桜華学園~悪役令嬢に転生した俺はヒロインに盗聴、盗撮、ストーキングされる~

黒夜須(くろやす)

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 二階建てアパートの階段を上がってすぐにある小さな部屋で男はコントローラーを握りしめパソコン画面に釘付けになっていた。

「ウヘヘ。まゆタソめちゃくちゃカワユス」

 ゲームの女性主人公の可愛さに男が悶えていたその時、突然大きな音がした。
 男は慌てて振り向くと玄関のドアが大きく開き、少女が立っていた。

「クソ兄貴! 私のゲーム勝手もって行ったでしょ。わざわざ、自分のアパートへ持っていってやるとか最低限だね。実家から離れているから取りに来ないと思った? 安心してた? お門違いもはなはだしいよ」

 少女が怒鳴りつけると男はコントローラーを握りしめたまま固まっていた。

「うぁ、汚い部屋、とりあえず、返してよね」

 そう言うと部屋に散らかっている物を踏まない様に入り、男を押しのけるとパソコンのドライブからディスクを取り出した。
 男が何やら文句を言おうとしたが少女に睨みつけられると身体をビクリとさせて動かなくなった。
 少女はディスクをケースにしまい、部屋の出ようとしたその時……。

 男は少女の足掴んだ。

「ーツ」

「待って、まだ、オープニングしか見てないんだ」
「やだよ。買えばいいじゃん」
「イベント限定の同人ゲームだからもうどこにもないんだ。知ってるだろ」

 少女は自分の足を掴んでいる男を、眉を寄せて細い目で見た。
 それは軽蔑した目だ。

「兄貴は私がこのゲームを買うときなんて言った?」
「……」
「なんて言った?」

 男は何も言わないため少女が怒鳴ると、彼女の圧に負けてボソボソと話言った。その声は静かな部屋であるにも関わらず、耳をすまさないと聞こえない声であった。

「“アクションゲームのが面白いよ”」
「はぁ? その前に“男を落とすゲームなんて夢ばかり見て現実を見ない奴がやるもんだ”と言ったでしょ」

 少女の言葉に男は眉を下げて、彼女を見上げていた。

「それがなに? ネットで話題になったとたん勝手に私の部屋からゲームを持ち出したでしょ」
「……それは……貸してくれないから」
「貸すわけないでしょ」

 少女の怒鳴り声が家中に響きわたった。すかさず男は耳を抑えた。すると、その行動が少女の癇に触ったようで鬼のような形相をした。
 少女は男の手を踏んづけて外すとクルリと扉の方を向き出ていってしまった。それからすぐに階段を降りる音がした。
 男は慌てて立ち上がるとふらついた。長時間座っていたため足が痺れていた。苦痛の表現をうかべながら無理やり足を動かして扉を出た。

 その時、足をひねりバランスを崩した。

「え、あわぁー」

 大きな叫び声の後、大きな音がした。その音で少女は慌てて戻った。

 目の前の状況に大きな悲鳴を上げた。

「キャーッ」

 階段下には真っ赤な血の海が出来ており、その上に男が倒れていた。
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