35 / 103
34.魔法の力の秘密
天空の魔女 リプルとペブル
しおりを挟む
34.魔法の力の秘密
ふとそのとき、リプルは幼い頃からよく見る悪夢を思い出した。
災害にあったらしい知らない場所で小さな女の子に出会う夢だ。
「魔法なんてウソ。魔法使いなんて、いない」
そうつぶやきながら歩く女の子に、新たな脅威が迫る。
地面を切り裂きながら走る黒い地割れ。そこにバラバラと落ちていく人たち。
リプルは思わず「逃げて!」と、叫ぶ。
しかし、なすすべもなく地上の人たちは黒い地割れに次々とのまれていく。
「なんで、みんな魔法を使わないの!?」
使わないんじゃない。使えないんだ。彼らは魔法を持っていない。
迫る地割れから逃げる女の子を助けようと手を伸ばしたした瞬間、リプル自身も竜巻に飲み込まれて飛ばされ、そこでいつも目が覚める。
目覚めたあとに感じるのは、女の子やたくさんの人たちを助けられなかったという悔い。
自分だけ空に逃げていることの罪悪感。
先生の話を聞いたリプルは、あの夢の意味を理解した。
イザベスが、ほつれ髪をくるくると指でもてあそびながら他人事みたいに言う。
「あら、何もわたくしたちが助けてあげなくても、地球の人たちが自分たちで戦えばいいんじゃないんですの? なにも関係ない人たちのためにわたくしたちが危険にさらされるなんて理不尽ですわ」
リプルは思わずイザベスに言いかえしていた。
「私たちには、魔法という特別な力がある。でも、地球の人たちは魔法が使えない。だから、私たちが守ってあげなきゃいけない」
静かだけど、決意にみちたリプルに気をのまれたのか、イザベスは「あら、そう」とつぶやき黙ってしまった。
「あのー、闇の天魔たちが地球でウェ~イってなると、どうなるんですか?」
まるで映画の結末をたずねるかのように、ペブルがのんきに聞く。
先生は、澄んだ目でまるで1+1の答えを言うかのように答えた。
「魔法の世界も滅ぶでしょうね。地球上の生物が亡べば、私たちは魔法が使えなくなりますから」
「魔法が使えなくなる!?」
生徒たちがざわつく。
「じつは、魔法使いと地球上の生物の間には目に見えない絆があるのです。地球上の生物たちは寿命を終えるときに肉体から魂が抜け出ます。その魂が天にあがってくる。それが私たちの魔力のもとになっているのです」
(私たちの魔力のもとは、地球上の生物の魂だったんだ。そんな大切な力を私たちは使わせてもらっていたんだ)
リプルは心がふるえた。
ペブルも改めてことの重大さに気づき、ゴクリをつばを飲み込んだ。
先生は、一息いれると生徒たち一人ひとりの目をしっかりと見つめた。それから、祈るように言った。
「私たちは魔女として生を受けた以上、闇の天魔たちから、ひとつでも多くの命を救うという、使命を果たさなければなりません。私は、一人の教師として、皆さんが誇りをもって魔女としての使命を受け入れてくれることを望みます」
先生の話が終わってからしばらくの間、生徒たちは誰も言葉を発することができなかった。
リプルは、静かに先生の言葉を胸の中でかみしめていた。子どもの頃から、どうして自分たちが魔法を勉強しているのか、そのことをずっと不思議に思っていた。
そして、自分の中でまるでメッセージのように繰り返し見る悪夢。
その理由が今、こうして明らかにされたのだ。
最初はおののいていたリプルの心に、やがて強い気持ちがわいてきた。
魔法は、自分たちのためだけの物ではなかったのだ。
地球上に暮らす生き物たちの命を守るために私たちに託された力だったのだ。
私たちが学んでいる魔法が人や動物を救う力になる。リプルの胸に小さな灯りのような物がともった。
ふとそのとき、リプルは幼い頃からよく見る悪夢を思い出した。
災害にあったらしい知らない場所で小さな女の子に出会う夢だ。
「魔法なんてウソ。魔法使いなんて、いない」
そうつぶやきながら歩く女の子に、新たな脅威が迫る。
地面を切り裂きながら走る黒い地割れ。そこにバラバラと落ちていく人たち。
リプルは思わず「逃げて!」と、叫ぶ。
しかし、なすすべもなく地上の人たちは黒い地割れに次々とのまれていく。
「なんで、みんな魔法を使わないの!?」
使わないんじゃない。使えないんだ。彼らは魔法を持っていない。
迫る地割れから逃げる女の子を助けようと手を伸ばしたした瞬間、リプル自身も竜巻に飲み込まれて飛ばされ、そこでいつも目が覚める。
目覚めたあとに感じるのは、女の子やたくさんの人たちを助けられなかったという悔い。
自分だけ空に逃げていることの罪悪感。
先生の話を聞いたリプルは、あの夢の意味を理解した。
イザベスが、ほつれ髪をくるくると指でもてあそびながら他人事みたいに言う。
「あら、何もわたくしたちが助けてあげなくても、地球の人たちが自分たちで戦えばいいんじゃないんですの? なにも関係ない人たちのためにわたくしたちが危険にさらされるなんて理不尽ですわ」
リプルは思わずイザベスに言いかえしていた。
「私たちには、魔法という特別な力がある。でも、地球の人たちは魔法が使えない。だから、私たちが守ってあげなきゃいけない」
静かだけど、決意にみちたリプルに気をのまれたのか、イザベスは「あら、そう」とつぶやき黙ってしまった。
「あのー、闇の天魔たちが地球でウェ~イってなると、どうなるんですか?」
まるで映画の結末をたずねるかのように、ペブルがのんきに聞く。
