ギルド職員は高ランク冒険者の執愛に気づかない

Ayari(橋本彩里)

文字の大きさ
66 / 66

エピローグ 繋がった縁②

しおりを挟む
 
 だけど、自分たちの関係はこれでいいのだとノアはそっとブラムウェルの手を上から重ねた。
 やはり甘えられ、大事に思われて行動で示されると愛おしくなる。

「ああ」

 そこでさらに腕の力をこめられ、密着される。
 それを見たウォルトは心底呆れた表情を見せたが気遣しげに微笑み、それからノアたちの後ろへと視線をやった。

「もう、わかった。ノアが気にしていないならそれでいい。まあ、あまりに目が余るようなら口を挟ませてもらうけど、それよりもあんたの相棒何とかしてくれない?」

 ノアたちの後ろには、ギルドに来るまでに出会い一緒に入ったマーヴィンが立っている。
 これまで静かに様子を見守ってくれていた。

「マーヴィンがどうした?」
「デートしようってしつこいんだけど」
「別に悪いやつじゃない。二人の問題だから俺は口を挟む気はない」

 他人のことは本当に興味がないようだ。
 それでもこうして言葉を発するのは、自分の相棒とノアの友人が絡んでいるからだろう。

 ウォルトなら本当に嫌ならはっきりそう告げるだろうし、マーヴィンも嫌な相手にしつこくするタイプには見えない。
 そう思っていると、ようやくマーヴィンが口を開いた。

「俺はウォルトと仲良くなりたいだけだ。いろいろ聞きたいことがあるし、ウォルトも話しておくべきことがあると思って誘ってるのだけどな」
「…………」

 朝から爽やかな声音だ。
 聞いている分にはそこまで強引ではないように思えるのだけれど、そこでウォルトは悔しげに唇を噛んだ。
 どうしたのかと顔を覗き込むと、そこでこれまでで一番深くウォルトは溜め息をついた。

「はあ……」

 二人の間に一体何があったのか。
 なんでもはっきりしているウォルトには珍しい反応だ。
 嫌そうにしながらも、こうして相手をしているのは本当のところで嫌がっていないのではとノアはもう少しだけ様子を見ることにする。

 二人に何があったのかはわからないが、本当に困っていたら手を差し伸べたらいいだろう。
 それまでは二人の問題だろうから、下手に口を挟むべきものではない。何も知らないまま、余計なことをして拗れるほうが問題だ。

 その後、二人はデートをして距離が近くなったのか言い合いが増え、それでもウォルトが本気で拒絶していない空気はあったのでノアは話を聞くことに徹した。
 これから二人がどうなるかは、二人が決めることだ。

 あとは、新人冒険者のワイアットとブラムウェルが言い合いになりなだめたり、周囲がビビったり、なぜか同情の目線を向けられたり嫉妬されたりと落ち着かなかったけれど、賑やかな日々に笑顔が絶えなかった。

 ある晩。

「ノア、来て」

 手招きされてブラムウェルの足の間に座ると、ふわりと頭が温かくなった。
 もはや定番となった髪を乾かしてもらいながら、今日は業務が多くて疲れたなとその手の動きにうつらうつらしていると、髪を乾かし終えたブラムウェルはノアを抱き上げた。

 ベッドに運ばれ横になると、ブラムウェルに当然のように正面からすっぽりと抱きしめられる。
 ノアもその温もりにそっと顔を寄せた。
 とくとくと規則正しい心音を聞いていると、さらに眠くなってくる。

「ノア。眠たい?」
「ん」
「でも、魔法も強化させたい。ノア、明日休みだし。ダメ?」
「エッチして?」
「そう。ノアをとろとろに溶かして一つになりたい」

 うーんと眠たい頭で考える。
 ブラムウェルとするのは気持ちいい。ずんずんと奥まで暴かれるともう快楽の波に落とされ何も考えられなくなる。

 貪るようにすべてを欲されながらも、いつも丁寧に抱かれ、それが逆に最後は苦しいくらいでしかも長い。
 眠たさに引きずられ悩んでいると、ブラムウェルがシャツを捲り上げ手を入れた。
 するりと腹を撫でられ這い回る手の感触に、んっと声を漏らす。

