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8章.神々の黄昏編
127話.久しぶりの日常
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「クロムはいつも急なんだから!!!!」
カオスの試練を終えたクロムは、アキナに怒られていた。
出掛ける時も帰ってくる時もいつも急すぎるという話と、毎回残されたものがどれだけ心配しているのかという内容の言葉が延々と続いた。
クロムは怒られてはいるのだが、自分がいかに必要とされて愛されているのかというのを実感するものでもあった。
「クロム、聞いてるの!!!
急にニヤニヤして…… 私は怒ってるのよ!」
「あぁ、ごめんよ。
自分がどれだけ愛してもらえてるのかを感じれて思わず嬉しくなっちゃってさ」
「!!
バカ……」
顔を真っ赤にしたアキナはそのまま黙ってしまった。
クロムはそんなアキナのことをそっと抱き寄せて、頭を優しく撫でた。
「いつも心配してくれてありがとな。
アキナたちのその優しさがいつも力になってるよ」
互いの体温と鼓動を感じ、それに安らぎを覚えながら、二人は一緒に居られるこの時間がいかに幸せな時間であるのかということを噛みしめるのであった。
そして、安心しきった二人はそのまま眠りにおちていった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
しばらくして目を覚ました二人は、幹部たちを招集した。
魔導王と剣聖の討伐から創造神との戦闘、そしてカオスの試練へと続いた一連の出来事を説明するためだった。
クロムから説明を受けた幹部たちは、苦笑いを浮かべつつもクロムらしい出来事でもあると納得するのであった。
「俺らしいっていう納得のされ方は腑に落ちないんだが……」
「日頃の行いってやつだな、兄貴はいつもなにかをやらかすからさ」
「まったくじゃな、でもそれはワシらが不甲斐ないからというのもあるわけじゃが……」
「はぁ、貶すのか褒めるのかどっちなんだよって感じではあるが……
とりあえず状況は説明した通りだ」
「話を聞く限り逃げる場所もなさそうだし、このままこのミレストンを発展させながら創造神の襲撃を待つってことになるのかな」
「どこにいるのかもわからない相手だからな、その上いつ来るのかすらわからないから警戒はしつつも、いつも通りの生活を楽しむつもりだよ」
<創造神からの襲撃がいつかある>というある意味絶望的な状況であるにも関わらずいつも通りの言動をするクロムの存在は、皆の心を落ち着かせるには十分なものであった。
そしてその後のクロムは宣言通りにいつも通りの生活を過ごしていた。
仲間たちや街の人たちと一緒に騒いで、笑いあって、ただ楽しそうに日々を過ごしていった。
そして、ダイン獣王国の西の端に存在する【都市国家ミレストン】は、ダイン獣王国の実力至上主義で虐げられることを余儀なくされていた多数の獣人族を移民として受け入れることにより急速な発展を遂げるのであった。
そして移民用の土地として都市の近隣の土地を領土に含めながら―――
その結果、ある者が訪問することになった。
「お久しぶりです、クロムさん」
「おぉ、タケルか。
ひさしぶりだな」
ダイン獣王国の勇者、タケルである。
タケルは獣王ダインの使者という立場で訪問しており、ダインからの伝言を預かっていた。
「ついに来たか……
そろそろダインから何か言われるとは思ってたんだ」
「はぁ……
当たり前ですよ、さすがこのまま放置しては国としてのメンツ、獣王としてのメンツ、両方にかかわりますからね」
ダインからの伝言は単純なものである。
移民の受け入れも多少は致し方ないとして認める。
だが、領土の拡大とダイン獣王国の国民の半分近い数の移民の受け入れはさすがにやり過ぎだ、という内容である。
「言いたいことはわかるんだけどさ、でも元はと言えばダインが悪いともいえるんだぞ?
うちは別に移民を厚遇してるわけじゃない、全ての国民がただ公平であるだけだ。
誰にも等しく機会が与えられるだけで、間違っても平等ではない」
「……」
「俺はダインのことは嫌いじゃない、むしろ好きな部類だよ。
でもダイン獣王国は嫌いだ、強者が弱者から機会すら奪って当然という国だからだ」
「はっきりといいますね」
「綺麗ごとを言い合うところじゃないだろ?
それに移民の中には公平と平等を履き違えて、努力もせずに文句を言っているやつもいるが、そんなやつには俺は手を差し伸べない。
でも頑張りたいって思っているやつには手を差し伸べて機会は与える、努力をする限り何度でもな。
そして、楽しく生活できる環境や国をみんなの手で創ってゆく。
俺がやっていることはそれだけなんだよ。
別に移民としてうちに来てくれなんて言ったこともないしな」
「理想的な世界…… ではありますね」
「そうだな、でもせっかくの転生した人生だしな。
理想的な世界を夢見て、目指してみたいじゃないか」
「わからなくはないですけど……」
「それに俺の夢に賛同してくれた人だけが今残っている。
賛同できなかった移民は結局街を出て行ったからな」
クロムの言葉に苦笑するしかないタケル。
クロムのそれが理想であり、ダイン獣王国の歪みが都市国家ミレストンへの移民につながっていることは重々理解していた
しかしダインの使者として訪問している立場上、クロムの理想をただ認めるだけというわけにはいかなかった。
そして、クロムも必要以上にダイン獣王国ともめる意志はないため、一旦移民の受け入れを停止することを約束した。
タケルはそれを手土産として、ダイン獣王国へと帰るのであった。
カオスの試練を終えたクロムは、アキナに怒られていた。
出掛ける時も帰ってくる時もいつも急すぎるという話と、毎回残されたものがどれだけ心配しているのかという内容の言葉が延々と続いた。
クロムは怒られてはいるのだが、自分がいかに必要とされて愛されているのかというのを実感するものでもあった。
「クロム、聞いてるの!!!
