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1章 関東編
第1話 総理大臣の息子
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4年A組教室
転校生の名前はカスミガサキ・スイリュウ。
へいぜんと名のる少年は一学校における日常生活の中で
前ぶれもなくあらわれた。
これといった何てこともないこの学校になぜ来たのか。
クラスの児童たちは少しばかり顔の表面、目が止まる。
別に見た目がスゴイわけではなく、
ただのお坊ちゃんかと思うくらい。
第一印象として、まずうたがったのは名前。
スイリュウという字も独特だけど、
みんなが真っ先に気になったのは
上の苗字“カスミガサキ”の方だった。
「あれ? カスミガサキってもしかして」
「カスミガサキ総理じゃない?」
コトミとロールが言葉をならべるようにきく。
日本の総理大臣、カスミガサキ・ソウシンと
同じ苗字だからたんじゅんに関係すると思ったのだ。
6字もめったにないから、思い当たるふしは
有名人からぬくくらい。
身なりを見ても、高そうなYシャツと短パンで
身にまとっていた彼は一般家庭の人とは思えないと
女子サイドはすぐに気付いた。
衣服の質で家柄の可能性を直感する彼女たち。
本当に代表の関係者なのか、
紹介とちゅうでおうように問いつめると、
スイリュウはそのままうなづいて答えた。
「・・・そう、ぼくはソウシンの息子。総理大臣の息子だ」
「えええええええっ!?」
アッサリとみとめる。やっぱり、本人の子どもだった。
言われてみても、たしかに面影が
ソウシンとにているところがあり、
どういうわけか、文明が進んでいるこの冷えた教室へ
直々に登場。
とつぜん、訪れた日本代表の児童は清青小学校に
やって来たのである。
ホームルームも終わり、“先生の仲良くしてね”の一言で
教室を後に、さっそく注目の的になる。
いわゆる、えらい人の子どもが来たわけだから、
好奇心おうせいというモノめずらしさで
色々な話をしたいのが子どもというもの。
真っ先につっこんできたのは情報通のコトミだ。
通といっても自称である。
「ねえねえねえ、なんで、この学校に!?」
「ウオバトの底上げで来たんだ」
「あ・・・なるほど」
わずかな説明で彼女はすぐ分かり、ついきゅうが止まる。
弱小校、弱小チームの面倒を見るために
送りこまれてきたと言う。
内の1つとしてここを選んだらしい。
右上にチェリーのおさげを付けたコトミは
スイリュウの理由に学級新聞のネタにするメモ帳に
何を書くのかアッサリしすぎと感じた。
ウオバトはウォーターバトルフィールドの略。
広場で水鉄砲を打ち合うスポーツだ。
暑い季節で主に活発になっているこの運動は
涼みを目的として行い、
ここだけに限らず、全国でも水のごとく
流行していたのであった。
もう、おかしいなと気づいた方もいるであろう、
この夏の珍事はあくまでも
人のために水をかけなければならないれっきとした
生活行動なのである。
時は2100年、高温湿潤の
日本において大きな問題にせまられている。
今の時代は例をみない高熱の世界に変わろうとしていた。
近年の日中最高気温は50℃。
生物が地上でまともに活動できないほど日射量が
ふりそそぐ中、
ウォーターガンを打つ運動が全国で行われていた。
最初に起こした発案者は総理大臣、スイリュウの父。
熱中症対策と体力低下の解決をはかろうと
採決されたのである。
基本的に行事は夏のみ、法案の中では一季節で通して別に
春、秋、冬にやってはいけない決まりでもなく、
初秋の暑い日に遊ぶ人もいる。
冷涼で、なんで水鉄砲?
と、だれもが思っているだろうウオバトは
国民の支持をうける前に決められてしまう。
ただ、みんながみんな納得しているかといえば
そうでもない。スポーツがきらいな児童もいる。
都会の都合も重なって体を活発に
動かすことや水物になれないのか、
ウオバトをいやがる子たちも少なくなかった。
特にトウキョウは面積が広くなく、
体を動かせる場所を活かせない所だ。
近場の公園も騒音苦情や
資材置場と変わってろくに利用できず、
専用スポーツクラブもまだほとんどない。
ただでさえ、運動ぎらいな児童がいるというのに、
あくまでもスポーツのわく。
この学校、クラスも勝手ながらの大人の事情にからまれる。
インドア派の1人のユウジがダルそうに成績なんて
気にしないと言った。
「事もあろうか、一国の主が水鉄砲を打てなんて
変わり者だね。
こんなチャチな法案だす人でも総理になれるんだ?」
「どんな理由であれ、国が決めたことだから。
ぼくはただ、言われた通りにしているだけ」
「水打ちなんて、普通のイベントとしてやれば
終わりなのに。
なんで、わざわざ自動小銃まがいに使わせる
戦争ゴッコなんてやるの?」
「気温や人の体調からいかに熱をためさせずに
体を動かすか、検討や話し合いをして決まったんだ」
「水泳やれば良いじゃん?
水玉をペチペチ当てなくても
全身あびられるじゃない?」
「プールがない学校もあるんだ。
今から全ての場所に造ろうとするなら負担も大きい。
時と場所を選ばない仕様で冷まさせる
スポーツが必要だと国から言われている」
栗毛のクラス一の知識派から細かい点をつかれる。
困りながらも、前から教えられていた事を
ていねいに説明。
すでに同じことを何度も聞かれていたから、
口からでるのは早かった。
ウオバトが誕生したのはほんの数年前だから、
いきなり水鉄砲で打てなんて言われると
“なんで?”と思うだろう。
確かに、一部の人からみれば一方的で鉄砲的な変な理由だ。
戦争をかたどった水打ちをやらされるわけだから。
熱をおさえるための打ち合いで何の意味があるのか。
集まる子たちも同じ気持ちでいたのか、
知りたげに事情を聞いている。
まだ他にも質問(疑問)をもっている子がいた。
コトミと同じくとなりにいたノエルが
おくをつくように聞く。
「ちょっとききたいんだけど、
地方でウォーターガンの形がちがうのは
どうやって決めているの?」
「・・・・・・」
スイリュウは答えない、意外にするどい内容らしい。
ウオバトは複数のルールがからみあっているような形式だ。
実は水鉄砲の性質は全国各地でそれぞれ
仕様がちがったものである。
関東、東北、中部、近畿、四国、中つ国、九州の
分かれたエリアによって
規格がバラバラで、1種類のウォーターガンに
まとめられていなかった。
この意味は一般的に使われているタイプは
“アサルトライフル型”という、
ユウジの言っていた自動小銃が一番あつかいやすく、
若者たちも多く利用しているが、タイプは他にも色々ある。
総理、責任者による理由は“質の精査”だという。
たとえば、水玉を連続で打ち出すアサルトライフル型が
あれば、一気に水しぶきを発射するショットガン型。
細長い水線を長く出すスナイパーライフル型も
存在している。
形作る素材は日本産だけでなく外国産もまざっているが、
生産工場にも政府の息がかかっており、
多様なとくちょうがあるのだ。
ただ、精査というあいまいな言い方に
大人の事情がふくまれているため、
スイリュウ自身もすべて理解しきれていないところだった。
「デザインは地方によって規格がちがうから、
今はなんとも言えない。
形については全て話せない・・・ごめん」
「ふつう、ルールってみんな同じ規格から
始まるはずなのに、
地方で色々勝手に作るって変だなって」
「それは・・・そうだけど」
聞かれたくないところなのか、細かく話そうとしない。
周囲は多分、国から口止めされているだろうと
思っている。
彼も小学生なりで親の言う通りに
やらされているだけだから、
ここで言い合ってもどうにもならないくらい
子どもでも理解している。
総理大臣の関係者であろうと、やっぱり1人の児童。
近年のせいさくとして動かされているにちがいはない。
教室は少しの間、静かになる。
しどろもどろな決まりごとにどんな種別があろうと
別になんてことないと、
黒い肌の子は手をだしてとりあえずがんばろうと願いでた。
「まあ、良いじゃないか! 楽しければ別に良い!
