やっかいな幼なじみは御免です!

ゆきな

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「そうなんですね……」
「うん。招待状が届く前から、もう次のドレスを考えているくらいだからね。
まったくアリスときたら……。
まるで子どもみたいだろう?」
「え、ええ……」

アリスの名を呼ぶマーティの目は、キラキラと輝いていた。
その眩しさに圧倒されてしまって、ネリーはなかなか次の言葉が繋げなくなってしまった。

しかし、そんなネリーの様子には気づく様子もなく、マーティは1人で話し続けている。

「今年も、随分前からドレスのことを、ああだこうだと話していたっけ。
レースがどうの、リボンがどうの、とか言われても、僕にはさっぱり分からないんだけどね」
「……男性には、難しい話題でしょうね」
「そうなんだよ!
ネリーは気を遣える女性だから、きちんとそういうこと分かってくれるんだね。
でもアリスは、本当にそういうところが気が利かなくて……」

褒めてくれているのはネリーの事だ。
その一方でアリスのことは、ダメ出しをしているはず……なのに。

アリスの名前を口にするたび、あまりにも嬉しそうにマーティが微笑むものだから、チクチクと胸が痛む。

どうして痛むのか、ネリー自身にもよく分からなかったけれど。
とにかく、痛むのだった。

上の空だったせいで、ネリーは途中から、マーティの話を聞いていなかった。
だから、どこをどう話が続いて来たのか分からなかったが

「まあ舞踏会が苦手でも、今年は不安にならなくて大丈夫だよ。
僕が一緒だから」

と、突然、顔を覗き込まれて、ネリーは驚きのあまり、椅子ごと後ろにひっくり返りそうになってしまった。

「大丈夫?」
「は、はい。ごめんなさい」
「別に謝らなくていいけどさ」

マーティの笑顔を見ながら、ネリーは彼の言葉を頭の中で繰り返した。


『僕が一緒だから』。


マーティの言葉に安心している自分に気が付いて、我ながら驚いてしまった。
彼の何の気もなさそうな言葉に、こんなにも影響を受けるなんて。
なんだか、自分らしくない。

そう思ったものの、その変化は妙に心地よく感じた。

アリスのことばかり話すものだから、もう自分とは舞踏会に行く気がないのかと思っていたのに。
なんだかんだ言っても、今は、婚約者である自分を優先してくれるのだ。
……あの天使のように可愛らしいアリスよりも。

マーティの隣で彼の言葉を聞いているだけで、まるで日の光を浴びているかのように体がほんのりと暖かくなっていく。

小さな優越感に、頬が自然とゆるんでいく。

そんな緩みきった気分だったから、不意に、正面のボックスから鋭い視線を感じて顔を上げた時、思わず体が凍り付いたように感じてしまった。

じっとりとした目で、こちらを見ていたのは、アリスだったのである。
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