なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ

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1章.サバイバル編

4話.サバイバル生活、前途多難!??

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 クロムは頭の中でナビが怒り叫んでいることを半分無視してしまうほど、目の前に広がる光景に呆気に取られているのであった。

「えっと…… この結果は予想外すぎるんですけど……
 でもまぁ、結果オーライとも言えるかな♪」

『……』

 クロムは目の前の惨状に動揺しつつも、目的の横穴が無事開いたことには満足しており、内部を確認しようとした。

『クロム!!!!
 囲まれてるわよ!!!!』

 クロムは驚きのあまり周囲への警戒を行えていなかったことを、ナビの声で気づくこととなった。
 そして、気が付いた頃には囲まれていたのである。

「……みたいだな」

『あんな爆音をたてたら、集まってくるのは当然よね!!!』

 クロムは開けたばかりの横穴を背にして周囲の様子を窺うと、右側に広がる森のほうから狼のような声が多数聞こえ、上空には鶏のような鳥が数羽こちらの様子を窺っていることが確認できた。

 狼たちはすぐに襲ってくるほどの距離にはまだいないことを確認したクロムは、最初の相手として鶏のような鳥を選択した。

「鶏が空を飛んでるんじゃねーよ!!!」

 クロムは叫ぶと同時に上空に向けて両手を振り回し、レッドセラセニアを粉微塵にした飛ぶ斬撃を上空の鶏もどきに向けて発射する。
 斬撃はクロムの目論見通り近くにいた3羽の羽を切り裂き、さらに首や足を切断した。

 その後ろで様子をみていた鶏もどきたちは、同族の惨殺劇を目の当たりにし、一目散と逃げ去ったのであった。

「ふぅ…… とりあえず鶏は撃退と……」

 鶏もどきを無事撃退して、ふっと一息ついたところに森の中から5匹の狼が飛び出して襲いかかってきた。

「てや!!!!」

 クロムは咄嗟に右手を狼のほうに向け、氷の杭を狼に向けて放ったのだが……
 狼たちに接近を許しすぎており、1匹だけ仕留めそこなっていた。

 氷の杭を避けた狼は、クロムの突き出された右腕に噛みついたのである。

「ぐぅぅぅぅぅぅ……」
「い………… ってぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!」

 クロムは叫びながら左手の手刀で狼の胴体を真っ二つに切断した。

「はぁはぁはぁはぁ……」

 切断しても右腕に噛みついたままであった狼を無理やり引きはがしたクロムは、横穴の入り口付近にて腰を下ろした。

『人の忠告を無視して油断してたバチね!』

「何も言いかえせねーな」

 ぐうの音もでないナビの言葉を飲み込みつつ、クロムはナビに質問をした。

「魔術って傷を治したりもできるのか?」

『……魔術師次第ね。
 ある程度以上の魔術師なら切り傷程度なら治せるわよ、部位欠損とかまで治せる魔術師は…… 
 たぶんいないはずよ』

「なら、試してみるべきだな」

 クロムはナビに回復系の魔術のコツを習い、実際に自分の右腕に対して試してみることにした。
 回復系のコツといっても結局は魔術である。
 傷が治っていくイメージ、元の状態のイメージを強くもって、魔力を体内で循環させる であるらしい。

 クロムが回復魔術を実際に発動させてみると、クロムの全身、特に右腕から淡い白い光が放たれ、右腕から滴り落ちていた血液は徐々に量を減らし……
 白い光が収まるころには、クロムの右腕は元通りになっていた。

「できた……」

『さすがというしかないわね……
 ただし一つ注意ね、魔術での回復は外傷などは修復するけど、血までは修復できないの。
 少しの間は体力回復にあてて、無理しないことね』

 クロムはナビの忠告に感謝しつつも、一時的に休息をとる場所の確保を優先した。
 横穴の中に入ったクロムは、換気用の穴がいくらか開いた鍋蓋のようなものを生成し、それで穴を塞いだ。
 入り口を塞いだ横穴の中は真っ暗であったため、燃え続け空中に静止し続ける炎の玉というものを魔術で生成し、空中に数個漂わせることにした。

「これでしばらくの間は安全で明かりのあるところで休息できるはずだ……」

『よくもまぁ、そんなポンポンと新しい魔術を思いついて生成できるわね……』

「まぁ…… わるい、少し寝るわ……」

 クロムはそのまま横穴のなかで寝転び、眠りに入っていった。

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