天空の魔女 リプルとペブル

やすいやくし

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79.動物園の村

天空の魔女 リプルとペブル

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79.動物園の村

 その日の夕方、リプルたちは、ガンガルという村に着いた。
 ここは、王都にほど近い村で、リプルたちの住んでいるオルサトやカルキー騒動の原因となったハルケス村に比べると人口も多い。
 それにこの村には、自然の地形を活かした動物園があるため、王都から観光に来ている人たちも多かった。

 リプルたちは、宿に入ると、すぐにぺこぺこのお腹を満たすためにレストランへと向かった。
 レストランのメニューは、動物で有名な街にちなんで動物の名がついたプレートセットが人気らしい。

 店のおすすめは、
「ライオンプレート」
「アリゲータープレート」
「ぞうスペシャル」
 の三品。
 
 リプルとイザベス、ジールは「ライオンプレート」を選んだ。
 運ばれてきた「ライオンプレート」は、中央にオレンジ色に色をつけたご飯をまるくおいて、その周りに黄色いスクランブルエッグでライオンのたてがみを形づくってあった。
 こんがり焼けた骨付きの鶏肉もそえてある。
「おいしそう。ご飯は、チキンライスね」
 リプルは目を輝かせた。

 ロッドとマーサがオーダーしたのは、「アリゲータープレート」茶色いスープの中から緑色の野菜にくるんでワニの姿を模したチキンが顔を出している。ワニの足跡型に切ったにんじんも添えられている。
「久しぶりに温かい食べ物が嬉しいな」
 ロッドがしみじみと言う。

 ペブルが頼んだのは、「ぞうスペシャル」だった。
「もう、ほんとにお腹ぺこぺこ。リプルたちはお茶して、ケーキ食べたんでしょ。私とロッドはずっと歩いてたし、ぞうスペシャルなら、お料理山盛りな気がする」
 と、いう理由で選んだメニューだった。
 
 しかし、その料理が運ばれて来た時、ペブルはポカンと口を開いた。
 ペブルの前にドンと置かれたその料理は、たしかに山盛りだった。
 大きなボウルからあふれそうになったキャベツとレタス。
 あまりの山盛りぶりに正面に座っているマーサの顔が見えなくなってしまったほどだった。
 彩りに少しだけリンゴのスライスが入っている。

「あ、あの。これがどうしてぞうスペシャルなんですか?」
 思わず、ウエイターにペブルが聞くと、
「これ、人気メニューなんですよ。ゾウになったつもりで野菜を山盛り食べてみようっていううちの看板メニューです。なんで、野菜はいくらでもおかわりできますから」
 と、いう返事。

「えーt、野菜だけ……」
 ペブルは、がっくりと肩を落とした。

 そんなペブルに、リプルは自分のお皿から鶏肉を取り分けてあげた。
 ペブルは
「ありがとう! リプル大好き」
 と、とたんに機嫌をなおして、あっという間に山盛りサラダをたいらげた。
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