やっかいな幼なじみは御免です!

ゆきな

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「今年は、いつもよりもすごい盛り上がりね」
「本当だね。招待客の馬車の数も、かなり多いな」

ネリーは、マーティと共に馬車の中から、外を覗いて目を丸くしていた。

今夜はガブリエル公爵夫人の邸宅で仮面舞踏会が開かれる。
ネリーとマーティはもちろん、その他にもたくさんの貴族達が、ぞくぞくと集まってきていた。

馬車を降りるや否や、楽しげな音楽が聞こえて来る。
見回してみれば、馬車から降りて来る人々は皆、早くも仮面をかぶっているのに気がついて、ネリーは慌てて手に持っていた仮面をつけた。

「新しいドレスだね?よく似合っているよ」

マーティがネリーの手を取り、自分の腕につかまらせながら囁く。
ネリーはほんのりと頬を赤らめはしたものの、どうせ仮面のおかげで見えないのだし、と開き直って、姿勢を正した。

「ええ、新しいドレスを仕立てたのよ。
そう言ってもらえると、仕立てた甲斐があったわ。
ありがとう、マーティ」

新しくドレスを仕立てたところで、彼は気づかないと思っていたのに。

マーティに気づいてもらえた。
しかも褒めてもらえた。
それが、ネリーの足取りをますます軽くした。

マーティに続いて屋敷へ入っていくと、そこはもう、たくさんの人で埋め尽くされていた。

いつもよりもカラフルで派手な服装の人が並び、もちろん、その誰もが仮面をつけている。
とはいえ、大体の人は、背丈や体型、仕草や雰囲気で、誰が誰なのかは大体予想がついた。

なにしろ、いつも舞踏会で顔を合わせるメンバーには違いないのだから。
しかし、分かっていても名前は言わない、そして聞かないのが今夜のマナー。
仮面舞踏会の夜ばかりは、身分を気にせず無礼講で誰もが楽しむのである。

会場を眺め回したところで、マーティは言った。

「さて、どうしようか。
飲み物でも取って来ようか?
それとも、早速踊りに行く?」
「そうね。まずは……」

ネリーは言いながら、ふと遠くに立つ1人の女性に目を止めた。

美しい黄金の髪に、透き通るような白い肌。
仮面をつけていても、内側から光が溢れ出しているようにさえ見える。
それが誰なのか、ネリーにはすぐに分かった。

アリスだ。

ネリーは咄嗟にマーティの腕をとると、アリスのいる方とは反対方向へと歩き出した。

「せっかく舞踏会にきたんだもの。
まず、ダンスを楽しみましょうよ」
「珍しいね。ネリーが自分から踊りたいって言うなんて」
「まあ、たまにはね。
ほら、ちょうど音楽が始まるみたいだわ」

多少強引かとも思ったが、グイグイとマーティを引っ張っていく。
これで彼はアリスに気づくことはない……はずだったのに。

不意に彼は振り向くと

「あれ、今すれ違ったのって、イーディス様じゃなかった?
ほら、あそこの……」

と、辺りを見回し始めたのである。
そしてネリーが恐れていたことが起こってしまった。

どうやらマーティは、アリスを見つけたらしい。
彼女がいる方を向いたまま、話の途中で固まってしまったのだ。


ああ……これでマーティは、アリス様の方に行こうとするに違いないわ。


せっかく最近はマーティとも仲良くなってきていたのに。
これで全部台無しだ。
そう思って、がっくりと肩を落としたのだったが。

「あー……人違いだったみたい」

驚いたことに、マーティはそう呟くと、踵を返して歩き出したのである。


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