先生は、澄んだ目でまるで1+1の答えを言うかのように答えた。
「魔法の世界も滅ぶでしょうね。地球上の生物が亡べば、私たちは魔法が使えなくなりますから」
「魔法が使えなくなる!?」
生徒たちがざわつく。
「じつは、魔法使いと地球上の生物の間には目に見えない絆があるのです。地球上の生物たちは寿命を終えるときに肉体から魂が抜け出ます。その魂が天にあがってくる。それが私たちの魔力のもとになっているのです」
(私たちの魔力のもとは、地球上の生物の魂だったんだ。そんな大切な力を私たちは使わせてもらっていたんだ)
リプルは心がふるえた。
ペブルも改めてことの重大さに気づき、ゴクリをつばを飲み込んだ。
先生は、一息いれると生徒たち一人ひとりの目をしっかりと見つめた。それから、祈るように言った。
「私たちは魔女として生を受けた以上、闇の天魔たちから、ひとつでも多くの命を救うという、使命を果たさなければなりません。私は、一人の教師として、皆さんが誇りをもって魔女としての使命を受け入れてくれることを望みます」
先生の話が終わってからしばらくの間、生徒たちは誰も言葉を発することができなかった。
リプルは、静かに先生の言葉を胸の中でかみしめていた。子どもの頃から、どうして自分たちが魔法を勉強しているのか、そのことをずっと不思議に思っていた。
そして、自分の中でまるでメッセージのように繰り返し見る悪夢。
その理由が今、こうして明らかにされたのだ。
最初はおののいていたリプルの心に、やがて強い気持ちがわいてきた。
魔法は、自分たちのためだけの物ではなかったのだ。
地球上に暮らす生き物たちの命を守るために私たちに託された力だったのだ。
私たちが学んでいる魔法が人や動物を救う力になる。リプルの胸に小さな灯りのような物がともった。
0
あなたにおすすめの小説
9日間
柏木みのり
児童書・童話
サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。
(also @ なろう)
未来スコープ ―キスした相手がわからないって、どういうこと!?―
米田悠由
児童書・童話
「あのね、すごいもの見つけちゃったの!」
平凡な女子高生・月島彩奈が偶然手にした謎の道具「未来スコープ」。
それは、未来を“見る”だけでなく、“課題を通して導く”装置だった。
恋の予感、見知らぬ男子とのキス、そして次々に提示される不可解な課題──
彩奈は、未来スコープを通して、自分の運命に深く関わる人物と出会っていく。
未来スコープが映し出すのは、甘いだけではない未来。
誰かを想う気持ち、誰かに選ばれない痛み、そしてそれでも誰かを支えたいという願い。
夢と現実が交錯する中で、彩奈は「自分の気持ちを信じること」の意味を知っていく。
この物語は、恋と選択、そしてすれ違う想いの中で、自分の軸を見つけていく少女たちの記録です。
感情の揺らぎと、未来への確信が交錯するSFラブストーリー、シリーズ第2作。
読後、きっと「誰かを想うとはどういうことか」を考えたくなる一冊です。
四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。
しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。
そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。
そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
中学生ユーチューバーの心霊スポットMAP
じゅん
児童書・童話
【第1回「きずな児童書大賞」大賞 受賞👑】
悪霊のいる場所では、居合わせた人に「霊障」を可視化させる体質を持つ「霊感少女」のアカリ(中学1年生)。
「ユーチューバーになりたい」幼なじみと、「心霊スポットMAPを作りたい」友達に巻き込まれて、心霊現象を検証することになる。
いくつか心霊スポットを回るうちに、最近増えている心霊現象の原因は、霊を悪霊化させている「ボス」のせいだとわかり――
クスっと笑えながらも、ゾッとする連作短編。
こちら第二編集部!
月芝
児童書・童話
かつては全国でも有数の生徒数を誇ったマンモス小学校も、
いまや少子化の波に押されて、かつての勢いはない。
生徒数も全盛期の三分の一にまで減ってしまった。
そんな小学校には、ふたつの校内新聞がある。
第一編集部が発行している「パンダ通信」
第二編集部が発行している「エリマキトカゲ通信」
片やカジュアルでおしゃれで今時のトレンドにも敏感にて、
主に女生徒たちから絶大な支持をえている。
片や手堅い紙面造りが仇となり、保護者らと一部のマニアには
熱烈に支持されているものの、もはや風前の灯……。
編集部の規模、人員、発行部数も人気も雲泥の差にて、このままでは廃刊もありうる。
この危機的状況を打破すべく、第二編集部は起死回生の企画を立ち上げた。
それは――
廃刊の危機を回避すべく、立ち上がった弱小第二編集部の面々。
これは企画を押しつけ……げふんげふん、もといまかされた女子部員たちが、
取材絡みでちょっと不思議なことを体験する物語である。
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
