの?

長い沈黙。

「お別れしてくれないか頼んだのよ。」
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