天空の魔女 リプルとペブル

やすいやくし

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72.リプルの力で

天空の魔女 リプルとペブル

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72.リプルの力で

「とりあえず……、この闇の中で二人が離ればなれにならないよう、あった。このロープでと、俺の腰ベルトに片方を結んだから、こっちの端を自分の腰に結んでくれ」
「わかった」

「こっちの方から落ちてきたよな」
「うん」
「じゃあ、登るぞ。気をつけて」
「うん」

 それから半時間ほど、ペブルとロッドは、悪戦苦闘しながらもなんとか、自分たちが転げ落ちてきた崖を登り切った。
途中、お互いの体を結んでいたロープのおかげで、どちらかが転び落ちそうになったときは、もう一方がロープを引っ張るなどして、危機を乗り切った。

「どうやら、ここから落ちたみたいだな」
 地面の傾斜がほぼなくなり、足に平らな地面を感じたロッドが言う。

「リプルたち、先に行っちゃったかな?」
 ペブルが不安そうな声を出す。
「どうかな……ん? あれは」
 ペブルが、ロッドの指差す方を見ると、遠くに小さく灯りが見えた。

「やった! みんながあそこにいる」
「おう、よかった。俺たちのこと待っててくれたんだな」
 二人は、嬉々として、灯りの方へと小走りで向かった。

 一方、ペブルとロッドを見失ったリプルたちは、頭を悩ませていた。
「探すと言ってもこの暗さじゃなあ」

「ハックション」
 リプルが大きなくしゃみをした。
 そのとたん、ハッとして慌てて魔女服のフードを頭にかぶった。

「どうした? 寒いのか」
 ジールに聞かれて、リプルは、ちょっとだけと答える。

 でも、本当は、寒いからフードをかぶったのではなかった。
 先ほど飲んだ水の魔力のせいか、急に耳がむずがゆくなったリプル。
(きっと狼の耳になっちゃうんだわ)と、思い、それを隠すためにフードをかぶったのだった。

 リプルは、魔力が強い場所に足を踏み入れたり、自分の中に魔力があふれすぎると、狼の耳としっぽが生えてくる。
 使い魔の能力を持って生まれてきたために、そんなふうに体が変化をするのだ。

 ところで、狼の耳としっぽが生えた時のリプルは、人間離れした耳や鼻の能力を発揮する。
 野生の狼に負けないくらいだった。

(この能力を使えば、ペブルのあの騒がしい声が聞き取れるかも)
 ペブルが耳を澄ますと、とたんに四方八方から賑やかな音が、耳の中に押し寄せてきた。
 コウモリたちが飛び交う音、地面の上を虫が這う音、どこかで小石が転がる音、でも、一番大きな音は、ゴウゴウという水の響きだった。

 どうやら、どこかに滝のような流れがあるらしい。
 その音が大きすぎて、それ以上の音をとらえることはできなかった。
 リプルは狼の耳を使うことをあきらめた。

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