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プロローグ
恋愛なら私にお任せ
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「ねえ、拓海たくみってさ……彼女とかいるの?」
学校の帰り道、突然の質問に周防拓海は困惑した。
「え、なにいきなり……? 莉乃ってそんな恋愛トークに花を咲かせる人だっけ?」
疑問そのままに、隣で同じように歩いている姫金莉乃に問う。
「私だってするよ」と反論する莉乃は、入学式後の教科書配布のせいで大きくなったカバンを重たそうにしていた。
手を差し出すと、待ってましたと言わんばかりにカバンをこちらに預けてくる。
「……で、なんでそんなことを? 今までそんな話一度もしてこなかったじゃないか」
同じマンション、加えては同じ7階、はたまた加えては隣同士。そんな境遇で育った俺達は物心つく以前から一緒にいた。
同じ保育園、同じ小学校、同じ中学。そこまで一緒だと、もはや家族も同然。
そんな環境を共に過ごした間柄でも、莉乃は一度も恋愛話をしたことがなかった。
だから、てっきり莉乃は恋愛というものにまるで興味がないとばかり思っていた。
「…………拓海って友達できた?」
「――――――!? え! なにが!?」
「その反応……、やっぱりできなかったんだね。クラス内で明らかに浮いてたよ」
「いやいや、初日から友達できる方がおかしいから。そもそもなんで初対面なのにずかずか入り込めるんだよ。仲良くなるのはもっと時間が必要だろ? そんな不用心な人生、俺はお断りだね」
「ほら……ハンカチ使いな?」
「泣いてないから……! ほら、俺めっちゃ元気だし……! そういうのさっ、勝手に決めつけないでもらえます……っ!?」
強引に手渡されたハンカチで視界を覆う。決して現実から目を逸らしている訳ではない。
「でも本当に友達作るのだけは致命的だよね。いい性格してるんだから、もっと積極的になりなよ」
「いい性格って……莉乃さん、あなた俺のこと馬鹿にしてますよね?」
「や、違うから……そういう意味じゃ……」
一瞬顔が赤く見えたのは、夕日のせいだろうか。
「まあでも、拓海は彼女ができただけで結構変わるタイプだと思うよ? そしたらきっと人間関係も克服できるんじゃないかな?」
「彼女か……」
漠然と存在を願ったことはあるが、異性と付き合うなんて友達以上にハードルが高い。
「じゃあ莉乃は恋愛したことあるの?」
「へ……? なんで私?」
「話し振り的に結構なやり手だと見受けられると思いまして」
「何その変な言い方……まあ拓海に比べたら、ね……」
「おお! さすが莉乃! すごいね!」
「ええ……? そ、そうかな……? まあ、インスタのフォロワーさんからもよく恋愛相談を受けるし……?」
莉乃は可愛い。
顔は言うまでもなく、性格も悪くない。敵を作らない性格だ。
きっと彼氏になる人は幸せ者だろう。
「……じゃあさ」
その場に止まった莉乃に気づいて振り返る。
「私と練習してみる?」
「練習って、なにを」
「だから、恋愛の予行演習よ。仮初めだけど私と付き合ってみて、色んなこと経験して、彼女ができた時に失敗しないように練習するの」
「それってつまり、莉乃が彼女役をやってくれるってこと? ……え、莉乃が? なんで?」
「なにそれ、私じゃ不満なの?」
家族同然の莉乃と恋愛ごっこなんて、恥ずかしくて仕方ないだろ。
「大丈夫だって! 経験豊富な私が指南してあげるから!」
「……それって本当にしないと駄目?」
「駄目。もう決定です。取り消せません」
拒否権はないらしい。
「(まあ、俺のためにやってくれるんだもんな……)」
こうして、莉乃による恋愛指導が始まることになった。
学校の帰り道、突然の質問に周防拓海は困惑した。
「え、なにいきなり……? 莉乃ってそんな恋愛トークに花を咲かせる人だっけ?」
疑問そのままに、隣で同じように歩いている姫金莉乃に問う。
「私だってするよ」と反論する莉乃は、入学式後の教科書配布のせいで大きくなったカバンを重たそうにしていた。
手を差し出すと、待ってましたと言わんばかりにカバンをこちらに預けてくる。
「……で、なんでそんなことを? 今までそんな話一度もしてこなかったじゃないか」
同じマンション、加えては同じ7階、はたまた加えては隣同士。そんな境遇で育った俺達は物心つく以前から一緒にいた。
同じ保育園、同じ小学校、同じ中学。そこまで一緒だと、もはや家族も同然。
そんな環境を共に過ごした間柄でも、莉乃は一度も恋愛話をしたことがなかった。
だから、てっきり莉乃は恋愛というものにまるで興味がないとばかり思っていた。
「…………拓海って友達できた?」
「――――――!? え! なにが!?」
「その反応……、やっぱりできなかったんだね。クラス内で明らかに浮いてたよ」
「いやいや、初日から友達できる方がおかしいから。そもそもなんで初対面なのにずかずか入り込めるんだよ。仲良くなるのはもっと時間が必要だろ? そんな不用心な人生、俺はお断りだね」
「ほら……ハンカチ使いな?」
「泣いてないから……! ほら、俺めっちゃ元気だし……! そういうのさっ、勝手に決めつけないでもらえます……っ!?」
強引に手渡されたハンカチで視界を覆う。決して現実から目を逸らしている訳ではない。
「でも本当に友達作るのだけは致命的だよね。いい性格してるんだから、もっと積極的になりなよ」
「いい性格って……莉乃さん、あなた俺のこと馬鹿にしてますよね?」
「や、違うから……そういう意味じゃ……」
一瞬顔が赤く見えたのは、夕日のせいだろうか。
「まあでも、拓海は彼女ができただけで結構変わるタイプだと思うよ? そしたらきっと人間関係も克服できるんじゃないかな?」
「彼女か……」
漠然と存在を願ったことはあるが、異性と付き合うなんて友達以上にハードルが高い。
「じゃあ莉乃は恋愛したことあるの?」
「へ……? なんで私?」
「話し振り的に結構なやり手だと見受けられると思いまして」
「何その変な言い方……まあ拓海に比べたら、ね……」
「おお! さすが莉乃! すごいね!」
「ええ……? そ、そうかな……? まあ、インスタのフォロワーさんからもよく恋愛相談を受けるし……?」
莉乃は可愛い。
顔は言うまでもなく、性格も悪くない。敵を作らない性格だ。
きっと彼氏になる人は幸せ者だろう。
「……じゃあさ」
その場に止まった莉乃に気づいて振り返る。
「私と練習してみる?」
「練習って、なにを」
「だから、恋愛の予行演習よ。仮初めだけど私と付き合ってみて、色んなこと経験して、彼女ができた時に失敗しないように練習するの」
「それってつまり、莉乃が彼女役をやってくれるってこと? ……え、莉乃が? なんで?」
「なにそれ、私じゃ不満なの?」
家族同然の莉乃と恋愛ごっこなんて、恥ずかしくて仕方ないだろ。
「大丈夫だって! 経験豊富な私が指南してあげるから!」
「……それって本当にしないと駄目?」
「駄目。もう決定です。取り消せません」
拒否権はないらしい。
「(まあ、俺のためにやってくれるんだもんな……)」
こうして、莉乃による恋愛指導が始まることになった。
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