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第五章
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しおりを挟む馬車に揺られながら、私が生まれる前に起きたこの国の歴史を思い出していた。
この国の先代の国王の話は他国にはあまり知られてないのよね。
国としても先代の話は、かなり恥ずかしい話で知られたくない話になる。
国としてかなりの汚点になる。
先代の王が横暴だったのも、自国民のものだけだったから、他国に知られることはあまりなかった。
レイチェルの父親はもしかしたらしってたかもしれないけどね。
何処の国だって他国のことは調べるはず、同盟を組んでたっていつ裏切られるかわからないですし、もしも国として機能してなかったら、同盟を解消する必要も出てくるから、調査をしないわけがない。
だからかなりの確率で、レイチェルの父親が知っていた可能性が高い。
知ったからと言って、レイチェルにこの話はしないでしょうけどね。
レイチェルがこの国に留学するのに、長い間反対されていたのもそのせいかもしれない。
先代王は亡くなっては居るけど、この国が先代王がしていたことを黙認していたことに変わりはない。
そんな国に愛娘を留学させるのは躊躇させるわよね。
非道なことをしていた人物は居なくなったけど、国として対処してなかったせいで、同じような思考をしてる人が居るかもしれないと考えるはず。
王を止める人が1人も居なかったことで、本来なら王を止めさせる側近が機能してなかった。
側近や他の王族が先代王と同じような考えって、普通なら警戒してもおかしくないわよね。
そんな国に娘を留学させるなんて怖いわよね。
先代王は亡くなったけど、当時の側近や他の王族はまだ生きてるのだから。
それを警戒して、お兄様と婚約をさせたのかもしれない。
我が家が選ばれたのは公爵家ってことと、先代王の時に我が家は誰も王宮で仕事をしてなかったからでしょうね。
王家ともそこまで交流はなかった。
ユーリ様の避難所にはなっていたみたいだけど、我が家がそれに選ばれたのも王家との関わりがなかったことと、先代王に否定的だったことで、今の陛下が信頼して預けていたのよね。
我が家が先代王に否定的だったのには理由がある。
我が家も先代王の被害者だったのよね。
お父様には妹が1人いた。
とても綺麗で社交界の華だと言われていた。
叔母様はとても穏やかな性格で、どんな身分の人にも分け隔てなく平等だった。
だけど貴族としてはお人好しで、心も繊細な人だった。
あまり社交界に出たりしなかったけど、誰もそれを咎めたりしなかったらしい。
だからこそたまにパーティーなどに参加すると、みんなが喜び話しかけていたと聞いた。
叔母様には小さい頃からの婚約者がいた。
2人は仲が良くて、親が決めた婚約ではあったけど、お互いに想い合っていた。
だけどそんな2人を引き離す存在が現れた、先代王はパーティーで見かけた叔母様をとても気に入ってしまった。
我が家や婚約者の家に圧力をかけて、叔母様を側室になるように命令した。
我が家も婚約者の家もそれを断固拒否をしたけど、ある友人とのお茶会から帰ってきた叔母様が、次の日に自室で自殺をしてるのが見つかった。
自室には手紙があり、お茶会で自分の身に何が起きたのか書いてあったらしい。
叔母様は友人に裏切られた。
お茶会は嘘の呼び出しでその場に友人と先代王が待機していたらしい。
友人は叔母様を呼ぶことが出来たら、側室になることが約束されていた。
友人はすぐに部屋から出て行ってしまい、部屋には叔母様と先代王の2人になってしまい、すぐに部屋から出て行こうとするけど、叔母様はその時に先代王に脅されてしまう。
もしも自分を拒否するなら、お前の家族を侮辱罪で処刑して、お前の婚約者も侮辱罪で処刑すると脅した。
自分のものになるなら、家族や婚約者に手を出さないと言ったらしい。
叔母様は自分の身を犠牲にすることを決めてしまい、そのままその場で先代王に純潔を捧げることになった。
叔母様は側室になるように命令されていたけど、婚約者を愛してるのに穢れてしまった自分に耐えきれずに、そのまま死ぬことを許して欲しいと手紙に書いてあった。
事実を知った我が家は王家に抗議をしたけど、同意だったと言い逃れをされてしまい有耶無耶になってしまった。
この事を知った叔母様の婚約者は、婚約者を守れなかったことを嘆きながら、叔母様の後を追うように自殺をしてしまった。
先代王は病死って事になってるけど、今の陛下が処刑をしたことを貴族だけが知っている。
その時にお父様とサフィナ家先代当主が協力をした。
お父様が王宮で働いてるのは、近くで王族を見張るためなのよね。
王族が同じ過ちを繰り返さないように、先代王の被害者遺族の代表として、今も近くで監視続けている。
私は馬車の窓から外を見ながら、今の王族が狂った人ではないことを感謝した。
ミハイル様だけがちょっと心配だったけど、ミハイル様が戻ってくることはない。
「イリーナ大丈夫?ずっと何かを考えてるみたいだけど、何か心配事でもあるの?」
「これから大変だなって考えてただけよ。ユーリ様と婚約するって決まった時は、まさか私が王太子妃になるとは思ってませんでしたからね」
「そうだよね。でも小さい頃から王太子妃候補として勉強して来たんでしょ?全く勉強してこなかった人と比べたら大丈夫だよ。周りを警戒するのは大事かもしれないけどね」
そうなのよね。
国として側室を歓迎されてないから、ユーリ様に嫁ぐには私を排除しないといけない。
私を消そうとする人がいつ現れるか分からないのよね。
私とユーリ様の間に何年間も子供が出来なかったら、側室を受け入れても仕方ないってなるけど、強欲な人が何年間も待ってるわけないわよね。
ちょっと憂鬱になりため息をつく。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。何があっても私はイリーナの味方だよ。辛いことがあったら、いつでも愚痴を聞くからね。大変だと思うけど頑張って!!」
レイチェルは呑気だな。
「他人事みたいに言ってるけど、レイチェルだって大変になるよ?」
「えっ?」
「あのね。私が次期王妃になるってことは、お兄様は次期王妃の兄で、私とユーリ様の子供の伯父になるんだよ?お兄様と縁を結びたいって考える人が現れてもおかしくないと思うんだよね」
私の話でレイチェルは顔を真っ青にする。
やっと自分の立場が危ういって理解したのかな?
隣国の王女に手を出す馬鹿は居ないと思いたいけど、何処にでも愚か者は居ますからね。
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