92 / 143
第三章
29
しおりを挟むエリーと特進クラス専用の休憩用の個室に入り、それぞれ午前中に配られた選択授業の一覧表が載った冊子を見る。
種類が多すぎで選ぶのが大変ね。
午前中に色々と説明されたけど、内容が多すぎで全部は覚えてない。
明日中に提出なんて期間が短すぎる。
だから午後は選択授業を選ぶために自由時間になってるんだろうけど、優柔不断の人だったら今頃はパニックになってるわよね。
特進クラスは午後はもう帰っても良いのだけど、殆どの人がまだ残って知り合いと相談しながら選んでいる。
特進クラスの先輩達も午後は授業がなくて、新入生の授業選びの手伝いをしてくれるみたいなのよね。
相談しに行ったら丁寧にアドバイスしてくれるらしい。
今は選択授業を選ばないといけないのに、私の頭の中はユーリ様との婚約のことでいっぱいでパンクしそう。
さっきまではあまり実感がなかったんだけど、エリーに貴族にとっての結婚を説明していて、ユーリ様にも愛人が出来るかもしれないことに気が付いたら、私の胸にチクッと痛みが走った。
貴族にとって愛人は当たり前なのよね。
私は好きな人と結婚出来るとは思ってなかったから、結婚相手と家族としての親愛を持てるなら、相手が愛人を持っても構わないと思っていたのよね。
だけどユーリ様と結婚出来るってなったら、同じように考えられなくなってる自分がいる。
ユーリ様のことは憧れだと思ってたけど、私は思ってたよりもユーリ様が好きだったのね。
ユーリ様にいつか好きな人が出来る日が怖い。
昨日はお互いに結婚することに問題ないのか確認して、婚約発表までの流れを確認して解散になってしまったから、結婚するうえでの決まり事などはまだ話し合ってない。
他の人達みたいに愛人を受け入れる契約や、その時の条件などをこれから決めていくのよね。
もしもユーリ様に好きな人が出来た時に、私はそれを受け入れられるかしら?
相手に危害を加えたりしないと思うけど、私はユーリ様に好きな人が出来たことを祝福出来るかは分からない。
ユーリ様は私がユーリ様に好意を持ってることは知らない、だからずっと知られないようにしないと、もしも私がユーリ様に好意があるって分かったら、ユーリ様は気不味くなるでしょうし、私に気を遣うかもしれない。
ユーリ様に好きな人が出来るのは複雑だけど、私のせいでその恋を諦めては欲しくはない。
ユーリ様には幸せになって欲しい。
「イリーナ大丈夫?顔色が悪いけど体調でも悪い?選択授業を選ぶ期限は明日までだから、もしも体調悪いなら今日はもう帰ったほうが良いよ」
「心配してくれてるありがとう。でも大丈夫ですわよ。ちょっと色々と考え事してただけですから、それよりエリーはどの授業にするか決めました?」
「なら良いけど………、もしも体調が悪くなったら我慢しないで言ってね?選択授業は決めかねてるんだよね。将来やりたいものが決まってるなら迷わないんだろうけど、私は特に決まってないんだよね。これから決まればいいかなって気持ちで入学したから」
「そういう人は多いですから問題ないですわよ。でしたらどんな仕事をする時でも役立つものを選んだらどうかしら?来年にももう一度選ぶことになるみたいでしたから、慎重になり過ぎなくても大丈夫ですわよ」
自分がどうなりたいのか決まってない人は、どれを選んで良いのか迷うでしょうけど、将来なりたいものが決まってる私でも、選びたいものが多すぎでどう絞ればいいのか迷ってしまうわね。
「イリーナはどれにするの?」
「うーん、選びたいものが多すぎで迷ってますわ。取りあえずは語学は絶対ですわね。エリーも語学は選んだほうが良いですわよ。これからは国として色々な国と積極的に交流するみたいですから、どの職業でも他国の人と関わる機会が増えると思います。その時に会話出来るものと、出来ないものでの待遇が変わってくると思いますわ」
今までの王族は引きこもり体質だったのか、他国との交流を避けてる部分があった。
でも今の陛下は積極的に関わろうとしていて、今は信頼づくりの為に頑張ってるのよね。
陛下なら数年後には信頼を勝ち取って、今より他国と対等に交流をしてるはず
「語学か………、確かに必要かも。それなりに勉強はできる自信はあるけど、語学だけは全然駄目なんだよね。触れる機会もなかったし、どう学べば良いのか分からなかったから、手を出せなかったんだよね」
「それは仕方ないですわ。大抵の人がそうですからね。一部の貴族だって同じような状態ですから、でもエリーの家は商売をしてるのですから、他国の人と会話出来たら商売が広がるはずですよ」
「そうかも!!」
エリーは自分の家の商売に誇りがあるから、いつかは家の手伝いをすると思うのよね。
今のエリーは自分は嫁に出る立場だから、家のことに手を出すのを躊躇ってるところがある。
でもエリーは何らかの形で手伝うことになると思うのよね。
651
あなたにおすすめの小説
婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない
柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。
目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。
「あなたは、どなたですか?」
その一言に、彼の瞳は壊れた。
けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。
セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。
優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。
――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。
一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。
記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。
これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
婚約破棄と暗殺で死んだはずの公爵令嬢ですが、前に出ずに全てを崩壊させます
鷹 綾
恋愛
フォールス・アキュゼーション。お前に全ての罪がある」
王太子フレイム・ファブリケイト・ロイヤル・ロードは、自らの失策を公爵令嬢フォールスに押し付け、婚約を破棄。
さらに証拠隠滅のため、彼女を追放し、暗殺まで差し向ける。
――彼女は、死んだことにされた。
だがフォールスは、生き延びた。
剣も魔法も持たず、復讐に燃えることもない。
選んだのは、前に出ないという生き方。
隣国で身を潜めながら、王弟エクイティ・フェアネス・ロイヤル・ロードのもと、
彼女は“構造の隣”に立つ。
暴かず、裁かず、叫ばない。
ただ、歪んだ仕組みを静かに照らし、
「選ばなかった者たち」を、自ら説明の場へと追い込んでいく。
切れない証人。
使えない駒。
しかし、消すこともできない存在。
これは、力で叩き潰すザマアではない。
沈黙と距離で因果を完成させる、知的で冷静な因果応報の物語。
――前に出ない令嬢が、すべての答えを置いていく。
乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!
ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。
相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。
結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。
現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう…
その時に前世の記憶を取り戻すのだった…
「悪役令嬢の兄の婚約者って…」
なんとも微妙なポジション。
しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる