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幼なじみってなんだろう。
物心ついた時からそばにいて、いるのが当たり前で、いないのなんて考えられない。
友達よりも深くて、家族のような存在。
じゃあ、もはやそれは家族なのでは?
そう思って考えてみると、やっぱり家族とも違う。
じゃあなんなんだろう。
そう思ったのは、中学3年のときだった。初めて同じクラスになった奴に言われたからだ。
『お前ら、付き合ってんの?』
その言葉を聞くまでは、オレは幼なじみのことをそんな風に考えたことは無かった。そばにいるのが当たり前すぎて、その関係なんて考えたことなんてなかったから。だからそうクラスメイトに訊かれた時、オレは一瞬頭がフリーズした。だけどそんなオレとは違って、幼なじみはすぐさま返した。
『そんなわけないだろ』
当たり前のように笑ってそう返す幼なじみに、オレも笑顔を作って同意したけど、その時オレの心は複雑だった。
複雑というかもやもやするというか、なんか納得いってないような・・・。
でもそれがなんなのか分からない。
分からないまま、その日は終わった。
だけどオレの中のもやもやは、いつまで経っても消えなかった。
なんだろう。
この変な気持ちは。
それ以来すっきりしない心のもやに、もしかしてオレは幼なじみが好きなのか?とも思ったけれど、オレにはまず、その好きって言う気持ちが分からない。
確かに幼なじみのことは好きだと思う・・・いや、そばにいるのが当たり前過ぎて、改めて好きかどうかなんて考えたことなんてないから分からないけど、嫌いなんて一度も思ったことないし、いつも自然とそばにいるのだから好きなんだと思う。いや、好きじゃなきゃそばにいない。だから好きだと思うけど、それは果たしてどんな好きなのか。
それまで全く考えもしていなかった幼なじみの存在が、そのとき以来オレの中で疑問となって居座り始めた。そしてそれは、一度気になってしまったら、ずっと気になり続けたのだ。
それまでは本当に、なんの意識もしていなかった。
小さい頃はお互い性なんて全く気にしてなかったし、中二の第二性診断でオメガとアルファだと分かっても、全く関係は変わらなかった。なのにあの言葉を聞いてから、オレはオレたちが異性だと言うことに気づいてしまった。
付き合おうと思ったら、付き合えるんだ。
そう思ったら、なんだか心のもやもやが大きくなった。でもそれはオレだけで、きっと幼なじみはなんにも気にしてなんかない。
だから、あんなにすぐに否定したんだ。
別にそれはいいんだ。
オレだってすぐには反応出来なかったけど、否定しただろう。でもなんでだろう。心のもやもやがいつまでも消えない。
だけどそんなもやもやを抱えながらも、時間は変わらず過ぎていく。
中学までは同じ学校だったオレたちも、アルファとオメガだから進学先が変わってしまった。だってやっぱり、頭の作りが違うから。
幼なじみは県の中でもトップの偏差値を誇る学校で、オレは近くの公立高校だ。公立高校と言っても、そこはちゃんとオメガ対策をしてくれてる学校でもちろん危険は無い。だから通ってるんだけど、親は少し・・・いや、かなり心配して実は反対された。それでもオレの意志を尊重して通わせてもらっていた。
だけど、高2で初めて発情期を迎えてからは、少し事情が変わってしまった。
オメガと診断されても発情期の訪れは個人差があり、オレは高校に入ってもまだ来ていなかった。だからオメガとしてはまだ未熟で、フェロモンもまだ出ておらず、抑制剤も服用していなかった。けれど2年の秋にようやく訪れた発情期は、オレの生活を一変させてしまった。
オレの発情期は、とても重かったのだ。
幸い家にいる時に訪れたそれに、慌てはしたものの予め用意されていたオメガ仕様の自室にこもることができた。家族も住む家だけど、防音も施錠もでき、シャワーも付いている。食事も母親が定期的にドアの前に置いてくれるのを、発情の波が弱まった時にとる手はずになっていた。
だけどオレの発情期に、弱まる瞬間などなかったのだ。
初めてのことに、オレもそれの程度など分からない。だから衝動に駆られるまま、オレは必死に自分を慰め続けた。
治まらない衝動に、オレは追い詰められるように本当に必死だった。だからどれだけ時間が経っていたのかも分からなかったんだ。
異変に気づいたのは母親だった。
部屋の前に置いた食事が、一度も食べられた形跡がなかったからだ。それでも親にとっても初めての発情期。食欲がないのかと、しばらく様子を見ることにした。けれど一向に無くならない食事。それどころか飲み物も無くならない。
さすがに2日目になると、その心配も大きくなる。ノックをしても応答はなく、連絡を取ろうにもスマホのメッセージはいつまで経っても未読のまま。確かめようにも、発情期のオメガのことは知っている。いくら親でもそんな姿は見られたくないだろう。そう思って、見守っていたけれど、さすがに3日目の夜になっても変わらぬ様子に、親はドアを開けた。そして見たのは、ベッドの上で気を失っているオレだった。
物心ついた時からそばにいて、いるのが当たり前で、いないのなんて考えられない。
友達よりも深くて、家族のような存在。
じゃあ、もはやそれは家族なのでは?
