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痛みが治まれば理性も戻ってくる。だからオレは、今さらながら今のこの状況の異常さに気づく。
そもそも何でこうなったのか。
いきなり現れて、よく分からないことを言って、それでキスされて・・・。
初めてのキスだったのに・・・。
ドラマや映画のようなシチュエーションを望んでいたわけでは無いけれど、だけどこんな、突然なんの前触れもなくされるのは違う。
幼なじみの昂りをまだこの身に入れたまま、オレはそう思った。
だけど本当に、どうしてそうなったのだろう。
それが分からなくて、オレは幼なじみを見る。するとすぐに目が合った。どうやらずっとオレを見ていたらしい。
「さっきのほんと?」
目が合った途端そう訊く幼なじみを、オレはじっと見る。それはこっちのセリフだ。
「お前こそ、どうなんだよ」
半分以上はわけが分からなかったけど、確かにオレのこと『好き』って言った。
「オレは・・・」
そう言うと幼なじみは、辛そうな切なそうな、よく分からない顔をする。
「お前が好きだよ。もうずっと前から。でもお前は違ったから、だから言わなかったんだ。言わずに離れた」
それはさっきも言ってたような気がする。だけど衝撃が強すぎて、あんまり覚えていない。
「お前はずっとオレを幼なじみとしか思ってなくて、完全に家族のように信頼して安心して・・・だけどオレはお前に邪な思いを抱いていて・・・それが辛かったんだ」
ぽつりぽつりと話す幼なじみは、本当に辛そうだ。
「同性でギリギリ留まってたのに、診断でオメガって分かってさ・・・オレ、マジ焦ったわ。同じ『男』だからとどうにか自分に言い聞かせてたのにさ、ここに来て『異性』だと分かって、抑える理由がなくなった。それでもどうにか堪えてたけど、お前は知らずに変わらず懐いてくっついてくるし、もう無理だと思ったんだ」
それで高校進学を機に、離れることにしたと言う。
「オレだって離れたくなかったよ。でもいつ襲ってしまうか分からないし、もし本当に襲ってしまったら、オレはもうお前のそばにはいられなくなって・・・そんなの嫌だったんだ」
そう言う辛そうな幼なじみに、オレは申し訳なく思った。診断の後、オメガであるオレは、アルファの幼なじみとは3年でクラスが分かれた。でもそれも当たり前のことで何も思ってなかったし、分かれたために一緒にいられる時間が減ったけど、それに対してもなんにも思わなかった。だから進学した高校が違ってさらに会う時間がなくなっても、そう言う過程から全く何も思ってなかったのだ。ただ、3年の時にクラスメイトに言われた言葉に、オレたちの関係に疑問は持ったけど、だからといって会えない時間に寂しいとは思わなかったのだ。
でもまさか、幼なじみはオレへの思いにずっと悩んでいたなんて知らなかった。しかも、少しずつ会う時間を減らして離れていってたなんて、全く気づかなかった。
単純にアルファが通う学校は大変なんだな、と思っただけだ。
「オレはこんなに悩んで離れたけど、お前は全く平気そうでさ。少しは寂しがれよ、て思ったけど、それはお前がオレを幼なじみ以上に思ってないって事で、ますます告白なんて出来ないと思ったよ」
確かにそうだ。
幼なじみへの思いはなんだろう、とは考えてた。でもそれを考えてても、実際学校が離れて会えなくなっても寂しいなんて思わなかった。いや、寂しい気持ちはあったけど、だからってどうしても会いたいとか、幼なじみを思って胸を焦がすようなことは無かったのだ。
だからその時のオレは、幼なじみをそういう意味で『好き』ではなかったんだと思う。
じゃあ今の気持ちは?
