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3章.激動の予感編
42話.竜人の試練④
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「なんとか間に合ったか……」
「クロム!!!!!
なんてことするのよ!!!!!」
アキナが怒号を飛ばしながらクロムの元に駆け寄る。
「いやさ……
ここまで上手くいくとは思ってなかったというか……
成功してももっと小規模になると思ってたんだよね……」
「クロム殿はすさまじいですな……
落雷を操る魔術など聞いたこともありませんよ。
ソイソはこのまま奥で休ませます、治療ありがとうございました」
族長はそういうと奥の家までソイソを運んでいった。
クロムはこの世界でも以前の世界と同じ自然現象が発生することの確認ができたことへの喜びと共に、雷という強大な力を簡単に扱えてしまったことへの恐怖。
その二つの感情が同時に湧き出すことを止めることができず、アキナの声を上の空で聞いていた。
「お待たせしました、クロム殿。
クロム殿の治療のおかげでソイソは無事ですよ、ありがとうございます」
「……」
「さて、そろそろ自己紹介させてもらいますね。
私の名前はカルロ。
竜人族の族長であり、最強のものが代々引き継いでいる<竜人王>という二つ名を持っております」
自己紹介を終えたカルロはそのまま最終試練の開始を宣言した。
それによりクロムの隣にいたアキナは驚いて武舞台より飛び降り、その光景を微笑ましく見ていたカルロは右手に片手剣、左手に片手槍という珍しいスタイルでクロムと対峙した。
「剣と槍での二刀流? っていうのは珍しいな」
「竜人族に伝わる伝統のスタイルではあるのですが、習得が難しく竜人族内でも使い手はかなり少ないですな」
「遠回しに自分の才能をアピールしてるってわけね?
それはそうとさ、その口調まだ辞めないのか?
最初は丁寧な対応のためって思ってたけど、どうにも違和感が……」
「あははは、まさか気づかれていたとは……
族長は試練を突破し主となったもの以外には丁寧な口調で接することという掟がありましてね。
クロム殿が試練の突破をなさいましたら、本来の口調に戻させて頂きますよ」
「それは楽しみだな!!」
クロムはそのまま突撃を開始した。
魔術師が素手で突撃してくる、そんな無茶な光景を一切想定できなかったカルロは虚を突かれた。
しかし、すぐに気を引き締めて腰を落として迎撃の構えを取ることにした。
クロムは突撃を続けながら自分の周囲に10本のアイスランスを漂させ、さらに前方に向けて10発のアイスランスを放った。
カルロは左手に持つ槍の高速突きにてアイスランスを全て迎撃してみせ、クロムが多用している泥沼への警戒をするため視線を下にむけた。
しかし地面には一切の変化も違和感もなかったが…… 左手に激しい痺れを感じて槍を手放してしまった。
何が起こったのか分からずにいるカルロは右手を狙う気配を感じて咄嗟にバックステップをし大きく距離をとることにした。
そして、カルロはバックステップ中に先ほどまで自分がいた場所に小規模な落雷が落ちるのを見ることになり、先ほどの自分に起こったことを理解した。
「落雷を操る魔術は先ほど初めて成功をさせたと思っておりましたが……
しかも一瞬で発生できるとは思いませんでしたな」
「さっきが初めてなのは間違いないよ、そもそもあの原理で雷を発生させることができる世界かどうかもわかっていなかったしな。
実験が成功したので、落雷を発生させるあの現象に魔術名を付けることで魔術の高速発動と規模の制御を実現させたってところだな」
「時間をかけてゆっくり実験した直後にすぐに最適化してしまうとは……
ビネガの言う通り、恐ろしいまでの魔術センスですね」
「そう言いつつもちゃんと回避したあんたこそ化け物じゃないのか?」
お互いの力量を改めて認め合った二人は不敵な笑みを浮かべながら対峙していた。
「クロム!!!!!
なんてことするのよ!!!!!」
アキナが怒号を飛ばしながらクロムの元に駆け寄る。
「いやさ……
ここまで上手くいくとは思ってなかったというか……
成功してももっと小規模になると思ってたんだよね……」
「クロム殿はすさまじいですな……
落雷を操る魔術など聞いたこともありませんよ。
ソイソはこのまま奥で休ませます、治療ありがとうございました」
族長はそういうと奥の家までソイソを運んでいった。
クロムはこの世界でも以前の世界と同じ自然現象が発生することの確認ができたことへの喜びと共に、雷という強大な力を簡単に扱えてしまったことへの恐怖。
その二つの感情が同時に湧き出すことを止めることができず、アキナの声を上の空で聞いていた。
「お待たせしました、クロム殿。
クロム殿の治療のおかげでソイソは無事ですよ、ありがとうございます」
「……」
「さて、そろそろ自己紹介させてもらいますね。
私の名前はカルロ。
竜人族の族長であり、最強のものが代々引き継いでいる<竜人王>という二つ名を持っております」
自己紹介を終えたカルロはそのまま最終試練の開始を宣言した。
それによりクロムの隣にいたアキナは驚いて武舞台より飛び降り、その光景を微笑ましく見ていたカルロは右手に片手剣、左手に片手槍という珍しいスタイルでクロムと対峙した。
「剣と槍での二刀流? っていうのは珍しいな」
「竜人族に伝わる伝統のスタイルではあるのですが、習得が難しく竜人族内でも使い手はかなり少ないですな」
「遠回しに自分の才能をアピールしてるってわけね?
それはそうとさ、その口調まだ辞めないのか?
最初は丁寧な対応のためって思ってたけど、どうにも違和感が……」
「あははは、まさか気づかれていたとは……
族長は試練を突破し主となったもの以外には丁寧な口調で接することという掟がありましてね。
クロム殿が試練の突破をなさいましたら、本来の口調に戻させて頂きますよ」
「それは楽しみだな!!」
クロムはそのまま突撃を開始した。
魔術師が素手で突撃してくる、そんな無茶な光景を一切想定できなかったカルロは虚を突かれた。
しかし、すぐに気を引き締めて腰を落として迎撃の構えを取ることにした。
クロムは突撃を続けながら自分の周囲に10本のアイスランスを漂させ、さらに前方に向けて10発のアイスランスを放った。
カルロは左手に持つ槍の高速突きにてアイスランスを全て迎撃してみせ、クロムが多用している泥沼への警戒をするため視線を下にむけた。
しかし地面には一切の変化も違和感もなかったが…… 左手に激しい痺れを感じて槍を手放してしまった。
何が起こったのか分からずにいるカルロは右手を狙う気配を感じて咄嗟にバックステップをし大きく距離をとることにした。
そして、カルロはバックステップ中に先ほどまで自分がいた場所に小規模な落雷が落ちるのを見ることになり、先ほどの自分に起こったことを理解した。
「落雷を操る魔術は先ほど初めて成功をさせたと思っておりましたが……
しかも一瞬で発生できるとは思いませんでしたな」
「さっきが初めてなのは間違いないよ、そもそもあの原理で雷を発生させることができる世界かどうかもわかっていなかったしな。
実験が成功したので、落雷を発生させるあの現象に魔術名を付けることで魔術の高速発動と規模の制御を実現させたってところだな」
「時間をかけてゆっくり実験した直後にすぐに最適化してしまうとは……
ビネガの言う通り、恐ろしいまでの魔術センスですね」
「そう言いつつもちゃんと回避したあんたこそ化け物じゃないのか?」
お互いの力量を改めて認め合った二人は不敵な笑みを浮かべながら対峙していた。
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