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第一章 どうやら、異世界に転移したらしい
11. 拠点をゲット!
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村へ戻った俺は、さっそく役場へ向かう。
「失礼します」
「カズキ、帰っていたのね。あら、その子は?」
「まあ、真ん丸とした可愛らしい白猫ちゃんね」
トーラを見てルビーは首をかしげ、パート主婦のミアさんは目を細めている。
俺の腕におとなしく抱かれているトーラの見た目は、『普通の猫よりちょっと顔が大きくて、脚がちょっとだけ太い猫』という感じだ。
「こいつはトーラと言って、俺の『使い魔』なんだ」
マホーから、「(俺は魔法使いの弟子だから)トーラは、使い魔だと言っておけ」と助言を受けた。
ちなみに、マホーに使い魔はいなかったらしい。
「今まで、この子はどうしていたの? 使い魔だから、お使いに行っていた…とか?」
「あ、ああ……それで、相談だが、この村には空き家がたくさんあるだろう? そこを、しばらくの間貸してもらえないだろうか?」
俺は当分の間トーアル村に滞在するつもりなので、拠点となる家を借りることにした。
いつまでも村長の所で世話になるのは申し訳ないし、トーラが仲間になった以上、俺たちだけで生活をするほうがいいと考えたのだ。
「空き家に住んでもらえるのは有り難いが、あまり綺麗ではないよ?」
維持・管理が行き届いていないからねと、ゴウドさんは申し訳なさそうに言う。
「構いません。自分で掃除をしますし」
忙しい人たちの手を、煩わせるわけにはいかない。
現在、無職の俺は、時間だけはいっぱいある。
「一人と一匹なら、それほど大きな家は必要ないわよね?」
「あ……できれば、広い部屋がある家がいいな」
家で寝るときくらい、トーラには元の姿でのびのびと過ごさせてやりたいからな。
「じゃあ、この家がいいと思うわ。ところで、カズキは大きな魔石は持っているの?」
「いや、あのゴブリンリーダーのものしかないよ」
「あなたなら自分で何とでもできると思うけど、あったら家事をするのに何かと便利よ?」
たしかに、家の中で生活をするには必需品だよな。
マホーも使用していたと言っていたし。
「うちにある空のでよければ、一つあげるわ。自分で魔力を入れて使って」
⦅儂の家にあるやつも、使えばよい⦆
「ありがとう! 助かるよ」
マホーも、ありがとな!
家賃はいくらかと尋ねたら、ゴウドさんは「自分で掃除をしてもらうし、無料でいいよ」と言ったけど、さすがにただでは……
そしたら、ルビーが家賃の代わりに魔力を少しわけてほしいと言う。
どうやら、役場で使用する魔力も不足しているようで、昨日ゴウドさんが家から新しい魔石を持ち出したのは、そのためだったようだ。
魔石代と家賃を相殺して、処理しておくとのこと。
「ルビー、空の魔石を全部出してくれ。ついでに、家のも」
「家のはいいわよ。昨日、入れてもらったし。役場のも、一つだけでいいわ」
「遠慮すんな。役場の分は家賃の前払いだと思ってくれればいいし、家のは世話になった感謝の気持ちだ。それに、あって困るものではないだろう?」
「それは、そうなんだけど……いいの? 無理していない?」
「大丈夫!!」
……と格好つけて言い切ったけど、魔力が足りるのかちょっと心配になってきた。
⦅さっきの『飛行』と『召喚』で半分近く減っておったが、回復してきておるわい。回復が早いのも、召喚勇者だからかのう……⦆
ともかく、マホーは問題ないと言ったから、安心して魔力を注入していく。
役場のが四つに、家のが三つ。
ゴウドさんとルビーから非常に感謝されたけど、これからも何かと世話になるんだから、サービスしておかないとね。
◇◇◇
ルビーが選んでくれたのは、平屋の中でもそこそこ大きい家だった。
部屋は細かく分かれておらず、希望通り、広い部屋がある…というか、ほぼワンルームだな。
村長宅と同じくログハウス風で、有り難いことに家具付きだ。
ダイニングテーブルと椅子に、収納棚やベッドまである。
家具を壁側に寄せたら、トーラが寝転がれるスペースも十分確保できるし、ばっちりだ。
ただ、部屋はお世辞にも綺麗とは言えないから、さっそく掃除開始!