さっき気づいた思いも違うのだろうか。
そう思って改めて考えてみる。
知らないアルファと交わることが嫌だった。だからするなら幼なじみがいいと思った。
でもそれは、好きだから幼なじみが良かったのか、それともよく知っているアルファが幼なじみだからだったのか。
理性を取り戻した頭は冷静にそう分析する。けれどいまこうして肌を合わせ、幼なじみの香りに包まれている身体は、歓喜に満ちている。そして感じるのだ。オレはいまとても幸せなんだと。それがただ単に、相手がアルファだからでは無い。幼なじみだから、心もとても満たされているんだ。
好きじゃなかったら、ただ気持ちがいいだけだと思う。でもオレはいますごく満たされて、幸福感に満ちている。それはいまこの身に幼なじみを迎えているからだ。
・・・・・・て、いままだオレたち繋がったままだ。
それに改めて気づいて恥ずかしくなる。
それにしてもなんで、こんなシリアスな話をしてるのに萎えないんだろう。
未だ大きく固いままのそれに、オレのお腹はきゅんと疼く。ずっと動かなかったせいか、すっかり馴染んでしまったようで痛みもお腹の張りも治まっている。するとだんだん身体が熱くなってくる。
再び早くなる鼓動に焦っていると、それに気づいてないのか、幼なじみが話を続ける。
「離れようとしてるからオレからはあんまり連絡できなくて、だからお前から来ないかなと思っても全然連絡なくてさ。ほんと、オレたちの温度差を実感したよ」
そう言ってため息のようにひとつ息を吐いた。
そもそも何でこうなったのか。
いきなり現れて、よく分からないことを言って、それでキスされて・・・。
初めてのキスだったのに・・・。
ドラマや映画のようなシチュエーションを望んでいたわけでは無いけれど、だけどこんな、突然なんの前触れもなくされるのは違う。
幼なじみの昂りをまだこの身に入れたまま、オレはそう思った。
だけど本当に、どうしてそうなったのだろう。
それが分からなくて、オレは幼なじみを見る。するとすぐに目が合った。どうやらずっとオレを見ていたらしい。
「さっきのほんと?」
目が合った途端そう訊く幼なじみを、オレはじっと見る。それはこっちのセリフだ。
「お前こそ、どうなんだよ」
半分以上はわけが分からなかったけど、確かにオレのこと『好き』って言った。
「オレは・・・」
そう言うと幼なじみは、辛そうな切なそうな、よく分からない顔をする。
「お前が好きだよ。もうずっと前から。でもお前は違ったから、だから言わなかったんだ。言わずに離れた」
それはさっきも言ってたような気がする。だけど衝撃が強すぎて、あんまり覚えていない。
「お前はずっとオレを幼なじみとしか思ってなくて、完全に家族のように信頼して安心して・・・だけどオレはお前に邪な思いを抱いていて・・・それが辛かったんだ」
ぽつりぽつりと話す幼なじみは、本当に辛そうだ。
「同性でギリギリ留まってたのに、診断でオメガって分かってさ・・・オレ、マジ焦ったわ。同じ『男』だからとどうにか自分に言い聞かせてたのにさ、ここに来て『異性』だと分かって、抑える理由がなくなった。それでもどうにか堪えてたけど、お前は知らずに変わらず懐いてくっついてくるし、もう無理だと思ったんだ」
それで高校進学を機に、離れることにしたと言う。
「オレだって離れたくなかったよ。でもいつ襲ってしまうか分からないし、もし本当に襲ってしまったら、オレはもうお前のそばにはいられなくなって・・・そんなの嫌だったんだ」
そう言う辛そうな幼なじみに、オレは申し訳なく思った。診断の後、オメガであるオレは、アルファの幼なじみとは3年でクラスが分かれた。でもそれも当たり前のことで何も思ってなかったし、分かれたために一緒にいられる時間が減ったけど、それに対してもなんにも思わなかった。だから進学した高校が違ってさらに会う時間がなくなっても、そう言う過程から全く何も思ってなかったのだ。ただ、3年の時にクラスメイトに言われた言葉に、オレたちの関係に疑問は持ったけど、だからといって会えない時間に寂しいとは思わなかったのだ。
でもまさか、幼なじみはオレへの思いにずっと悩んでいたなんて知らなかった。しかも、少しずつ会う時間を減らして離れていってたなんて、全く気づかなかった。
単純にアルファが通う学校は大変なんだな、と思っただけだ。
「オレはこんなに悩んで離れたけど、お前は全く平気そうでさ。少しは寂しがれよ、て思ったけど、それはお前がオレを幼なじみ以上に思ってないって事で、ますます告白なんて出来ないと思ったよ」
確かにそうだ。
幼なじみへの思いはなんだろう、とは考えてた。でもそれを考えてても、実際学校が離れて会えなくなっても寂しいなんて思わなかった。いや、寂しい気持ちはあったけど、だからってどうしても会いたいとか、幼なじみを思って胸を焦がすようなことは無かったのだ。
だからその時のオレは、幼なじみをそういう意味で『好き』ではなかったんだと思う。
じゃあ今の気持ちは?
さっき気づいた思いも違うのだろうか。
そう思って改めて考えてみる。
知らないアルファと交わることが嫌だった。だからするなら幼なじみがいいと思った。
でもそれは、好きだから幼なじみが良かったのか、それともよく知っているアルファが幼なじみだからだったのか。
理性を取り戻した頭は冷静にそう分析する。けれどいまこうして肌を合わせ、幼なじみの香りに包まれている身体は、歓喜に満ちている。そして感じるのだ。オレはいまとても幸せなんだと。それがただ単に、相手がアルファだからでは無い。幼なじみだから、心もとても満たされているんだ。
好きじゃなかったら、ただ気持ちがいいだけだと思う。でもオレはいますごく満たされて、幸福感に満ちている。それはいまこの身に幼なじみを迎えているからだ。
・・・・・・て、いままだオレたち繋がったままだ。
それに改めて気づいて恥ずかしくなる。
それにしてもなんで、こんなシリアスな話をしてるのに萎えないんだろう。
未だ大きく固いままのそれに、オレのお腹はきゅんと疼く。ずっと動かなかったせいか、すっかり馴染んでしまったようで痛みもお腹の張りも治まっている。するとだんだん身体が熱くなってくる。
再び早くなる鼓動に焦っていると、それに気づいてないのか、幼なじみが話を続ける。
「離れようとしてるからオレからはあんまり連絡できなくて、だからお前から来ないかなと思っても全然連絡なくてさ。ほんと、オレたちの温度差を実感したよ」
そう言ってため息のようにひとつ息を吐いた。
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