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第三章
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しおりを挟むお父様に色々と聞きたいことがあるけど、まだ王太子様達が近くにいるから難しいわよね。
「イリーナは入学初日から災難だったな。あの女が今年入学するとは思ってなかった」
お兄様が労るように私の頭を撫でる。
「リリヤには入学式が始まる前にも絡まれましたわ。その時は友達になったエリーに助けてもらったんです!!エリーは我が家でもよく利用してるブランディー商会会長の娘さんですわ」
私は友達が出来た嬉しさで、皆に自慢するように隣りにいるエリーに抱きつく
「あの方のお子さんか。会長とはたまに酒を飲むからお嬢さんの話はよく聞くよ。イリーナと同じ年齢だと聞いていたけど、まさかイリーナと同じクラスになって友だちになるなんて運命だな」
「お父様が会長さんとお酒を飲む仲だったなんて初めて聞きました。仲良かったんですね?」
「仲良いぞ。お互いに同い年の娘がいるから、悩みとかを相談し合ったり、娘自慢したりしているからな」
………なんて傍迷惑な飲み会なのかしら
誰かに見られて噂されたりしてたら恥ずかしい、もしかしたらお父様は親バカって噂されたりしてないわよね?
噂話って本人やその身内のところには回ってこないから、悪化した話になった時に知ることって良くあるのよね。
エリーの方を見ると凄く嫌そうな顔をしている。
その気持ちよく分かるわ!!
お互いに頷き合って固く握手をする。
その様子を見たお父様は嬉しそうにしていた。
「イリーナにやっと信頼できる友達が出来たみたいで良かった」
「確かにエリーは信頼できる友達ですけど、私にだって他にも友達は居ますからね。お父様にあまり話したりしませんけど、レイチェルだって大切な友達ですわ」
私の返答にお兄様が呆れた顔をした。
何で!?
可哀相な者を見るようなその視線は何ですの!!
本当に友達は居ますから!!
ボッチの寂しい人ではありませんわ。
不満そうにしてると、お兄様に肩をポンポンされる。
「嘘なんて言ってませんから。その憐れむような目を止めてください!!」
「確かにお前に友達は居るけど、本音で話せて甘えられる相手はレイチェル様だけだっただろ?レイチェル様は俺の婚約者だから、友達に含めるのは微妙なんじゃないか?もう身内みたいなものだろ?そう考えると本当の友達はエリー嬢だけだろ」
胸にグサッときた。
お兄様が私の心を抉ってくる。
どうせ私には本当の友達なんて居ませんでしたよ!!
だって皆が私と距離を置くから、私だって本音で話せませんわよ!!
貴族社会なんて仲良いと思ってたら、次の日には裏切られてるなんてことは日常的だから、馬鹿正直に悩みなんて話すことは出来ない。
もしも内緒話をしたら、次の日には大勢の人に話が広まっている。
貴族にとって裏切りなんて当たり前の世界なのだから、信じ切って自分の秘密を話すほうが悪いと言われるだけなのよね。
「私はお兄様と違って親友なんて居ませんでしたよ!!でもこれからはエリーと親友になってみせますわ」
「そんなに卑屈にならなくても良いだろ。俺だって学園に通ってる間にあいつと親友になったんだから」
そうですわよね。
私だってこれからエリーともっと仲を深めていけばいいだけですわ。
横にいるエリーをチラッと見ると、何故か微笑ましそうに私を見ていた。
何故なのかしら?
エリーから小さい子を見守る母親の印象を感じる。
「エリー?」
「私は絶対にイリーナを裏切ったり、見捨てたりしないから安心してね。イリーナは今まで本音で話せる友達がいなくて寂しかったんだよね?これからは私がイリーナの親友になるわ!!」
嬉しいけどちょっと複雑だわ。
私達って同い年よね?
「イリーナ良かったな。娘は確りしてるようで、抜けてるところが結構あるから迷惑をかけることもあると思うが、娘と仲良くしてやって欲しい」
「勿論です!!でも私は貴族じゃないですけど良いんですか?」
「身分制度がどうでもいい訳ではないが、人と人との関わりに身分など関係ないと思っている。信頼できる存在が出来るのは良いことだからな。娘が心から信頼できる相手なら身分など気にならない」
私の父親がお父様で良かった。
貴族の中には庶民を馬鹿にしてる人もいるけど、私は気が合うなら貴族だろうと庶民だろうと関係ないと思ってるけど、もしもお父様が反対していたら関わるのは難しくなってしまう。
貴族でも庶民でも親に逆らえないのは同じだろうけど、貴族にとって父親に逆らうのは死活問題になる。
貴族として生活してたものが、急に家から追い出されたりしたら生活なんて出来ない。
今までの人脈を頼ろうって思っても、大抵は実家絡みの人脈だから頼りにならないのよね。
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