「それに体力をつけたいと言ったのはノアだよ」
「だけど……」
「いい運動になってると思うけど」
「何か違う」

 いずれ孤児院があった村と祭壇があった場所へ行くことに決め、それまでに体力をつけたいと話してあった。
 自分の力を理解し使えるようになるのも課題なので、今すぐというわけではないけれど先の目標があるのはさらに日々が充実する。
 それに気持ちよすぎてどうにかなりそうなのがつらいだけで、ノアだって愛し合う時間が嫌なわけではない。

「ね、ノア」

 じっと見つめられ、軽く口づけられ、そのまま人差し指で唇を弄ばれわずかに指を入れられる。
 あからさまな誘いと、ブラムウェルから伝えられる熱にノアは目を閉じた。

「んっ」

 すぐにブラムウェルの唇が覆いかぶさってくる。

「ノア。愛してる。永遠に俺のものです。誰にも、何にも渡さない」

 熱烈な愛撫に溺れ、ノアは官能の海に身を任せた。



✽.。.:*·゚ ✽.。.:*·゚ ✽.。.:*·゚ ✽.。.:*·゚ ✽.

最後までお付き合いありがとうございました!

両親など詳しい事情を知る相手の行方がわからなかったりと全ての事情は語りきれませんでしたが、現時点で知れるものを得て二人なりに今の答えと今後の見通しはついたところで完結です。

さらに追及すると、なぜ国が滅びたかにも関係しさらに長くなるのでここで一度終わらせていただきます。
ブラムウェルのブレない愛とマイペースなノアなら、この先何を知り、どんな状況になっても乗り越えていくと思います!

いいねやエール、そして感想とともに最後までお付き合い、本当にありがとうございます(人´口`)♪
忙しくなり更新が途中からゆっくりになりましたが、その中でも集中力が途切れなかったのは皆さまのおかげです!
またどこかでお会いできたら幸いです。

しおりを挟む
感想 21

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(21件)

雪花
2025.06.29 雪花

ノアとブラムの話は、おもしろかったのです。              最後に出てきたウォルトとマーヴィン2人のお話も見たいです。

2025.06.29 Ayari(橋本彩里)

雪花さま

面白かったと言っていただき、テンション上がりました♪
ウォルトとマーヴィンの二人も、いつかは書いてみたいとは思いながらも現在手がまわらずで…
あるかなくらいで、気長にお待ちいただけたら幸いです。
最後までお付き合い、そして感想をありがとうございます゚+.゚(´▽`人)゚+.゚!!

解除
takara99
2025.01.31 takara99

一気に最後まで読んでしまいました。この後の謎が想像できなくて、また期待にワクワクしてしまい…お待ちしております、伏線を〜回収できる日を楽しみに

2025.02.01 Ayari(橋本彩里)

takara99さま
ラストまで一気読みありがとうございます!
そしてそして、先を期待いただいて嬉しいです。
あれこれ妄想済みなのでいつかはとは思いながら……
もし再開する際はお付き合いいただけたら幸いです。
感想ありがとうございます(*´∀人)♪

解除
四葩(よひら)

完結お疲れ様でした&おめでとうございます。


ブラムさんの執着楽しませていただきました。

アーヴィンさんとウォルトも気になっていたり(笑)

堪能させていただきました。

2025.01.20 Ayari(橋本彩里)

四葩さま
最後までお付き合い、そしてここまでずっとたくさんの推測を伝えていただき、読ませていただく時間楽しかったです。゚(゚ノ∀`*゚)゚。
しかも完結最後まで感想いただき、ずっと寄り添っていただけたこと感謝です✨

ウォルトたちも気にしていただき嬉しいです。
彼らのこともしっかり妄想済みです笑
なかなか楽しい二人なのでいつか書けたらなと思ってる人たちです。

たくさんの励みをいただき、本当にありがとうございました!

