Condense Nation

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4章 ブラインド編

第18話  展開1

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サドガCN拠点 医務室

「あいつの容態は?」
「命に別状はない、しかし、錯乱状態に陥っていて手が付けられん。
 どうにかしてしばらく安静させる」

 サップはパスカルに先の怪我人の安否をうかがう。
フリードリッヒは治療により寝かされていた。
一部に火傷の様な遺伝子崩壊を受けたが、肉体は無事。
幸い命は助かったのだ。
だが、恐怖の余りか取り乱してしまい、器物破損し続けて
部屋中が彼によって事件以上の傷跡をそこに残していた。
メンバー総出で取り押さえて鎮静剤を打ち、今は眠りについたものの
かのアリシアよりも凶暴さが垣間見えて設備壊滅すら懸念していた。
原因はどう考えても先の事なものの、外観は得体の知れない何かから
逃れる様な言動をしていたようで、死にもの狂いのそれを表して
離れる感じで叫んでいた。
オーディン会長にAUROを広域に解放されて放射線が辺りに充満し、
部隊は撤退を余儀なくされたのも無理はない。

「他人事みてえな言い方だが、あれってそんなにやばかったのか?」
「核エネルギー並みの凄まじさくらいお前も理解できるだろう。
 現場では当時、青白いエネルギーの波動が迫りくると
 ヘリの操縦隊員が語っていた。
 しかし、彼は関連のなさそうな発言もしていたな。
 決してお前に喰われない、人はお前達を超えてみせる、など」
「猛獣に襲われた経験もあってフラッシュバックしたんか。
 そういや、あいつって軍国出身だって言ってたな」
「話では1年で3回も遠征していた程の規模だったらしい。
 訓練もここの自衛隊とは比較にならないレベルとか。
 100m走も9秒台で走れる者も普通にいたそうだ」

経歴を聞くだけでもかなりの仕込みをもっているのが分かる。
ほとんど戦うためだけに生きているような男。
そんな奴がここに来たのもCNの紛争乗っかりなのか、
列島全土が戦地となりかけているのを見越してやってきたかもしれない。
雰囲気からしてヤバそうな感じもあったが、控えめな態度ばかりで
荒くれと思わせない素振りをするのもプロの手口といえる。
が、寝ている時のイビキみたいな自身の素が出る事もあるはずで、
きっと猛獣駆除の仕事で死にそうな思いもあったんだろう。

「どこぞのジャングルでそんな戦闘も出くわしたんだろうな。
 どんだけ鍛えようがどこまでいっても人は人だしよ」
「AUROは情報も含む、発散した励起現象からありえないモノなど
 脳で錯覚を引き起こす危険性もあると会長が仰っていたような。
 まあ、アポロン君といい、彼もしばらくの調整に時間が必要だ。
 残念だが、バッドニュースはそれだけに留まってもいない。
 彼の件よりももっと深刻な状況が」
「あ? まだなんかあったってのか?」

眼鏡を落とさないように支えながら次を報告。
さらにもう1つ、起きてはならない出来事も起きていた。


指令室

 場面は別の2人へ変わり、アリシアとミゾレが青ざめた表情で
サド島港の映像を観て絶句している。
起きてはならない、つまり活動への制限が更にかけられた事実を意味した。

「潜水艇、残りの1隻に乗ってしまわれたようです。
 夜間の監視カメラに彼らが映っていました、
 もうこれで海外勧誘はおろか海域調査すらできなくなりました」
「・・・・・・」

モブ隊員2人が海外逃亡、ブラインドの任務を放棄して海の足を
横領してここから離脱していった。
以前から同じ事はあったが、今回は痛手に等しい数。
戦力も10分の1とかつてのものと比べものにならない程減少。
も脱力感が増して言葉を閉ざす。
今までの努力も大きく否定されたような感じだ。
同時に周囲のCNがエリア消滅に騒然としているのをそばに、
天主殻は何も変わらぬように広報を行いだす。
パスカルが慌てふためきながらTVを見るように催促した。