「ふっふっふ……掃除のプランは練ってあるのだよ」
⦅……ふむ。火・水・風魔法を駆使して、『高圧洗浄機』を再現しようと言うのじゃな?⦆
「当たり!」
マホーから、魔法で温風を作り出せると聞いてひらめいた。それなら、熱湯も作り出せるんじゃないかと。
洗浄と殺菌をするなら、これしかないでしょう!
「マホー、補助を頼む」
⦅任せておけ⦆
まだ魔法操作が未熟な俺がやって、家を破壊するといけないからね。
真っ白なトーラが埃や煤《すす》で汚れないように小脇に抱えて、まずは天井、それからダイニングテーブルと椅子を綺麗にしていく。
⦅ほう……熱湯をかけるだけで、こんなに綺麗になるんじゃな⦆
「水圧と熱で汚れを取り除き流していくからな。ついでに、殺菌も」
あとは、熱風で乾燥させれば、はい終了!
まあ、何ということでしょう! あんなに薄汚れていた天井とテーブルが、木目の美しい……なんて、ばあちゃんが毎週欠かさず視ていた某リフォーム番組のナレーションが流れそうだな。
綺麗になったテーブルの上にトーラをのせて、では、残りをちゃっちゃとやってしまおう。
―――そして、一時間後
「終わった……」
俺は椅子に座り、ぐったりとしていた。
さすがに疲れたな。
⦅トーラが、腹が減ったと言うておる⦆
……だよね。俺もだし。
では、何か買いに行きますかと重い腰を上げたら、誰かが家にやって来た。
「カズキ、入るわよ!」
視線を向けると、扉の前にルビーが立っていた。
「失礼します」
「カズキ、帰っていたのね。あら、その子は?」
「まあ、真ん丸とした可愛らしい白猫ちゃんね」
トーラを見てルビーは首をかしげ、パート主婦のミアさんは目を細めている。
俺の腕におとなしく抱かれているトーラの見た目は、『普通の猫よりちょっと顔が大きくて、脚がちょっとだけ太い猫』という感じだ。
「こいつはトーラと言って、俺の『使い魔』なんだ」
マホーから、「(俺は魔法使いの弟子だから)トーラは、使い魔だと言っておけ」と助言を受けた。
ちなみに、マホーに使い魔はいなかったらしい。
「今まで、この子はどうしていたの? 使い魔だから、お使いに行っていた…とか?」
「あ、ああ……それで、相談だが、この村には空き家がたくさんあるだろう? そこを、しばらくの間貸してもらえないだろうか?」
俺は当分の間トーアル村に滞在するつもりなので、拠点となる家を借りることにした。
いつまでも村長の所で世話になるのは申し訳ないし、トーラが仲間になった以上、俺たちだけで生活をするほうがいいと考えたのだ。
「空き家に住んでもらえるのは有り難いが、あまり綺麗ではないよ?」
維持・管理が行き届いていないからねと、ゴウドさんは申し訳なさそうに言う。
「構いません。自分で掃除をしますし」
忙しい人たちの手を、煩わせるわけにはいかない。
現在、無職の俺は、時間だけはいっぱいある。
「一人と一匹なら、それほど大きな家は必要ないわよね?」
「あ……できれば、広い部屋がある家がいいな」
家で寝るときくらい、トーラには元の姿でのびのびと過ごさせてやりたいからな。
「じゃあ、この家がいいと思うわ。ところで、カズキは大きな魔石は持っているの?」
「いや、あのゴブリンリーダーのものしかないよ」
「あなたなら自分で何とでもできると思うけど、あったら家事をするのに何かと便利よ?」
たしかに、家の中で生活をするには必需品だよな。
マホーも使用していたと言っていたし。
「うちにある空のでよければ、一つあげるわ。自分で魔力を入れて使って」
⦅儂の家にあるやつも、使えばよい⦆
「ありがとう! 助かるよ」
マホーも、ありがとな!
