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26.熱量①
しおりを挟むノアは語られる過去と話すにしては近い距離、そしてブラムウェルの熱量に押され気味にはなったが、わりとすとんとそれらを受け入れた。
ブラムウェルの記憶なのでその感情に覚えはないし、まだどこか薄らぼやけてはいるが話される内容に違和感はない。
再会してから意図的に話さなかったことは多そうだけれど、先ほどやたらと予防線を張りながら追跡魔法のことを白状したことといい、嘘はつかないだろうと信じている。
自分に対する真剣な想いを疑うつもりもない。
話されることで思い出した部分とまだ曖昧な部分はあるが、すごく懐かれていたことを思い出した。
そして、その当時に比べて今も態度や行動にあまり変わりがなくてしっくりくる。
――それは、まあ、追跡魔法も納得というか。
再会するためにつけた実力がこのような形で発揮されてしまって残念な気もするが、過去の話を聞いていたらそれさえもブラムウェルらしいと思えた。
とにかく過去からずっとブラムウェルにとってノアが特別だとの熱量はしっかり伝わった。
好きと単純な言葉で言い表せられないくらい、別れやノアが死んだと聞かされたことでだいぶ拗らせているので扱いに困りそうだ。
けれど、その事実を知らないまま、誰にも超えさせなかった線を越えられ大事なところをブラムウェルには占拠されている状態だ。
思いもしなかった重い執着に驚きはあるものの、ブラムウェルだからでそれ以上どうしようとは思わない。
子供だった時のノアもその状況で会う約束をしていたのなら、慕ってくれていた分とても可愛がっていたのだろう。
絶対離れないと宣言されたが、ノア自身も離れることは考えたくないくらいブラムウェルのことは気になっている。
好きと言葉をもらい執着を示され、今まで深入りしないようにとブレーキをかけていたところがかけないでいいとわかって安心したためか、その気になるが急速に好きに変わりつつあった。
離れなくていいのなら、離れないように頑張ってくれるというのなら、その気持ちごとそして自分の大事な部分を明け渡して受け入れてしまっていいのではないかと思う。
ただ、普通に距離が近い。こんなに真面目な話をしているのに近すぎる。
話すたびに存在を確認されるように唇を落とされ、過去の話を悲痛さとともに訴えられながらも執着が前面に出るのはこの体勢とキスのせいだ。
くっつくのが定着してきたブラムウェルと、それを普通に受け入れている自分の心は春の暖かささえ感じていて大概だなと思う。
本当ならば自分の過去や出自、そして能力に不安を覚えるところなのに、なんとかなるかなと構えていられるのはブラムウェルがいるからだ。
「それでブラムは僕の能力や侯爵に狙われた理由はわからないってことだよね?」
ブラムウェルが言うには魔力があまりないと思っていた自分には魔力があるらしい。
だけど、ノア自身はそう感じたことはない。日常生活はいたって普通で、魔道具を使うのに困らないが得をするほどあると思ったことはない。
――そこまで不安があるわけではないけれど、すっきりしないよね。
記憶がぼんやりなのはランドルフに聞けばわかることもきっとある。能力に関してはよく知らないとは言っていたが、少なくとも母親について聞けるはずだ。
何より、母の弟というオルコック侯爵がやたらと右手の中指を噛んでいたことは気になる。異常な行動はノアを前にして発露した精神的なもので、きっと自分に関係する何かがあるはずだ。
「それだけ?」
「それだけって?」
うーんと首を捻り考えていると、くいっと顎を掴まれ視線を合わせられる。
むっと眉間にしわを寄せ面白くないと語るその拗ねた表情にさらに首を傾げると、ブラムウェルはわずかに頬を膨らませた。
子供の頃の話をしたからか、若干いつもより子供っぽい仕草に見える。
どんな表情をしていても美形なのでその姿も様になるが、気持ちを知ったこと過去を聞いたことで可愛さ倍増して見え、思わず指でその頬をつついた。
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