孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi

文字の大きさ
41 / 108
4章 ルルとその仲間達

カイルの変化

しおりを挟む
孤児院に行った次の日、カイルは朝早く起床した。これには女官達も驚き急いで身支度の準備をする。


「軽装にする。朝はリリアーナと走る約束をしているんだ」


そうして顔を洗い、着替えると外に出る。そこには準備体操しているリリアーナがいた。


「あら、お兄様!起きられたのね!」


「うん、私も準備体操するよ!」


カイルの変化にリリアーナも喜ぶ。二人仲良く準備体操していると、父親で国王のジェラルドがやってくる。


「おー!カイル起きれたか!今日は俺も走るぞ!」


「「はい!」」喜ぶカイルとリリアーナ


三人で城の庭を走り、カイルはジェラルドと剣の稽古もしてもらい、それを羨ましく思ったリリアーナも自ら剣を持ち参加している。


「カイルも中々だが、リリアーナも筋がいいな!」


「本当ですか!私、上手くなってチロ達に教えてあげたいのです!」


「そうか!ならリリアーナも今度から稽古に参加しろ!」


「やったー!」


カイルはそれを微笑ましく見ている。稽古が終わると部屋に戻り、汗などあんなに気にならなかったのに、今日は何故か気持ち悪いので風呂に入りたくて仕方がない。そして風呂がこんなに気持ちいいと思うのは初めてだ。


さっぱりして着替えると、食事の為に部屋を出る。いつもは部屋に持ってきてもらいベッドで食べていた。


「お兄様!」


後ろから侍女と共にやって来たリリアーナ、二人で話しながら父上が待つ部屋に行く。そこには母上もいて初めて四人で食事を採るが、嬉しくて感極まる母上を父上が優しく見守る。


「これでルルもいたらな…」


カイルが呟くとしんみりしてしまったので、急いで話題を変える。


「リリアーナは剣が上手いんですよ」


「まぁ!エチカ様が喜びそうね?」母上が言う


「はい!私の目標はエチカ叔母様です!」


「「「……」」」


キラキラ目を輝かせて言うリリアーナに何とも言えない三人。


「カイル、授業は受けるのか?」


「はい、今日から教師をお願いします」


カイルのやる気に満ちた姿に、孤児院に連れていって良かったと思うジェラルド。四人で楽しく食事をしていると、廊下から聞き覚えがある声が聞こえてくる。


「にゃんかいいにおいがちまちゅねー!」


「「「「はぁ?」」」」


「チロおにゃかしゅいちゃったー」


「「「「チロ!!??」」」」


ジェラルドは立ち上がるとドアを開ける。だがそこには誰もいない、女官や護衛兵士しかいない。


「おかしいな…確かにチロの声が聞こえたのに」


「チロここにいりゅよ!」ぷんすか怒るチロ


ジェラルドの足下にちょこんと立つチロに驚く一同。


「あーー!リリーとカエルだー!」


「カエルじゃなくてカイルだ!」


「えー!チロ何でここにいるの?」嬉しそうなリリアーナ


何故王宮にチロがいるのか!?




しおりを挟む
感想 111

あなたにおすすめの小説

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。

138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」  お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。  賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。  誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。  そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。  諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中

四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

処理中です...