「チーフ、これをみて下さい!」
「これは?」

TV放送で奇妙なロゴが映っている。
Mらしき記号文字が新たな法を公開しようとしていた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――
「「みなさんこんにちは、CN監査委員担当Mです。
  今日は秘匿の悪用を解消すべき新たな法を設けました。
  新個人情報保護法です」」
―――――――――――――――――――――――――――――――――

「こ、個人情報保護法だと!?」

サップの大声を抑えさせて話を確認。
天主殻の伝導者が新たなルールを推し出してきた。
次に理由を説明した内容にメンバーが驚愕する。

―――――――――――――――――――――――――――――――――
「「新というのはワタシ達があなた方を保護し直すという意味です。
  ニンゲンはなけなしの知識で隠し事をするといった卑劣、愚劣なる
  手段を用いて情報を隠そうとする生物です。
  CNはどこに居ても確認、精査を行う義務がある。
  よって、あなた方が使っているPC、及び端末機器の情報を
  惜しげもなく開示していただきます」」
―――――――――――――――――――――――――――――――――

「!!??」

隠す行為を許すはずがないと全ての行為すらチェックすると言う。
さらに、ネットワーク以外にも情報を見せろと言う。
当然ながら、建物の中など全て見通せるはずもない。
天の手段がどういったものなのか警戒度を高めて続きを待っていると、
モニター画面に異常を知らせる通知が現れた。
異変に気付いたミゾレが叫ぶ。

「ここの設備がハッキングされてます!!」
「なんだって、そんな法を・・・・まさか!?」
「ケーブルを遮断! それが終わったらプロテクトコードを更新して!」

アリシアが侵入されないようネットワークを断つよう指示。
しかし、ミゾレがモニターを見て異変を伝えた。

「「・・・なに・・・これ?
  ネットワークを遮断しても、侵入されている」」
「一体、どうなってんだ!?」

地上で使用されている個人用CPUを基盤ごと抜き取られたかの様に、
PC内部の帳簿全てを読み取られるのだ。
保護法という名目のハッキング。
この国の個人的な情報すらも、全て天主殻に筒抜かれるはめになる。
サップとパスカルもここに来て異常発生に集う。
パスカルがさらに詳細を伝える。

「上空から広域波の様なものを放出していると推測。
 それを浴びたシリコン基板と同調してROMに入り込み、
 メモリを解読している模様」
「破壊して!!」
「お前ら、どいてろ!!」

ズドン ガシャン

サップがサーバーを44口径の銃で破壊。
情報を引き出す機能をもろとも失わせた。
だが、多少は入り込まれたようで身元まで見られたのか懸念。
ハードディスクもろとも金属と火薬にまみれてガラクタ同然と化した。

「「あああ、端末が・・・」」
「こんなの、また作り直せば良いんだよ、許せっての」
「どのくらいまで侵入されたの?」
「幸い28%弱くらいです・・・部屋の位置、構造の部分くらいで
 我々の情報までは見られていません・・・ただ」
「これはただのハッキングではありません。
 生体センサーを改良した個人情報ツールが利用されている模様。
 CPU、中央処理装置をウェイヴィング方式・・・らしいですが、
 通電もなくどんな波長によるものかまったくつかめず。
 盗み読みしているようで、まだ続いているようです」
「生体センサー・・・確かコウシが研究していた技術の。
 本当に完成していたのね」
「このままではプロテクトコードもろとも突破されてしまいます。
 会長が転送してくれたデータも足取りをたどられて、
 いずれはここも知られてしまうでしょう」
「個人情報・・・遺伝子解析・・・やべえじゃねーか!?
 チーフがここにいるのがバレたら!」

天主殻から人口数の完全把握、1人1人どこにいるのか隅々まで
調べようとするのが狙いだった。
ブレイントラストの一員であったアリシアの情報など、
遺伝子検査をかけられているのでいずれここにいる事も気付かれる。
ミゾレのウミホタルすらも貫通して辿ってくる不明の波動に、
人体を1と0で読み解かれたこの時代で波状陣形でまかれた
バイタルチェックから逃れる術など不可能に近い。
単なる遺伝子解析など不安要素ではなく、元関係者がここに居る時点が
大きな危険要素となってしまうのだ。

