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第一章
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しおりを挟むお祖父様はリリヤの声を無視して話し始めた。
「まず最初にあの男の家は一家揃って怠け者なんだよ。社交界に出てくれば見ず知らずの相手にもお金の無心をする。楽して稼ぎたいって言うのが口癖だった」
「俺もパーティーとかでそういう人達を見るけど、大抵は周りから避けられますよね」
私が参加するパーティーは子供だけだから、まだそういう人達に会ったことはないわね。
だけどそういう人達が居るってことは、王宮とかで大人達の愚痴を聞くことがあるから知っている。
厚かましい人はすぐに情報として広まるからね。
「大体は周りから避けられるな、だけど見た目の良さを利用して援助してもらうものも居る。あの男もその1人だった。人生経験の浅かった娘はあの男に狙われたんだ。オリガが公爵家に嫁いだから、マリアと結婚したら公爵家と縁が出来る、お金を引っ張れるって思ったんだろ。マリアとオリガは仲の良い姉妹なのは有名だったからな」
聞けば聞くほど最悪な男だったのね。
別に援助をしてもらうことを悪とは思わない、世の中には夢があるけど金銭面で叶えることが出来ない人とか居るから、そういう人のパトロンになる貴族は沢山いる。
芸術家とかは売れるまで貴族に援助して貰う人が多いわよね。
何かを叶えるために援助してもらってるなら問題ないと思うけど、何の努力もしてない人が援助してもらってるのはあまりいい気がしない。
そんな人に援助する人がいるから、純粋に才能を感じる人に援助してる人が、周りから愛人なんじゃないかって邪推されることになるのよね。
「父上は叔母上達に援助したのか?」
「1度だけしてしまったな。私は周りの噂に疎かったせいで彼の本性を知らなかったんだよ。彼らが結婚してすぐに、新発見の遺跡が見つかったけど、資金がなくて発掘が進まないと言われて援助を求められたんだ。新しい発見があったらすぐに元が取れると思って援助をしてしまった」
「どうなったんですか?」
何となく予想は出来るけど、聞いてみないと分からないわよね。
「全て嘘だった。進展してるのかどうか何の報告もなかったから、調べたらそんな遺跡はなかった。援助したお金は全てギャンブルに消えていた」
うん………、想像通りね。
私は何となくお祖父様から、リリヤの父親のことを聞いてるから想像できたけど、当時のお父様は全く知らなかったのよね。
まさか妻の妹の旦那が自分を騙すとは思わないわよね。
しかも男爵の身分で公爵家を敵に回すとは想像も出来ない。
そんなことをするのは余程の愚か者よね。
「あの男は他の考古学者と違って発掘に積極的ではなかった。考古学者になる者には2種類の人種が居るんだが、二人はどんな人物か分かるかな?」
お祖父様の質問に私は答えられなかった。
1つは過去のことを知りたいひとってことはわかるけど、もう1つは何かしら?
「過去のことや滅びた文明のことを知りたい人と一攫千金を狙ってる人ですか?」
「そうだ。あの男は後者で一攫千金を狙ってる奴だった。だから自分から未開の地に踏み入れたり、新しいチームを自分で作ったりはしなかった。新しい遺跡を発見した者の腰巾着になってついて行くだけだ。媚を売るのは上手かったから、色々なチームに参加していたらしい」
世渡り上手ってことかな?
お祖父様とお祖母様には通じなかったみたいだけど
「お祖父様とお祖母様は叔母様が駆け落ちして、すぐに縁を切ったのですか?それにしては叔母様達のことを詳しいですわよね?」
「いえ……、マリアが子供を出産する前までは、それなりに連絡を取っていたのよ。駆け落ちをしてしまったけど、大切な娘には違いないですからね。だけどあの子は私達を裏切ったのよ」
え?
叔母様は無責任な所はあるだろうけど、家族からこんなに愛されて居たのだから、性格にそこまで問題ないと思ってたんだけど………、
「何があったんですか?」
「あの子が妊娠4ヶ月ぐらいだったかしら?長期間を夫が発掘現場に行くから、里帰りさせて欲しいって言ってきたのよ。私達はそれを受け入れたわ。あわよくばこのままこの国に残ってくれればいいと思ってたの。お金に困っていたみたいだから、結婚する前と生活水準が確実に下がっていたと思ったから、簡単に上手くいくと思ってたわ」
お祖母様は当時の事を思い出したのか、その続きを中々話せないでいる。
「続きはワシが話そう。マリアが里帰りして1か月ぐらい経った時に、あの男に指示されたマリアは我が家の家宝を盗んで、向こうに帰ってしまったんだ。我が家の家宝は、5代前の当主が王家から褒美としてもらったメダルだった。」
「なっ!?それってかなり危ない状況じゃないですか?王家にバレたら下手したら身分剥奪ですよね?今も存続してるってことは取り戻したってことですか?」
「かなり危険だった。だけどイワン殿が売られていた家宝を取り戻してくれて、陛下に謝罪する時も一緒について来てくれて、何とかなったんだ。あの時は肝が冷える思いをした。その事が切っ掛けで完全に娘夫婦とは絶縁したんだ」
そうなるわよね。
簡単に許せるようなことじゃないわ。
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