よろしくな、おれはジェド。色々教えてくれ!」
「サスケ、よろしくな!」
「ぼくはユウジ、ほどほどにたのむよ」
「カイムだ、ぼくはアメリカから来たばかりで
ウオバトをよく知らない」
「コトミよ、クラス一の記者だからヨロシク!」
「サナエ!」
「私はロール、私の家ではパン屋をやってるの」
「ノエル、運動はちょっとニガテだけど」
「キイっていうの、呼び名はきいちゃんでOK」
「ミュウといいます。
マンガをかいているので、いつか読んでもらえると
うれしいなって」
次々とクラスメイトたちが名乗って自己紹介する。
ちなみに、このクラスは男女合わせて12人。
自分を合わせると13人となるが、
見回してみると1人足りない。
「あれ、聞いていたのと人数が――」
「今、1人入院しちゃってるんだ。だから、いないんだよ」
ヤスケに空いている席があることをしめされる。
けがでもしたのか、欠席者がいたようだ。
執事から聞いた話だと、全校児童は100人ていど。
この時代は子どもの数があまり多くなく、
1学年1~2クラス10人前後しか
おかれていないのがどこの学校でも当たり前。
全員そろってはいないものの、
とりあえずクラスの様は理解。
初めにやることは身体能力や道具一式のかくにんなので、
みんながどこまでウオバトがじょうずにできるのか
見なければならない。
たしかに、報告通りな体力不足に見えるような
子ばかりだけど、
トラブルなく仲を取りもてそうだと分かると、
あらためてあいさつを返した。
「そうか、よろしくたの――」
「やなこった」
しかし、ここにいる全ての児童がスイリュウの考えに
賛成していなかった。
声をあげたのはタケル。
青い目の子どもをかこっている外がわのはしっこの席に
1人すわったまま、低めな一言で協力をこばんだ。
「大臣の子どもだからって、チームを強くできたら
苦労しないだろ。
だいたい、お前が来たところで何が上がるってんだよ?」
「上げさせてみせる、まだこの学校をすべて
知ってるわけじゃないけど。
ぼくはそのためにここへ来たわけだから」
茶髪の少年は信用していないようだ。
まるで、転校したばかりでいっちょ前に
まとめるなという風に、いきなりやってきて
リーダー気取りされるのが気に入らなかった。
彼はこのクラスでトップクラスの腕前をもっている。
自慢げに腕時計型のウオバトタブレットを見せた。
「ちなみに、オレは140Pだ!
4年の中で6年最強のアーゲイル君の210に一番近く、取っている。お前はいくつだ?」
「35000」
「ごっ!?」
過去の成績をサラリと公開。
どこで取ったのか、小学生とは思えないくらいの結果を
見せつけられた。
(2ケタもちがう・・・)
スイリュウはまだうでを上げて画面を表示し続ける。
聞くんじゃなかったと後悔したげに下を向く。
しかし、ここで引いたら恥だと思ったのか。
席を立ち、意地をはって言い返した。
「そうか。じゃあ、見せびらかすくらい自慢できる
実力があるんなら、オレと勝負してもらおうか?
体育のウオバトで1:1な!」
「分かった」
茶髪の元気な少年は対戦をもうしこんだ。
すんなりと引き受けた総理のむすこは静かに自分の席に
すわるのに対して、周りの子どもたちはもり上がってゆく。
小さなプライドをかけたウオバトをたたきつける。
こうして、スイリュウとタケルの出会い場早々に
一騎打ちが決定。
まずは、本人がどれだけの実力か確かめようと始まる。
体育の授業が始まるまで、教室の中は静かにピリピリとした空気に包まれていた。
転校生の名前はカスミガサキ・スイリュウ。
へいぜんと名のる少年は一学校における日常生活の中で
前ぶれもなくあらわれた。
これといった何てこともないこの学校になぜ来たのか。
クラスの児童たちは少しばかり顔の表面、目が止まる。
別に見た目がスゴイわけではなく、
ただのお坊ちゃんかと思うくらい。
第一印象として、まずうたがったのは名前。
スイリュウという字も独特だけど、
みんなが真っ先に気になったのは
上の苗字“カスミガサキ”の方だった。
「あれ? カスミガサキってもしかして」
「カスミガサキ総理じゃない?」
コトミとロールが言葉をならべるようにきく。
日本の総理大臣、カスミガサキ・ソウシンと
同じ苗字だからたんじゅんに関係すると思ったのだ。
6字もめったにないから、思い当たるふしは
有名人からぬくくらい。
身なりを見ても、高そうなYシャツと短パンで
