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7月12日 月曜日
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放課後。委員会も日直もなく、真っ直ぐ下駄箱へ向かう。
――いた。明くん。
上履きを脱ぐ姿を見ただけで胸が高鳴る。
声をかけようとして、けれど足が止まった。
周りにはまだ生徒がいて、勇気が出ずに下駄箱の影に隠れてしまう。
――……ひとりになったら、声をかけよう。
時間が過ぎ、人気が減ったころ。恐る恐る顔を覗かせると視界が突然、明くんで埋まった。
「うわっ!」
思わず声が裏返る。
「俺に何か用?」
目を細めて笑うように、明くんが首を傾げる。
「え、あ、いや……」
言葉に詰まる僕に、彼は背を向けようとする。
「ないなら帰るけど」
その一言に、胸がぎゅっと掴まれる。
――行かないで。置いていかないで。
気づいたら声が出ていた。
「一緒に帰ろう!」
自分でも驚くほど大きな声。
顔が熱くなり、下を向く。
短い沈黙のあと。
「……いいよ」
くすっと笑って、明くんが僕の前に並ぶ。
僕を置いていかず、歩幅を合わせて。
胸の奥に、ぽうっと温かい光がともった。
――いた。明くん。
上履きを脱ぐ姿を見ただけで胸が高鳴る。
声をかけようとして、けれど足が止まった。
周りにはまだ生徒がいて、勇気が出ずに下駄箱の影に隠れてしまう。
――……ひとりになったら、声をかけよう。
時間が過ぎ、人気が減ったころ。恐る恐る顔を覗かせると視界が突然、明くんで埋まった。
「うわっ!」
思わず声が裏返る。
「俺に何か用?」
目を細めて笑うように、明くんが首を傾げる。
「え、あ、いや……」
言葉に詰まる僕に、彼は背を向けようとする。
「ないなら帰るけど」
その一言に、胸がぎゅっと掴まれる。
――行かないで。置いていかないで。
気づいたら声が出ていた。
「一緒に帰ろう!」
自分でも驚くほど大きな声。
顔が熱くなり、下を向く。
短い沈黙のあと。
「……いいよ」
くすっと笑って、明くんが僕の前に並ぶ。
僕を置いていかず、歩幅を合わせて。
胸の奥に、ぽうっと温かい光がともった。
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