急にニヤニヤして…… 私は怒ってるのよ!」
「あぁ、ごめんよ。
自分がどれだけ愛してもらえてるのかを感じれて思わず嬉しくなっちゃってさ」
「!!
バカ……」
顔を真っ赤にしたアキナはそのまま黙ってしまった。
クロムはそんなアキナのことをそっと抱き寄せて、頭を優しく撫でた。
「いつも心配してくれてありがとな。
アキナたちのその優しさがいつも力になってるよ」
互いの体温と鼓動を感じ、それに安らぎを覚えながら、二人は一緒に居られるこの時間がいかに幸せな時間であるのかということを噛みしめるのであった。
そして、安心しきった二人はそのまま眠りにおちていった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
しばらくして目を覚ました二人は、幹部たちを招集した。
魔導王と剣聖の討伐から創造神との戦闘、そしてカオスの試練へと続いた一連の出来事を説明するためだった。
クロムから説明を受けた幹部たちは、苦笑いを浮かべつつもクロムらしい出来事でもあると納得するのであった。
「俺らしいっていう納得のされ方は腑に落ちないんだが……」
「日頃の行いってやつだな、兄貴はいつもなにかをやらかすからさ」
「まったくじゃな、でもそれはワシらが不甲斐ないからというのもあるわけじゃが……」
「はぁ、貶すのか褒めるのかどっちなんだよって感じではあるが……
とりあえず状況は説明した通りだ」
「話を聞く限り逃げる場所もなさそうだし、このままこのミレストンを発展させながら創造神の襲撃を待つってことになるのかな」
「どこにいるのかもわからない相手だからな、その上いつ来るのかすらわからないから警戒はしつつも、いつも通りの生活を楽しむつもりだよ」
<創造神からの襲撃がいつかある>というある意味絶望的な状況であるにも関わらずいつも通りの言動をするクロムの存在は、皆の心を落ち着かせるには十分なものであった。
そしてその後のクロムは宣言通りにいつも通りの生活を過ごしていた。
仲間たちや街の人たちと一緒に騒いで、笑いあって、ただ楽しそうに日々を過ごしていった。
そして、ダイン獣王国の西の端に存在する【都市国家ミレストン】は、ダイン獣王国の実力至上主義で虐げられることを余儀なくされていた多数の獣人族を移民として受け入れることにより急速な発展を遂げるのであった。
そして移民用の土地として都市の近隣の土地を領土に含めながら―――
その結果、ある者が訪問することになった。
「お久しぶりです、クロムさん」
「おぉ、タケルか。
ひさしぶりだな」
ダイン獣王国の勇者、タケルである。
タケルは獣王ダインの使者という立場で訪問しており、ダインからの伝言を預かっていた。
「ついに来たか……
そろそろダインから何か言われるとは思ってたんだ」
「はぁ……
当たり前ですよ、さすがこのまま放置しては国としてのメンツ、獣王としてのメンツ、両方にかかわりますからね」
ダインからの伝言は単純なものである。
移民の受け入れも多少は致し方ないとして認める。
だが、領土の拡大とダイン獣王国の国民の半分近い数の移民の受け入れはさすがにやり過ぎだ、という内容である。
「言いたいことはわかるんだけどさ、でも元はと言えばダインが悪いともいえるんだぞ?
うちは別に移民を厚遇してるわけじゃない、全ての国民がただ公平であるだけだ。
誰にも等しく機会が与えられるだけで、間違っても平等ではない」
「……」
「俺はダインのことは嫌いじゃない、むしろ好きな部類だよ。
でもダイン獣王国は嫌いだ、強者が弱者から機会すら奪って当然という国だからだ」
「はっきりといいますね」
「綺麗ごとを言い合うところじゃないだろ?
それに移民の中には公平と平等を履き違えて、努力もせずに文句を言っているやつもいるが、そんなやつには俺は手を差し伸べない。
でも頑張りたいって思っているやつには手を差し伸べて機会は与える、努力をする限り何度でもな。
そして、楽しく生活できる環境や国をみんなの手で創ってゆく。
俺がやっていることはそれだけなんだよ。
別に移民としてうちに来てくれなんて言ったこともないしな」
「理想的な世界…… ではありますね」
「そうだな、でもせっかくの転生した人生だしな。
理想的な世界を夢見て、目指してみたいじゃないか」
「わからなくはないですけど……」
「それに俺の夢に賛同してくれた人だけが今残っている。
賛同できなかった移民は結局街を出て行ったからな」
クロムの言葉に苦笑するしかないタケル。
クロムのそれが理想であり、ダイン獣王国の歪みが都市国家ミレストンへの移民につながっていることは重々理解していた
しかしダインの使者として訪問している立場上、クロムの理想をただ認めるだけというわけにはいかなかった。
そして、クロムも必要以上にダイン獣王国ともめる意志はないため、一旦移民の受け入れを停止することを約束した。
タケルはそれを手土産として、ダイン獣王国へと帰るのであった。
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