やっかいな幼なじみは御免です!

ゆきな

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「あ……」
「どうしたの?」
「いや、あの……」

ネリーは口ごもってしまった。
始めは、正直に言おうと思ったのである。
しかし、どうにも自分の方からアリスの名前を出すことは、はばかられた。

マーティのことだ。
アリスがこちらを見ているなどと言おうものなら、『じゃあ、ちょっと挨拶に行こうか』とでも言い出しかねない。
それは、御免だった。

だからネリーは、なんとか誤魔化して話題を変えてしまおうと、

「そ、そういえばこの前……」

と、わざとらしく言いかけたのだったが。

「マーティ!」

突然、ネリーの話を遮って、甲高い声が飛び込んできた。


……嫌な予感がする。


ネリーは恐る恐る振り向いて、その声の主が誰なのかを確認するや否や、顔をしかめそうになるのを懸命にこらえなければならなかった。

「もう、マーティってば!
来ていたのなら、挨拶に来てくれても良いじゃないの!」

と可愛らしい声で文句を言いながら、こちらに歩いてきたのは、もちろんアリスだったのである。

「アリス!きみも来ていたのか」

マーティはアリスを見るなり、弾けんばかりの笑顔を浮かべた。

「挨拶もなにも、きみが来ていたのを知らなかったんだよ」
「あら。私が新作のお芝居には必ず初日に顔を出すってことくらい、知っているじゃないの」
「それもそうか。
それで、きみは誰と来ているの?」
「お友達と4人で来てるわ。
ほら、あなたにも紹介したことがある方で……」

マーティとアリスのやりとりを聞きながら、ネリーは笑顔を浮かべつつ、時折頷いてみせていた。
しかし、二人はネリーの存在など気にもかけない様子で、さも楽し気に話し続けている。

まあ、そのうち自分にも口を開くタイミングが来るだろう。
そう思って待ってみたが、口を挟む隙は全くなくて。
あまりに楽し気な二人の様子を眺めながら、ネリーは呆れてしまった。

仮にも婚約者だというのに、目の前で堂々と話から置き去りにするなんて。
と、多少の不快感を抱きながらも、彼らの話を聞いていたが、不意に嫌なことを考えついてしまった。

アリスは新作のお芝居には必ず初日に顔を出すと言った。
マーティは、そんなこと忘れていたとでも言いたげな様子ではあったが、まさか彼がそれを忘れていたとは思えなかった。

と、言うことは……。


まさか、今日私を誘ってくれたのは、アリスに会うことを狙って、ここに来たかっただけってこと!?


この考えは、きっと間違いない。
そう思うと、体中の力が抜けていくような思いだった。
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