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ほんとにほんとに、どんな顔して会えばいいんだ。
でもそんなオレの心配をよそに、親はすごく喜んでくれた。本当はずっと、幼なじみとの関係を密かに心配してくれていて、今回のことも病院ではなく幼なじみに頼めばいいと思っていたらしい。でもオレたち2人の気持ちも考えて、口には出さないでくれていたのだ。
親が『治療』を勧めたのも、病院のではなく幼なじみに頼めばいいと思っての事だったらしい。なのにその時のオレは幼なじみのことを全く考えていなかったために病院一択と思い込んでいて、そのまま話が進んでしまったのだ。だから親は親で、2日後の治療に複雑な思いを抱いていたと言う。そこに突然幼なじみが現れたから、
『ヒーローに見えた』
と喜んでいた。
でもそれはオレも思う。幼なじみはちゃんとピンチの時に、手遅れになる前に駆けつけてくれたのだから。
オレにとってもヒーローだ。
そんなわけでもちろん病院での治療はキャンセルされ、改めて検査したオレの身体は正常に戻り、それからも定期的に幼なじみに『治療』してもらうことになった。もっともこの『治療』は過剰になり過ぎてしまう傾向にあるけれど、それに対してはまったく問題はなく、今後もこのまま続けていく予定だ。
オレたちの気持ちが離れてしまったら中止されてしまうけれど、幼なじみはそんなことは絶対に起こらないと親の前で宣言した。しかも許してくれるなら、すぐにでも抑制剤を飲まなくてもいいようにしたいと言ってくれたのだ。
抑制剤を飲まない。
すなわちそれは、『番』になることだ。
その言葉にオレも驚いた。だって『番』だよ?それって結婚よりも強い繋がりだ。一度番になってしまったら、もう二度と解消することが出来ない、絶対的な契約。それをするなんて・・・。
すごくうれしい。
正直それを全く考えていなかったけど、そう言われるとオレもすぐにしたくなる。だけど冷静な親からは止められてしまった。それを決めるのはもうすこし大人になってからだと。
それはそうだ。
だってオレたちはまだ高校2年生なのだから。
これからオレたちは受験を経て大学生になって、そして就職してようやく一人前になるのだから。その間に、もしかしたら違う相手を選ぶかもしれない。
悲しいけど、始めたばかりのオレたちは、これが一生続く関係だと言う確信が持てない。もちろん、そうあって欲しいとは思う。けれど一生のことを、こんなに簡単に決めることはできないのだ。
だけどオレたちは幼なじみから恋人同士になって、今のところなんの不安も憂いもなく過ごしている。『治療』もとい、恋人同士の睦みあいも順調だ。そしてこれから、発情期も一緒に迎えることになっている。病院からパートナー認定をもらい、幼なじみも発情期欠席届を出している。だからずっと一緒にいられるのだ。
どんな発情期になるんだろう。
平常時のあれやこれやを思い出し、きっともっと激しく濃密になるであろう事を予想して、オレの身体ははしたなくもすでにじんじんしている。
もうすぐ一週間分の荷物を持って幼なじみがやってくる。
そしてオレはすでに熱くなった身体を横たえ、ベッドの中で幼なじみを思って待っている。
了
でもそんなオレの心配をよそに、親はすごく喜んでくれた。本当はずっと、幼なじみとの関係を密かに心配してくれていて、今回のことも病院ではなく幼なじみに頼めばいいと思っていたらしい。でもオレたち2人の気持ちも考えて、口には出さないでくれていたのだ。
親が『治療』を勧めたのも、病院のではなく幼なじみに頼めばいいと思っての事だったらしい。なのにその時のオレは幼なじみのことを全く考えていなかったために病院一択と思い込んでいて、そのまま話が進んでしまったのだ。だから親は親で、2日後の治療に複雑な思いを抱いていたと言う。そこに突然幼なじみが現れたから、
『ヒーローに見えた』
と喜んでいた。
でもそれはオレも思う。幼なじみはちゃんとピンチの時に、手遅れになる前に駆けつけてくれたのだから。
オレにとってもヒーローだ。
そんなわけでもちろん病院での治療はキャンセルされ、改めて検査したオレの身体は正常に戻り、それからも定期的に幼なじみに『治療』してもらうことになった。もっともこの『治療』は過剰になり過ぎてしまう傾向にあるけれど、それに対してはまったく問題はなく、今後もこのまま続けていく予定だ。
オレたちの気持ちが離れてしまったら中止されてしまうけれど、幼なじみはそんなことは絶対に起こらないと親の前で宣言した。しかも許してくれるなら、すぐにでも抑制剤を飲まなくてもいいようにしたいと言ってくれたのだ。
抑制剤を飲まない。
すなわちそれは、『番』になることだ。
その言葉にオレも驚いた。だって『番』だよ?それって結婚よりも強い繋がりだ。一度番になってしまったら、もう二度と解消することが出来ない、絶対的な契約。それをするなんて・・・。
すごくうれしい。
正直それを全く考えていなかったけど、そう言われるとオレもすぐにしたくなる。だけど冷静な親からは止められてしまった。それを決めるのはもうすこし大人になってからだと。
それはそうだ。
だってオレたちはまだ高校2年生なのだから。
これからオレたちは受験を経て大学生になって、そして就職してようやく一人前になるのだから。その間に、もしかしたら違う相手を選ぶかもしれない。
悲しいけど、始めたばかりのオレたちは、これが一生続く関係だと言う確信が持てない。もちろん、そうあって欲しいとは思う。けれど一生のことを、こんなに簡単に決めることはできないのだ。
だけどオレたちは幼なじみから恋人同士になって、今のところなんの不安も憂いもなく過ごしている。『治療』もとい、恋人同士の睦みあいも順調だ。そしてこれから、発情期も一緒に迎えることになっている。病院からパートナー認定をもらい、幼なじみも発情期欠席届を出している。だからずっと一緒にいられるのだ。
どんな発情期になるんだろう。
平常時のあれやこれやを思い出し、きっともっと激しく濃密になるであろう事を予想して、オレの身体ははしたなくもすでにじんじんしている。
もうすぐ一週間分の荷物を持って幼なじみがやってくる。
そしてオレはすでに熱くなった身体を横たえ、ベッドの中で幼なじみを思って待っている。
了
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