桜華学園~悪役令嬢に転生した俺はヒロインに盗聴、盗撮、ストーキングされる~

黒夜須(くろやす)

文字の大きさ
46 / 131

46限目 髪型

しおりを挟む
 朝食を食べるため居間に入ると、台所からタエコがひょこりと顔を出した。
 レイラの顔を見ると驚きの余り挨拶の言葉が出てこなかったようだ。

「おはようございます。タエコさん」
「あ、おはようございます」

 レイラの挨拶を聞いて、慌てて返事を返した。それから、少し考えてからまるで同情するような顔をした。レイラはそれに気づいたが、気にせずにいつものカウンター席に座った。
 タエコは手を洗うと、タオルで拭き台所から出てきた。

「今日はお早いのですね」

 タエコに言われて居間の壁にある時計を見ると、いつも居間に来る時間よりもかなり早かった。

(目覚ましより早く起きてしまったからな。わりぃことしたな)

「申し訳ありません。ご迷惑おかけしました。また、来ます」

 そう言って、席を立とうとするとタエコはレイラの肩に触れて立とうとするのを抑えた。そのため、レイラは再度椅子に腰を下ろした。

「いいえ、迷惑なんてとんでもありません」

 謝りながらタエコはじっとレイラの髪を見た。

「髪に触れてもよろしいでしょうか」
「ええ」
「ご自分で髪を結うのは慣れないと大変ですよね」

 そう言って、タエコはレイラのほどきクシで髪を梳(と)かし始めた。それの様子を見てレイラは不思議の思った。

(綺麗に結べたと思ったのだけどなぁ)

「お見苦しい髪型で申し訳ありませんわ」
「いいえ、綺麗に結べてますよ。ただ、あまりにいつものレイラさんと違う髪型をしていましたので……」

 タエコに言われて、藤子と夢乃がお互いに髪型を褒め合っているのを思い出した。

「ありがとうございます」

 レイラは礼を言うと「いいえ」と優しい返事が帰ってきた。
 トメが居なくなって寂しい気持ちがあったがタエコと関わることで心が暖かくなるのを感じた。

 しばらくして、髪が結い終わるとタエコは鏡を持ってきた。サイドが編み込まれておりそれをハーフアップにしている。それはトメが結ってくれたことのある髪型であった。

「いかがですか?」
「ありがとうございます。とても素敵ですわ」
「良かったです。それでは食事の支度に戻りますね」

 タエコは鏡を持って、台所に戻った。

(髪型かぁ、勉強と練習が必要だなぁ。どうすっかなぁ)

 レイラが自分の髪に振れながら、眉間にシワを寄せていると「失礼いたします」と言う声と共にレイラの横に雑誌が置かれた。それは、レイラと変わらない年齢の女の子が笑っている写真が表紙になっていた。

「差し出がましいことして申し訳ありません。それは、ファッション雑誌です。最新号ではありませんが、髪型特集をしているもので、参考になると思います」

(マジかぁ、タエコさんはエスパーなのか。今、欲しいと思っていた物がでてくるなんて)

「ありがとうございます。差し出がましいなんてとんでもありませんわ。嬉しいですわ」

 レイラは満面の笑みでタエコに礼を言って、雑誌を手に取ると自分の目の前に置いて開いた。
 パラパラとめくると、様々な髪型が目に入ってきた。どれも、やり方が細かく記載された。

「レイラさん、朝食の準備がでました」

 あまりにその雑誌に夢中になっていたため、タエコに声を掛けられるまで彼女が食事を持って来た事に気づかなかった。

「ありがとうございます」

 レイラは礼を言うと、タエコは雑誌をカウンターから下ろし、その場所をふきんで拭くと朝食を置いた。
 ご飯と焼き魚、味噌汁それにおひたしがついていた。
 レイラは雑誌が気になりつつも、手を合わせて挨拶をすると食事を始めた。
 暖かい料理が心を包んでくれた。
 ここがゲームの世界であることに気づいてから様々なことがありレイラは疲れていた。

 食事が終わり、居間からでるとそこにはカナエが立っていた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

崖っぷち令嬢は冷血皇帝のお世話係〜侍女のはずが皇帝妃になるみたいです〜

束原ミヤコ
恋愛
ティディス・クリスティスは、没落寸前の貧乏な伯爵家の令嬢である。 家のために王宮で働く侍女に仕官したは良いけれど、緊張のせいでまともに話せず、面接で落とされそうになってしまう。 「家族のため、なんでもするからどうか働かせてください」と泣きついて、手に入れた仕事は――冷血皇帝と巷で噂されている、冷酷冷血名前を呼んだだけで子供が泣くと言われているレイシールド・ガルディアス皇帝陛下のお世話係だった。 皇帝レイシールドは気難しく、人を傍に置きたがらない。 今まで何人もの侍女が、レイシールドが恐ろしくて泣きながら辞めていったのだという。 ティディスは決意する。なんとしてでも、お仕事をやりとげて、没落から家を救わなければ……! 心根の優しいお世話係の令嬢と、無口で不器用な皇帝陛下の話です。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

公爵様のバッドエンドを回避したいだけだったのに、なぜか溺愛されています

六花心碧
恋愛
お気に入り小説の世界で名前すら出てこないモブキャラに転生してしまった! 『推しのバッドエンドを阻止したい』 そう思っただけなのに、悪女からは脅されるし、小説の展開はどんどん変わっていっちゃうし……。 推しキャラである公爵様の反逆を防いで、見事バッドエンドを回避できるのか……?! ゆるくて、甘くて、ふわっとした溺愛ストーリーです➴⡱ ◇2025.3 日間・週間1位いただきました!HOTランキングは最高3位いただきました!  皆様のおかげです、本当にありがとうございました(ˊᗜˋ*) (外部URLで登録していたものを改めて登録しました! ◇他サイト様でも公開中です)

記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】

かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。 名前も年齢も住んでた町も覚えてません。 ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。 プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。 小説家になろう様にも公開してます。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

処理中です...