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第一章
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しおりを挟む馬車で揺られながら、先程のリリヤの様子を思い出す。
リリヤから嫌われてるのは何となく雰囲気で分かってたけど、あそこまで露骨に態度と言葉で表してくるのは初めてだったわね。
今までは近くにお父様とお兄様が居たから隠してたのかしら?
よく考えたら家族が居ない状態で会うのは初めてだったわね。
「お嬢様大丈夫ですか?あんな無礼者の言葉なんて気にしちゃ駄目ですよ。お嬢様は素晴らしい人です!!」
「ありがとう。気にしてないわ。あの子が私のことを邪魔だと思ってるのは、何となく気がついていたから」
「そうだったんですね。なら話しても大丈夫ですかね?」
メリーはそう言いながら私を気まずそうに見てくる。
もしかしてメリーとリリヤの間に何かあったのかしら?
「どうしたの?」
「実は他のメイドから聞いたのですが、リリヤ様はお嬢様のことを聞き回ってるらしいんです。最初は同い年のお嬢様と仲良くなりたくて、情報を集めてるのかと思っていたんですけど違うみたいでして」
「どんな事を聞いてるの?」
メリーはとても言いづらそうにしていて中々話し出さない
「お嬢様の弱味を聞いたり、お嬢様に酷いことをされたり、暴言を吐かれたことはないかって聞いてるみたいです。それと他の貴族からの評判を聞いたり、仲悪い貴族は居ないのか聞いてくるらしいです」
何のつもりなのかしら?
そんな事を聞いてどうするつもり?
「お嬢様がそんなことするわけないのに馬鹿だよな。使用人の中でお嬢様の悪口を言うものなんて居ないだろ。貴族の中にだって滅多に居ないはずだ。お嬢様に憧れてる令嬢は多いけど、お嬢様を嫌ってるものは滅多にいないからな」
「ありがとう。でも私のことを嫌ってる人もいるわ。リリヤもその1人なんでしょうね」
「お嬢様は何も悪くありません!!お嬢様を嫌う人達は疚しい気持ちがあるものばかりです。自分が周りに誇れることをしてないから、周りから慕われるお嬢様が目障りなんですよ」
そうなのかしら?
中にはそんな人も居るのかもしれないわね。
でもリリヤは絶対に違う気がする。
リリヤは自分を恥じてる様子は全くない。
自分の行動が間違ってるとは、全く思ってないのが今までの行動で予想ができる。
「お嬢様を嫌ってる人の心情は分かりませんけど、リリヤ様をこのままにすることはできません。旦那様にご報告する必要があると俺は思います。奥様にはどうすれば良いですかね?」
お父様に報告するのは賛成だけど、今は王太子様との婚約のことで忙しいのに申し訳ないわね。
こんな時にお母様を頼れればいいけど、リリヤのことに関しては頼りにならないのよね。
取り敢えずはお兄様に相談かしら?
「お母様に話すのはお父様に任せましょう。もうリリヤが話してそうだけど、向こうの都合の良いように話してるだろうから、お父様に任せるのが1番よ」
「確かにそうですね。今の奥様はちょっと………」
言いたいことがよく分かるわね。
流石に使用人としておかしいって言い辛いわよね。
3人で話してると馬車がゆっくり止まった。
「着いたみたいですね。俺が先におりて安全を確認してきます」
「分かったわ」
5分ぐらいしてまた馬車の扉が開いた
「お待たせいたしました」
「ありがとう」
ノエルの手を借りて馬車からおりる
相変わらず目立ってるわね。
安全のために仕方ないことだけど、馬車での移動は目立つから嫌なのよね。
ノエルにエスコートされながらお店に入る
「いらっしゃいませ~。これはこれはイリーナ樣ではないですか。お久しぶりで御座います」
「元気良さそうで良かったわ。半年振りかしらね?今日は私が使う万年筆を選びに来たのよ」
このお店には万年筆だけではなく、色々な小物があるからお父様の誕生日プレゼントを選ぶ時によく来てるお陰で、店長さんとは親しい間柄になっている。
「本日は万年筆をお求めなんですね。それは丁度いい機会ですね。他国から珍しい万年筆が数点仕入れたばかりなんですよ。女性が気に入るようなデザインばかりなので、お嬢様にピッタリだと思いますよ」
「それは楽しみね」
「すぐに持ってきますのでこちらに座ってお待ち下さい」
店長さんに進められたので座って待つことにした。
店長さんを待ってる間に店員さんが飲み物を3人分用意してくれた。
「私達も頂いて宜しいのでしょうか?」
「相手の親切は素直に受け取るべきよ。ここの飲み物は珍しくてとても美味しいのよ」
ふたりが飲みやすいように一口先に飲むと、ふたりも恐る恐るを口にする
ふたりはビックリした様子でカップを見詰める。
「不思議な飲み物ですね。見た目通りちょっと芳ばしい香りはしますけど、飲むとほんのり甘みを感じます」
「他国の飲み物でコーヒーって言うのよ。そのまま飲むのも良いけど、ミルクや砂糖を入れると印象が変わるわよ」
コーヒーはお父様もお気に入りだけど、この国ではあまり輸入されてないので、ここで飲むのを楽しみにしてるのよね。
お父様なら仕入れる事も出来るでしょうけど、たまに飲めるのが良いのだと言っていたわね
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