家賃はいくらかと尋ねたら、ゴウドさんは「自分で掃除をしてもらうし、無料でいいよ」と言ったけど、さすがにただでは……
そしたら、ルビーが家賃の代わりに魔力を少しわけてほしいと言う。
どうやら、役場で使用する魔力も不足しているようで、昨日ゴウドさんが家から新しい魔石を持ち出したのは、そのためだったようだ。
魔石代と家賃を相殺して、処理しておくとのこと。
「ルビー、空の魔石を全部出してくれ。ついでに、家のも」
「家のはいいわよ。昨日、入れてもらったし。役場のも、一つだけでいいわ」
「遠慮すんな。役場の分は家賃の前払いだと思ってくれればいいし、家のは世話になった感謝の気持ちだ。それに、あって困るものではないだろう?」
「それは、そうなんだけど……いいの? 無理していない?」
「大丈夫!!」
……と格好つけて言い切ったけど、魔力が足りるのかちょっと心配になってきた。
⦅さっきの『飛行』と『召喚』で半分近く減っておったが、回復してきておるわい。回復が早いのも、召喚勇者だからかのう……⦆
ともかく、マホーは問題ないと言ったから、安心して魔力を注入していく。
役場のが四つに、家のが三つ。
ゴウドさんとルビーから非常に感謝されたけど、これからも何かと世話になるんだから、サービスしておかないとね。
◇◇◇
ルビーが選んでくれたのは、平屋の中でもそこそこ大きい家だった。
部屋は細かく分かれておらず、希望通り、広い部屋がある…というか、ほぼワンルームだな。
村長宅と同じくログハウス風で、有り難いことに家具付きだ。
ダイニングテーブルと椅子に、収納棚やベッドまである。
家具を壁側に寄せたら、トーラが寝転がれるスペースも十分確保できるし、ばっちりだ。
ただ、部屋はお世辞にも綺麗とは言えないから、さっそく掃除開始!
「ふっふっふ……掃除のプランは練ってあるのだよ」
⦅……ふむ。火・水・風魔法を駆使して、『高圧洗浄機』を再現しようと言うのじゃな?⦆
「当たり!」
マホーから、魔法で温風を作り出せると聞いてひらめいた。それなら、熱湯も作り出せるんじゃないかと。
洗浄と殺菌をするなら、これしかないでしょう!
「マホー、補助を頼む」
⦅任せておけ⦆
まだ魔法操作が未熟な俺がやって、家を破壊するといけないからね。
真っ白なトーラが埃や煤《すす》で汚れないように小脇に抱えて、まずは天井、それからダイニングテーブルと椅子を綺麗にしていく。
⦅ほう……熱湯をかけるだけで、こんなに綺麗になるんじゃな⦆
「水圧と熱で汚れを取り除き流していくからな。ついでに、殺菌も」
あとは、熱風で乾燥させれば、はい終了!
まあ、何ということでしょう! あんなに薄汚れていた天井とテーブルが、木目の美しい……なんて、ばあちゃんが毎週欠かさず視ていた某リフォーム番組のナレーションが流れそうだな。
綺麗になったテーブルの上にトーラをのせて、では、残りをちゃっちゃとやってしまおう。
―――そして、一時間後
「終わった……」
俺は椅子に座り、ぐったりとしていた。
さすがに疲れたな。
⦅トーラが、腹が減ったと言うておる⦆
……だよね。俺もだし。
では、何か買いに行きますかと重い腰を上げたら、誰かが家にやって来た。
「カズキ、入るわよ!」
視線を向けると、扉の前にルビーが立っていた。
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