やっかいな幼なじみは御免です!

ゆきな

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「深い意味はないんです!
ネリー様みたいな理性的な方だったら良かった、と思っただけで……」

いつも冷静なシェイマスが、早口になっているのが、ネリーには不思議だった。

この人も、こんなに慌てることもあるのね。
いつもニコニコしてるし、感情を表に出すタイプじゃなさそうなのに。
……まあ、耳まで赤くしてる私の方が、余程分かりやすいと思われてるでしょうけど。

そんなことを考えながら、ふとシェイマスの耳に目をとめて。
ネリーは思わず、ふっと笑ってしまった。

「なんですか?」
「いえ、なんでもないですわ」

彼の耳が、ほんのり赤く染まっている。
そんな些細な発見だというのに、それだけで急に親近感が湧いてしまう。

しかし、未だに困った顔をしているシェイマスの前で、いつまでも1人で笑っているのも、感じが悪いだろう。
ネリーは、なんとか笑いを飲み込んで

「大丈夫です、気にしていませんわ」

と、シェイマスに告げると、ようやく彼も安心したようだった。

「とにかく、今日の帰りにマーティに話をしてみます。
お互い婚約者もいることですし、いつまでも子どもの時のような距離感ではいられない……。
それはマーティも分かっているはずですからね」
「ええ……よろしくお願いします」

ネリーが頭を下げると、シェイマスはいつも通りの優しい微笑みを浮かべた。

そして

「本当はあなたは……」

と何やら言いかけたのだったが、そこへドタドタと走る足音と共に、アリスとマーティが戻ってきた。

ネリーは話の続きを促そうと首を傾げたが、大した話ではなかったらしい。
シェイマスは、ちょっと首を左右に振っただけで、それ以上口を開こうとはしなかった。

「もう!マーティってば、ひどいわ!
嫌になっちゃう」
「ごめんってば。そんなに怒るなよ、アリス」
「だってー!」

アリスとマーティが騒々しく言い合っている中、シェイマスは呆れたように口を挟んだ。

「本を一冊探すのに、どこまで行っていたんだよ」
「ごめんごめん、他の本のことで、つい話し込んじゃったんだよ」
「ごめんなさい。シェイマスも、それからネリー様も。退屈だったでしょう?」

アリスが申し訳なさそうに眉を下げる。
しかしシェイマスは怒るどころか、楽しげな声で答えた。

「退屈はしなかったよ。その間にネリー様と楽しく話せたしね」

シェイマスが意味ありげにネリーに片目をつぶって見せる。
楽しい話の内容が、マーティとアリスへの不満だとは、とても言えない。
ネリーは、まるで秘密を共有したような気分になって、クスクス笑いながら、

「はい。楽しかったですわ」

と頷いた。

「なんだよ、2人して。
なんの話をしてたんだよ」

マーティは楽しそうに2人の顔を覗き込んできたが、ふと見ると、アリスの顔からは笑顔が消えていた。
ムッとした顔で、こちらを見ていることに気がついたものだから、なんだか嫌な予感がした。
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