解除

あなたにおすすめの小説

婚約破棄と国外追放をされた僕、護衛騎士を思い出しました

カシナシ
BL
「お前はなんてことをしてくれたんだ!もう我慢ならない!アリス・シュヴァルツ公爵令息!お前との婚約を破棄する!」 「は……?」 婚約者だった王太子に追い立てられるように捨てられたアリス。 急いで逃げようとした時に現れたのは、逞しい美丈夫だった。 見覚えはないのだが、どこか知っているような気がしてーー。 単品ざまぁは番外編で。 護衛騎士筋肉攻め × 魔道具好き美人受け

僕は人畜無害の男爵子息なので、放っておいてもらっていいですか

カシナシ
BL
 僕はロローツィア・マカロン。日本人である前世の記憶を持っているけれど、全然知らない世界に転生したみたい。だってこのピンク色の髪とか、小柄な体格で、オメガとかいう謎の性別……ということから、多分、主人公ではなさそうだ。  それでも愛する家族のため、『聖者』としてお仕事を、貴族として人脈作りを頑張るんだ。婚約者も仲の良い幼馴染で、……て、君、何してるの……? 女性向けHOTランキング最高位5位、いただきました。たくさんの閲覧、ありがとうございます。 ※総愛され風味(攻めは一人) ※ざまぁ?はぬるめ(当社比) ※ぽわぽわ系受け ※番外編もあります ※オメガバースの設定をお借りしています

同室のアイツが俺のシャワータイムを侵略してくるんだが

カシナシ
BL
聞いてくれ。 騎士科学年一位のアイツと、二位の俺は同じ部屋。これまでトラブルなく同居人として、良きライバルとして切磋琢磨してきたのに。 最近のアイツ、俺のシャワー中に絶対入ってくるんだ。しかも振り向けば目も合う。それとなく先に用を済ませるよう言ったり対策もしてみたが、何も効かない。 とうとう直接指摘することにしたけど……? 距離の詰め方おかしい攻め × 女の子が好きなはず?の受け 短編ラブコメです。ふわふわにライトです。 頭空っぽにしてお楽しみください。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。 挿絵をchat gptに作成してもらいました(*'▽'*)

ゲーム世界の貴族A(=俺)

猫宮乾
BL
 妹に頼み込まれてBLゲームの戦闘部分を手伝っていた主人公。完璧に内容が頭に入った状態で、気がつけばそのゲームの世界にトリップしていた。脇役の貴族Aに成り代わっていたが、魔法が使えて楽しすぎた! が、BLゲームの世界だって事を忘れていた。

生まれ変わったら知ってるモブだった

マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。 貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。 毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。 この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。 その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。 その瞬間に思い出したんだ。 僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。

【完結】自称ヒロイン役を完遂した王家の影ですが、断罪パーティーをクリアした後に王太子がぐいぐい来ます。

竜鳴躍
BL
優秀過ぎる王太子×王家の影(失業)。 白い肌に黒髪黒瞳。小柄な体格で――そして両性具有。不出来な体ゆえ実の親に捨てられ、現在はその容姿を含め能力を買われて王家の影をしていたスノウ=ホワイト。男爵令嬢として王太子にハニトラを仕掛け、婚約者を悪役令嬢に仕向けて王太子への最終試験をしていたのだが、王太子は見事その試練を乗り越えた。これでお役御免。学園を退学して通常勤務に戻ろう――――――。 そう思っていたのに、婚約者と婚約解消した王太子がぐいぐい来ます! 王太子が身バレさせたせいで王家の影としてやっていけなくなり、『男子生徒』として学園に通うスノウとそんなスノウを妃にしたくてつきまとう王太子ジョエルの物語。 ☆本編終了後にいちゃいちゃと別カップル話続きます。 ☆エンディングはお兄ちゃんのおまけ+2ルートです。

番だと言われて囲われました。

BL
戦時中のある日、特攻隊として選ばれた私は友人と別れて仲間と共に敵陣へ飛び込んだ。 死を覚悟したその時、光に包み込まれ機体ごと何かに引き寄せられて、異世界に。 そこは魔力持ちも世界であり、私を番いと呼ぶ物に囲われた。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。