「「ええ、私は当時向こうにいて健康診断時にこの体を読み取られている。
  発覚したら周りのCNや地上の幹部達に狙われてしまう」」
「前向きに考えりゃ、奴らが直々に御出まししてくれるって事も――」
「なるわけないじゃない! 周りと徒党を組んで襲いに来る方が大きいわ。
 科学者は自身から乗り出してケンカを売りに来るわけないわよ」
「そりゃそうかも・・・」

ミゾレの指摘こそ向こうにとって最も起こりうる心配事。
とうに知られている内、アール・ヴォイド全体も辿られてしまう。
完全なる詰み、今から海外に逃亡する手立て以外にない。
メンバー達は啞然として微動する余裕もなく頭を下げて
沈黙を続けている。ただ1人だけ除く毅然きぜんとした態度で
アリシアは取り乱さず、脳内に1つ方法が浮かび上がった。

「「生体センサーを応用している・・・。
  奴らは・・・ここまで」」
「チーフ」
「ん、ちょっと待って・・波動は生体を読み解くもの。
 つまり、そこを遮断・・・そうか・・・そうするしかない」
「はい?」

メンバー達はアリシアの発言の意図が理解できず。
何か分かった様な態度をしているが、一体どういった事なのか、
彼女はここで1つの決断を決める。

「まだ、解法は・・・あるわ」
「どこにだ!?」
「会長から送られてきたデータ、あれはブレイントラスト最高機密の
 1つでもあるAUROを介した精神を移植する技術。
 意識すら別の容態へ移せる事ができるという」
「あいつらはそんな技術まで
 しかし、そんな方法でも身を隠しきれないのでは?」
「ただ、あくまでも生体センサーはバイタルサインを通して
 個人情報に辿り着くよう基づいている。
 思考そのものまではセンサーにかからない」
「「それって・・・・・・まさか?」」










「この体とお別れするわ・・・そうすれば、見つからなくて済む」
「!!??」

体とお別れ、比喩表現無しにそのままの意味。
アリシアは自身を捨てるという選択をした。
一体、何の事を言ってるのかメンバーは理解できなかったものの、
1人だけは察知して叫びだした。

「それだけは・・・それだけは駄目ですよぉぉ!!」

ミゾレはすぐにお別れの意味に気付く。
それはオーディン会長が最後に転送してきたデータの内容、
アンドロイドバイオニクスと呼称された技術だった。
詳細は隅々まで熟知できていないものだが、精神や記憶を別の媒体に
移して自身の肉体を異なる存在へ変えられる信じ難いもの。
チーフの目的は遺伝子情報をも隠蔽するつもりで別れると言うのは、
施しを用いて人を辞める禁断の方法となる。
これ以上、誰も被害をだしたくないとしがみついて叫ぶ。

「アールヴォイド、組織体系を崩せばどうにか逃れる事だって、
 ここの情報を全て消去して海外へ撤退しましょお!
 それだけで済むんですよぉ!」

潜水艇はすでに無くとも、近場のCNから横領するなどいくらでも
逃げるだけなら方法が思いつくだろう。
でも、アリシアは首を横に振った。否という態度を変えない気持ちで
優しく顔を近づけて諭す。

「本来、私達は許されない事ばかりしてきた。
 情報を盗んで、さもオリジナルの様に生み出す。
 模倣コピークリエイトという罪をね」
「・・・・・・」
「あげくに、ブラインドなどという組織も作り、
 “無いようで有る”、偽りの空白の中で動いてきた」
「「ひっく、えぐっ」」
「業はね、消えてはならないものなの。
 ブレイントラストも同様だけど、元から私だってスパイを行って
 罪と同じで決して消すことなんてできない」
「奴らとの件はしょうがねえだろ・・・。
 あんたの息子をさらわれたんだ、んで旦那だってやられちまって」
「ここの国はサムライの理念というものがあるでしょ?
 私達の国にだって、形は違えど同じようなものはあるの。
 退いてはならない信念というものが」
「やだやだああぁぁ!!」

