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「見て見てマーティ!とっても綺麗なお花が咲いてるわ!」
ドレスの裾を翻し、公園の中を軽やかに駆けていくのは、アリス・マイヤーズ子爵令嬢だ。
背中に垂れた金色の髪が、動きに合わせて豊かに波打っている。
その後を、がっちりとした体つきのマーティ・エドウィン男爵令息が追いかける。
「待ってよ、アリス!」
そして
「ほらほら、そんなに走るなよ。もう子どもじゃないんだから」
と言いながら、ゆっくりと後に続くのはシェイマス・パウエル伯爵令息である。
スラリと背の高い色白の彼は、まるで保護者のように2人を眺めている。
3人とも人目を引く整った顔立ちに、同じように透き通るような金髪を揺らして、微笑み合っている。
小さい頃からいつも一緒にいる幼なじみの彼らは、どこに行っても注目の的だった。
「ほら、アリス様よ。いつもみたいにマーティ様とシェイマス様とご一緒に」
「本当に美しい方々だわ。うっとりしちゃう」
あちらこちらから、ひそひそと声が上がる。
これらの声が聞こえていないはずはないのに、3人は完全に自分達の世界に入っていた。
というより、注目を浴びることには、もうすっかり慣れてしまっているのであろう。
彼らを観察する人々の中に、ネリー・ディアス伯爵令嬢とイーディス・ボーデン伯爵令嬢もいた。
「いいなあー。私も、あんなふうに素敵な男性を引き連れて歩いてみたいわ。
それも2人もよ!羨ましい」
と、綺麗にまとめ上げた赤毛の頭を振りながら、目を細めるのはイーディスである。
しかしネリーは
「そうねえ」
と気のない様子で、ぼんやりと言っただけだった。
「もう!ネリーは相変わらず興味ないのね」
「だって……あの方々の中に私なんかが入ったら、台無しじゃないの。
せっかく美しい絵画のような光景なのに」
「そんな言い方しないの!ネリーだって充分可愛いわよ?」
「ありがとう、イーディス」
ネリーは自分の黒髪をつまみ上げながら、呟いた。
髪も瞳も父親譲りの黒色であることを、決して不満に思っているわけではない。
これはこれで気に入っている。
けれども、他の人から見れば、地味でつまらない色であることも自覚していた。
こうして太陽の光を受けて、キラキラと輝く金髪の3人を見ていると、やはり羨ましく思えてくる。
「ねえねえ。ネリーは、マーティ様派?シェイマス様派?
私は、そうね……」
イーディスは、ネリーが返事をしないのにも構わずに、真剣な顔で悩んでいる。
ずっと立ち止まったままの親友に、ネリーはため息をついて、言った。
「そろそろ馬車に戻りましょうよ。
日差しが強くなって来たわ」
そして先に立って歩き出したところで
「失礼」
と声がして振り向くと、なんとそこに立っていたのは、シェイマスだったのである。
ドレスの裾を翻し、公園の中を軽やかに駆けていくのは、アリス・マイヤーズ子爵令嬢だ。
背中に垂れた金色の髪が、動きに合わせて豊かに波打っている。
その後を、がっちりとした体つきのマーティ・エドウィン男爵令息が追いかける。
「待ってよ、アリス!」
そして
「ほらほら、そんなに走るなよ。もう子どもじゃないんだから」
と言いながら、ゆっくりと後に続くのはシェイマス・パウエル伯爵令息である。
スラリと背の高い色白の彼は、まるで保護者のように2人を眺めている。
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「ほら、アリス様よ。いつもみたいにマーティ様とシェイマス様とご一緒に」
「本当に美しい方々だわ。うっとりしちゃう」
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「そうねえ」
と気のない様子で、ぼんやりと言っただけだった。
「もう!ネリーは相変わらず興味ないのね」
「だって……あの方々の中に私なんかが入ったら、台無しじゃないの。
せっかく美しい絵画のような光景なのに」
「そんな言い方しないの!ネリーだって充分可愛いわよ?」
「ありがとう、イーディス」
ネリーは自分の黒髪をつまみ上げながら、呟いた。
髪も瞳も父親譲りの黒色であることを、決して不満に思っているわけではない。
これはこれで気に入っている。
けれども、他の人から見れば、地味でつまらない色であることも自覚していた。
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