目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し

gari@七柚カリン

文字の大きさ
7 / 79
第一章 どうやら、異世界に転移したらしい

7. 鑑定は、正確に

しおりを挟む
⦅手に魔力を集めて、敵に投げつけるだけじゃ⦆

 マホーは簡単に言うけど、そんな簡単にできたら誰も苦労は…………しなかった!
 俺が放った氷の矢がゴブリンたちに突き刺さり、次々と倒れていく。
 でも、こんなにスイスイ倒せていいのだろうか?
 小説の主人公たちは、結構苦労して習得しているような気がするけど……

⦅それは、儂が補助しておるからじゃ!⦆

 そ、そうだよね。
 危ない危ない、もう少しで「俺って、天才かも」と勘違いするところだった。
 改めて気を引き締め、ゴブリンたちと対峙する。
 ソウルも危なげなく一匹ずつ確実に仕留めていて、残りは雑魚が二匹と例の三匹だけになった。

⦅ようやく、やつらのお出ましじゃぞ。せっかくじゃから、あの三匹を鑑定してみよ⦆

 俺は、教えてもらいたての『鑑定』を発動する。


     【種族】 ゴブリン
     【職業】 回復役
     【レベル】 23
     【スキル】 回復


     【種族】 ゴブリン
     【職業】 召喚士
     【レベル】 30
     【スキル】 召喚


     【種族】 ホブゴブリン
     【職業】 ゴブリンリーダー
     【レベル】 41
     【属性】 土


 見た目は普通のゴブリンだが、回復役と召喚士というやっかいな職業を持っている。
 残念ながら?結界魔法の使い手はいなかった。
 二匹のレベルは、冒険者でいえばEランクとⅮランクというところ。
 そして、一番大きな個体は、ゴブリンキングではなくゴブリンリーダーのようだ。
 それでも、レベル41はBランクの冒険者に相当するし、土魔法が使えるみたいだから、かなり強いのではないだろうか。

⦅なんじゃ、この中途半端な鑑定は。やるなら、もっときちんと鑑定をせよ!⦆

 あれ? 師匠に怒られたぞ。
 どうやら、マホーは気に入らなかったらしい。
 俺としては、ここまでわかれば十分だと思うけど……
 だって、『レベル』『魔力』『攻撃力』の数値は大体同じなんだよな?

⦅戦ってみれば、わかるぞ⦆

 そうだな、とりあえず実践あるのみ!
 えっと……まず倒すのは、回復役と召喚士だな。
 さっきと同じ氷の矢で、二匹同時に攻撃を……って、ん? ゴブリンリーダーが土壁を出して庇った!
 俺から次々と撃ち出されるの氷の矢をリーダーが魔法と体を張って弾き返し、回復役がすぐに癒している。
 その間に、召喚士がスモールウルフを召喚していた。
 召喚された五匹は俺が残らず倒したが、ソウルはまだ雑魚ゴブリンと戦っていたから危ないところだったな。

⦅どうじゃ、わかったじゃろう?⦆

 三匹の連携が見事なのはわかったけど、他に何かあるのか?

⦅リーダーの防御力は、『55』じゃ⦆

 なるほど……土魔法と高い防御力を駆使して仲間を守り、その間に回復と召喚をさせているのか。

⦅そうやって時間を稼いで、おぬしの魔力が尽きるのを待っておるのじゃ⦆

 剣を持っていない俺は、魔法攻撃しかできないと判断。
 ソウルへ召喚獣で攻撃を仕掛けて、俺に攻撃と防御の魔法を行使させるってことか。
 あいつら、頭良いな。

⦅では、この場合、先に倒すべきはどいつじゃ?⦆

 盾役のゴブリンリーダー……だよな?

⦅正解じゃ! では、そろそろ儂がいくぞ…ほれ!⦆

 リーダーの足元から突然土の棘《とげ》が現れ、下から一気に体を貫く。
 これが本当の、串刺しというやつだな……かなりの衝撃映像だけど。
 いくらやつの防御力が高いとはいっても、この攻撃には耐えられなかったようだ。
 そのまま崩れ落ち、絶命する。

「カズキ、やっぱり残りの二匹は俺にやらせてくれ!」

「ソウル!!」

 守りを失っても、レベルはそれなりだぞ!と叫んだころには、勝負がついていた。
 剣が一閃し、危なげなくソウルは二匹を真っ二つに……おいおい、俺のところまで血が飛び散ってきたぞ。
 
⦅ホッホッホ、良かったのう。あやつのおかげで、『回復』と『召喚』のスキルを手に入れたぞい⦆

 ……えっ、どういうこと?

⦅血の飛沫が口や目から体内に入り、『粘膜』に付着したのじゃろう。飲まずとも、体に取り込まれればスキルが奪えることが証明されたのじゃ⦆

 ま、マジかよ……全然、嬉しくないのだが。
 心境はかなり複雑だけど、無事に討伐は終わったから良しとするか。

 ―――って、なるわけない! すぐに、水魔法で死ぬほどうがいして、目も洗浄したよ!!


「カズキって、強いんだな……俺も、もっともっと練習して、強くなりたい!」

「…………」

 ソウルから尊敬のまなざしを向けられたけど、労せずしてチート能力を手に入れてしまった俺は後ろめたい気持ちになってしまう。
 自分一人の力で努力を重ねて剣の腕を磨いてきたソウルのほうが、俺より遥かに立派だ。
 そんな彼を失望させないようこの能力に驕り高ぶることなく、困っている人のために使っていこうと決意したのだった。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

異世界に召喚されたぼっちはフェードアウトして農村に住み着く〜農耕神の手は救世主だった件〜

ルーシャオ
ファンタジー
林間学校の最中突然異世界に召喚された中学生の少年少女三十二人。沼間カツキもその一人だが、自分に与えられた祝福がまるで非戦闘職だと分かるとすみやかにフェードアウトした。『農耕神の手』でどうやって魔王を倒せと言うのか、クラスメイトの士気を挫く前に兵士の手引きで抜け出し、農村に匿われることに。 ところが、異世界について知っていくうちに、カツキは『農耕神の手』の力で目に見えない危機を発見して、対処せざるを得ないことに。一方でクラスメイトたちは意気揚々と魔王討伐に向かっていた。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

家ごと異世界ライフ

ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

好き勝手スローライフしていただけなのに伝説の英雄になってしまった件~異世界転移させられた先は世界最凶の魔境だった~

狐火いりす@商業作家
ファンタジー
 事故でショボ死した主人公──星宮なぎさは神によって異世界に転移させられる。  そこは、Sランク以上の魔物が当たり前のように闊歩する世界最凶の魔境だった。 「せっかく手に入れた第二の人生、楽しみつくさねぇともったいねぇだろ!」  神様の力によって【創造】スキルと最強フィジカルを手に入れたなぎさは、自由気ままなスローライフを始める。  露天風呂付きの家を建てたり、倒した魔物でおいしい料理を作ったり、美人な悪霊を仲間にしたり、ペットを飼ってみたり。  やりたいことをやって好き勝手に生きていく。  なぜか人類未踏破ダンジョンを攻略しちゃったり、ペットが神獣と幻獣だったり、邪竜から目をつけられたりするけど、細かいことは気にしない。  人類最強の主人公がただひたすら好き放題生きていたら伝説になってしまった、そんなほのぼのギャグコメディ。

聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。 そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来? エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...