そう思って考えてみると、やっぱり家族とも違う。
じゃあなんなんだろう。
そう思ったのは、中学3年のときだった。初めて同じクラスになった奴に言われたからだ。
『お前ら、付き合ってんの?』
その言葉を聞くまでは、オレは幼なじみのことをそんな風に考えたことは無かった。そばにいるのが当たり前すぎて、その関係なんて考えたことなんてなかったから。だからそうクラスメイトに訊かれた時、オレは一瞬頭がフリーズした。だけどそんなオレとは違って、幼なじみはすぐさま返した。
『そんなわけないだろ』
当たり前のように笑ってそう返す幼なじみに、オレも笑顔を作って同意したけど、その時オレの心は複雑だった。
複雑というかもやもやするというか、なんか納得いってないような・・・。
でもそれがなんなのか分からない。
分からないまま、その日は終わった。
だけどオレの中のもやもやは、いつまで経っても消えなかった。
なんだろう。
この変な気持ちは。
それ以来すっきりしない心のもやに、もしかしてオレは幼なじみが好きなのか?とも思ったけれど、オレにはまず、その好きって言う気持ちが分からない。
確かに幼なじみのことは好きだと思う・・・いや、そばにいるのが当たり前過ぎて、改めて好きかどうかなんて考えたことなんてないから分からないけど、嫌いなんて一度も思ったことないし、いつも自然とそばにいるのだから好きなんだと思う。いや、好きじゃなきゃそばにいない。だから好きだと思うけど、それは果たしてどんな好きなのか。
それまで全く考えもしていなかった幼なじみの存在が、そのとき以来オレの中で疑問となって居座り始めた。そしてそれは、一度気になってしまったら、ずっと気になり続けたのだ。
それまでは本当に、なんの意識もしていなかった。
小さい頃はお互い性なんて全く気にしてなかったし、中二の第二性診断でオメガとアルファだと分かっても、全く関係は変わらなかった。なのにあの言葉を聞いてから、オレはオレたちが異性だと言うことに気づいてしまった。
付き合おうと思ったら、付き合えるんだ。
そう思ったら、なんだか心のもやもやが大きくなった。でもそれはオレだけで、きっと幼なじみはなんにも気にしてなんかない。
だから、あんなにすぐに否定したんだ。
別にそれはいいんだ。
オレだってすぐには反応出来なかったけど、否定しただろう。でもなんでだろう。心のもやもやがいつまでも消えない。
だけどそんなもやもやを抱えながらも、時間は変わらず過ぎていく。
中学までは同じ学校だったオレたちも、アルファとオメガだから進学先が変わってしまった。だってやっぱり、頭の作りが違うから。
幼なじみは県の中でもトップの偏差値を誇る学校で、オレは近くの公立高校だ。公立高校と言っても、そこはちゃんとオメガ対策をしてくれてる学校でもちろん危険は無い。だから通ってるんだけど、親は少し・・・いや、かなり心配して実は反対された。それでもオレの意志を尊重して通わせてもらっていた。
だけど、高2で初めて発情期を迎えてからは、少し事情が変わってしまった。
オメガと診断されても発情期の訪れは個人差があり、オレは高校に入ってもまだ来ていなかった。だからオメガとしてはまだ未熟で、フェロモンもまだ出ておらず、抑制剤も服用していなかった。けれど2年の秋にようやく訪れた発情期は、オレの生活を一変させてしまった。
オレの発情期は、とても重かったのだ。
幸い家にいる時に訪れたそれに、慌てはしたものの予め用意されていたオメガ仕様の自室にこもることができた。家族も住む家だけど、防音も施錠もでき、シャワーも付いている。食事も母親が定期的にドアの前に置いてくれるのを、発情の波が弱まった時にとる手はずになっていた。
だけどオレの発情期に、弱まる瞬間などなかったのだ。
初めてのことに、オレもそれの程度など分からない。だから衝動に駆られるまま、オレは必死に自分を慰め続けた。
治まらない衝動に、オレは追い詰められるように本当に必死だった。だからどれだけ時間が経っていたのかも分からなかったんだ。
異変に気づいたのは母親だった。
部屋の前に置いた食事が、一度も食べられた形跡がなかったからだ。それでも親にとっても初めての発情期。食欲がないのかと、しばらく様子を見ることにした。けれど一向に無くならない食事。それどころか飲み物も無くならない。
さすがに2日目になると、その心配も大きくなる。ノックをしても応答はなく、連絡を取ろうにもスマホのメッセージはいつまで経っても未読のまま。確かめようにも、発情期のオメガのことは知っている。いくら親でもそんな姿は見られたくないだろう。そう思って、見守っていたけれど、さすがに3日目の夜になっても変わらぬ様子に、親はドアを開けた。そして見たのは、ベッドの上で気を失っているオレだった。
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