ミゾレが子どもの様に泣きじゃくる。
他人に見せないはずの素の自分を見せるのは理由があった。

私は生まれながらにして孤児、対人恐怖心性で本来怖がりで
隠れてばかりの人生の中、いつも側にアリシアがいた。
キョウゴク家出身は仮の立場。
本当はそこの生まれではなく養子として引き取られて育った。
オーディン出資の孤児院でそこの家は遺伝子解析で脳が発達しそうな
素質があると育てられた私は後追いで学問に挑み、
そんな彼女を親代わりに思っていて組織に入るまで克服する強さを
教えてもらっていた。
家には実母がいない、後で発覚した事で父はメディア権利を悪用して
複数の女性と関係をもっていずれは私も手にかけられると思って、
家から逃げ出すように縁を切った。
行き先は伝手でアール・ヴォイドに身を寄せていったのは自然な流れ、
そういった経緯でを母だと思ってゆく。

「あたしはァ、あなたの様になりたくて後を追いかけたんです!
 髪型だって真似をしてあなたの国の言葉も一生懸命勉強して
 あなたの・・・あなたのォォ!!」

アリシアは震えるミゾレをしっかりつかんで支えながら諭す。
だが、それはいつまでも続かない。
人であれ、形在るものはいつか滅ぶ。
ならば自分のペッゾディカルネをエスモンタアジョして
元凶にこびりつくまでだ。

「それでも私はあの人の元に居続ける。
 みんな・・・後はお願いね」
「ううう、うあああああああああ!!!」

へたり込むミゾレをなだめて自室に戻る。
アポロンはまだ目覚めていない。今のうちにという彼女の
思いは息子には届かせないようにしておくようにする。
至極単純、悲しい気持ちにさせたくないからだ。


1か月後 工房

 この日、いつもと異なる臭いがかすかに鼻を突き刺してくる。
今までここにはなかった病院の備品がこぞって並べられていた。
手術という名の解体がこれから行われる。

「「六腑貯蔵、保管オペレーションを開始します」」

台で寝そべるアリシア、衣類もなく裸体で時を送る。
あれからチーフは自室でずっと閉じこもりっきりになり、
息子のアポロンにすら会話もする様子がまったくなかった。
トラブル、覚悟を邪魔されないようにひっそりと身を潜めているつもりで
手術の準備もあったのだろうが、正直に言っても雰囲気が異質すぎて
まともにチームも成立していなかった感じだった。
AIの冷静なシーケンスワードがアリシアに向かって放たれる。

「構わないわ、やって頂戴」

恐れの表情などすでになく、アリシアはガスを吸引し
緩やかに目を閉じて意識がなくなっていく。


「「ううっ・・・アリシア母さん」」
「「もう、やるだけやるしかないんだな・・・」」

ガラス窓を通して中の様子を見守るミゾレとサップ。
結局、誰も力尽くで止めようともしなかった。
止めたらここにいる者達が全員終わるから、
組織をまたにかけた天秤はアリシアチーフから始まっただけに、
決定権におんぶする様に身の安全を無意識に優先してしまっていた。
当然、精神移植なんて名乗り出て行えるものじゃない。
さすがに今回は規格の枠を超えた内容で科学の恐ろしさを思い知る。
死とはハッキリと定義しにくいものの、そう思いたくなるような
別れの何かが頭や胸にジワジワと這いめぐらす。
昏睡状態になり、次に鈍く苦い音が響き渡る。

チュイイイイイイイイイイイイイン

アリシアのテスタがエスモンタアジョされていく。
網目状のペッゾディカルネを分けて慎重に取り出すサイモン。
アンドロイドによる繊細かつ正確な摘出は
まさに完璧といえる程にまで進んでいく。
そしてチェルヴェッロを摘出した。

「ぶじゅるっ、おええええ、げぼぼぼ」
「直視すんな、トラウマになるぞ!」

ミゾレは嘔吐おうとしてしまった。彼女の体を支えて忠告する
サップはボウルを差し出す。
常識という言葉とあまりにも離れている光景が繰り広げられる
異質な一室に集中し過ぎていたせいか、モニター画面の赤い
反応に気付いていない。
ここに新たな現象が現れるのを誰も見ていなかった。
ビルに1体の影が舞い降りてくる。

