孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi

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6章 それぞれの旅立ちとこれから

特別編 おチビ達の日常

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ヨシュア(チロ)とリク、そしてエドワードの三人は大の仲良しだ。

今日も仲良く公爵家の中庭でキャッキャと遊んでいた。そんな三人を見守るのはヨシュアの母親であるエチカ公爵夫人、そしてルルとアンリだ。

「いつも兵士ごっこで飽きないのかな、おちび達」

アンリがクッキーを頬張りながら呟いた。

「ふふ、可愛いから良いじゃない!可愛いは正義よ!」

エチカが三人を微笑ましく見守っている。

「まぁいつもの事だから、今日は誰が餌食になるかな」

恐ろしい事を言うルルに、苦笑いするアンリであった。



「きょうはだいじにゃくんれんをしましゅ!」

「「あい!!」」

「大事な訓練っていつものあれでしょ?」

「もう!アンリうるちゃい!」

聞こえたのか、アンリに文句を言うヨシュア。

「はいはい!ごめん、ごめん!」

「はいはいっかい!」

「⋯⋯こやつらルルに似てきたわ」

アンリの言葉に苦笑いするしかないルルだが、案の定始まったのが匍匐(ほふく)前進であった。三人は一生懸命に前へ進もうとするが、やはりなかなか進まない。

「むじゅかちいでしゅね!でもてきにみちゅかったらおわりでしゅ!」

ヨシュアが流れていない汗を必死に拭きながら、二人に忠告する。

「あい!しじゅかにすすみましゅよ!」

リクが音を立てずに進もうとするが、ベタな展開だがズボンがずり下がってきてしまう。だが気にした感じはなく、そのまま進もうとしていた。

「!!。リクへいし!おじゅぼんがぬげてましゅよ!」

後ろにいたエドワードがいち早く気づいたので小声でリクに教えてあげる。それを聞いたアンリは飲んでいた紅茶を吹き出して大笑いする。

「あはは!」

「もう!アンリがうるちゃい!」

大笑いするアンリが気に入らないヨシュアは徐に立ち上がり文句を言いに来た。

「だって⋯リクが大変なことになってるわよ?助けに行かないと敵にズボンを取られちゃうよ?」

アンリに言われて初めて仲間がピンチなのに気づいたヨシュアは、急いでリクの元へ向かった。

「だいじょぶでしゅか!?」

「あい!いそいではきましゅ!」

リクは立ち上がると、脱げたズボンを履いている。その間、ヨシュアとエドワードは何かコソコソと話しているが、チラッとアンリを見ているので多分アンリの事だろう。

「ちょっと!何よ、私に文句でもあるの?」

「てきはアンリでしゅ!!おいかけてちゅかまえましゅ!」

「何でだよ!」

急に標的にされたアンリは立ち上がり逃げようとする。

「アンリはうるちゃいのでちゅかまえましゅ!」

ヨシュアの宣告を受けたアンリ。

「何だそれ!」

三人は小回りが効くので動き回り、逃げるアンリを徐々に追い詰めて行く。

「もう!訓練の成果か分からないけど無駄に体力があるちび共だわ!」

疲れた様子がないおちび達は、楽しそうにアンリを追いかけ回す。

「ちゅかまえたらこちょこちょのけいでしゅ!」

「地味に嫌だわ!ルル!助けてよ!」

アンリはルルに助けを求める。

「はぁ⋯おちび達!整列!!」

ルルが溜息を吐きながらも助け舟を出した。

「「「あい!!!」」」

ルル隊長の掛け声に素直に返事をして集合するおちび兵士達。

「よし!アンリを先に捕まえた者には褒美としてクッキーをやる!」

「「「やったーー!!!」」」

ルル隊長の裏切りに開いた口が塞がらないアンリ。

「褒美にしなくても食べれるでしょ!?」

この後、ジョンさんがやって来るまで追いかけ回されたアンリなのであった。
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