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2章
エピローグ
しおりを挟むそれから、長い長い時が流れました。
森の奥にあった廃墟は、いつしか美しいお屋敷へと姿を変え、その周りには一年中枯れることのない、色とりどりの花々が咲き乱れるようになりました。
世界の管理者との約束通り、その森は外界から切り離された、二人だけの箱庭となりました。
街の人々は、かつてそこに誰が住んでいたのかも忘れ、深い森には恐ろしい魔物がいるのだと囁き合い、決して近づこうとはしませんでした。
けれど、森の奥は、世界で一番温かく、穏やかな場所でした。
記憶を失くした男の子は、かつての自分が何者だったのか、思い出すことはありませんでした。
でも、そんなことはもう、ちっとも悲しいことではありません。なぜなら、彼の心は、森の主から注がれる海よりも深い愛で、隅々まで満たされていたからです。
男の子が微笑めば、森の主も優しく微笑み返します。
男の子が寒いと言えば、森の主はすぐにその体を温めます。
二人が手を繋げば、枯れ木に花が咲き、嵐が止み、世界は優しい色に染まりました。
それは、過去の記憶よりもずっと鮮やかで、確かな幸福でした。
森の主は、愛しい伴侶をその腕に抱きしめ、何度も何度も愛を囁きます。
かつて孤独だった虚無の王は、もういません。彼の瞳には、永遠に消えることのない愛の光が灯っていました。
世界から逃げ出し、記憶さえも手放して、それでも巡り合った二つの魂。
二人は、誰にも邪魔されない永遠の箱庭で、いつまでも幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。
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