ガチャアアァァァン

天主機だ、頭、胴、腕、足をもつそれは人間をモデルとした形状で、
通常では見られなかった人型で襲いかかってきた。
パスカルが真っ先に発見して通達。

「天主機だ!」
「げほっ、おうぇ!?」
「ここがバレたのか!?」

窓をふちごと破壊し、確認して低い姿勢で侵入する。
ミゾレをすぐに逃がそうと盾になるサップは守ろうと
前に立ちふさがるが、対象に顔を向きなおそうとした瞬間。

ゴスッ

「ごふっ!?」

サップが殴られて壁に叩き付けられる。
戦闘員のいない現状、まともに立ち向かえる相手などいない。
だが、兵器がまったくそこに無いわけでもない。
と、1人倉庫から走って来た者が白金の機体へ向かい
対抗しようとしたのだ。
ミゾレは身の丈よりも大きな大鎌で細い両腕ながらも振りかざした。

「あああああああああああ!!」

ガキィン グブシャッ

機体の細い腰が横から真っ二つになる。
吹き飛ばされながらも大怪我を免れたサップは仲間の安否確認を急いだ。

「ぐっ・・・チクショウが・・・お前ら大丈夫か!?」
「私は、平気・・・パスカル!?」

パスカルに異常が発生した。
先の天主機の破壊により、瓦礫がれきで大怪我を
負ってしまったのであった。サップは抱えて状態を問う。

「パスカル、しっかりしろ、おい!?」
「「私の・・・体を・・・移植して・・・ほしい。
  あの機体に・・・」」
「あの機体に!?」

息の根にも近い彼が何かをさせようと指示する。
彼が指をさしたのは天主機だった。
理由は彼もチーフと同様、アンドロイドバイオニクスによる
精神移植を試みて完全な死から逃れるつもりだ。
よく確かめていないものの、腹部から大量に赤く染まる様を診て
40代の体力で持ち堪えられるかどうか定かじゃないだろう。

「馬鹿野郎、もう人には戻れなくなるぞ!」
「「考えが・・・ある。チーフと同じ手を・・・。
  私の意志を・・・消すわけにはいかない。
  どんな姿に移り変わってもだ・・・」」

つまり、人の身体を捨てて機械に精神を移すという事。
オーディン会長が最後に送ったデータはブレイントラストの
精神移植技術であった。人からアンドロイドに成る究極の存在。
有機物の腐敗もない永久的価値が付属するもの。
30cm程の立方体の機材はすでに終えていたチーフから取り外して、
パスカルの肉体がただの死体に変わり、同様に彼の頭部にプラグを差して
意識がAUROをかいして機体に流入していく。
アリシアは透明の球体に包まれた物体、
パスカルは天主殻の生み出した機体に心を写し入れ、
それぞれ新たなる鋼鉄の存在に成り果てた。

「「成功した、一部動作に不具合があるのみで精神保存領域は良好だ」」
「まったく、お前は大したたまをやってのけるぜ・・・」

ミゾレのAURO分離鎌で一度は機動停止となった機体は
人の心によるハッキングで彼の身体と変わり果てる。
AIでは人の精神にまで侵蝕は不可能、ここを見越して機転を利かせて
ロストから回避して命の喪失を未然に防ぐ事に成功した。
2人は2人の、いや、2つと化した塊を目に存在感を意識できずとも
死亡していなくなったのではなく、まだここに居ると再認識。

「こちらブラインド、サップという名のナイスガイだ。
 貴殿の名を何というか、申し出てもらいたい」
「「こちらパスカル・クリスフェルス。元ミネラル光学の研究者だ。
  姿形は変わったが、改めてよろしく頼む」」
「もう・・・バカね」

あたかも未知との遭遇の様なアプローチで通信し合うやりとり。
ミゾレもアリシアのポッドを抱え込んで男どうしのたわむれを見物する。
これが現実で、改めて自分達はもう常識から離れたところに居ると内心。
今回の件でしばらくここの場は別世界の様変わりした組織へと変わる。
そんな身動きできなくなった彼を組み立て直す事もそう長くもなく、
外見が変わっただけの頼もしい同僚なのは違いもなかった。
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