身にまとっていた彼は一般家庭の人とは思えないと
女子サイドはすぐに気付いた。
衣服の質で家柄の可能性を直感する彼女たち。
本当に代表の関係者なのか、
紹介とちゅうでおうように問いつめると、
スイリュウはそのままうなづいて答えた。
「・・・そう、ぼくはソウシンの息子。総理大臣の息子だ」
「えええええええっ!?」
アッサリとみとめる。やっぱり、本人の子どもだった。
言われてみても、たしかに面影が
ソウシンとにているところがあり、
どういうわけか、文明が進んでいるこの冷えた教室へ
直々に登場。
とつぜん、訪れた日本代表の児童は清青小学校に
やって来たのである。
ホームルームも終わり、“先生の仲良くしてね”の一言で
教室を後に、さっそく注目の的になる。
いわゆる、えらい人の子どもが来たわけだから、
好奇心おうせいというモノめずらしさで
色々な話をしたいのが子どもというもの。
真っ先につっこんできたのは情報通のコトミだ。
通といっても自称である。
「ねえねえねえ、なんで、この学校に!?」
「ウオバトの底上げで来たんだ」
「あ・・・なるほど」
わずかな説明で彼女はすぐ分かり、ついきゅうが止まる。
弱小校、弱小チームの面倒を見るために
送りこまれてきたと言う。
内の1つとしてここを選んだらしい。
右上にチェリーのおさげを付けたコトミは
スイリュウの理由に学級新聞のネタにするメモ帳に
何を書くのかアッサリしすぎと感じた。
ウオバトはウォーターバトルフィールドの略。
広場で水鉄砲を打ち合うスポーツだ。
暑い季節で主に活発になっているこの運動は
涼みを目的として行い、
ここだけに限らず、全国でも水のごとく
流行していたのであった。
もう、おかしいなと気づいた方もいるであろう、
この夏の珍事はあくまでも
人のために水をかけなければならないれっきとした
生活行動なのである。
時は2100年、高温湿潤の
日本において大きな問題にせまられている。
今の時代は例をみない高熱の世界に変わろうとしていた。
近年の日中最高気温は50℃。
生物が地上でまともに活動できないほど日射量が
ふりそそぐ中、
ウォーターガンを打つ運動が全国で行われていた。
最初に起こした発案者は総理大臣、スイリュウの父。
熱中症対策と体力低下の解決をはかろうと
採決されたのである。
基本的に行事は夏のみ、法案の中では一季節で通して別に
春、秋、冬にやってはいけない決まりでもなく、
初秋の暑い日に遊ぶ人もいる。
冷涼で、なんで水鉄砲?
と、だれもが思っているだろうウオバトは
国民の支持をうける前に決められてしまう。
ただ、みんながみんな納得しているかといえば
そうでもない。スポーツがきらいな児童もいる。
都会の都合も重なって体を活発に
動かすことや水物になれないのか、
ウオバトをいやがる子たちも少なくなかった。
特にトウキョウは面積が広くなく、
体を動かせる場所を活かせない所だ。
近場の公園も騒音苦情や
資材置場と変わってろくに利用できず、
専用スポーツクラブもまだほとんどない。
ただでさえ、運動ぎらいな児童がいるというのに、
あくまでもスポーツのわく。
この学校、クラスも勝手ながらの大人の事情にからまれる。
インドア派の1人のユウジがダルそうに成績なんて
気にしないと言った。
「事もあろうか、一国の主が水鉄砲を打てなんて
変わり者だね。
こんなチャチな法案だす人でも総理になれるんだ?」
「どんな理由であれ、国が決めたことだから。
ぼくはただ、言われた通りにしているだけ」
「水打ちなんて、普通のイベントとしてやれば
終わりなのに。
なんで、わざわざ自動小銃まがいに使わせる
戦争ゴッコなんてやるの?」
「気温や人の体調からいかに熱をためさせずに
体を動かすか、検討や話し合いをして決まったんだ」
「水泳やれば良いじゃん?
水玉をペチペチ当てなくても
全身あびられるじゃない?」
「プールがない学校もあるんだ。
今から全ての場所に造ろうとするなら負担も大きい。
時と場所を選ばない仕様で冷まさせる
スポーツが必要だと国から言われている」
栗毛のクラス一の知識派から細かい点をつかれる。
困りながらも、前から教えられていた事を
ていねいに説明。
すでに同じことを何度も聞かれていたから、
口からでるのは早かった。
ウオバトが誕生したのはほんの数年前だから、
いきなり水鉄砲で打てなんて言われると
“なんで?”と思うだろう。
確かに、一部の人からみれば一方的で鉄砲的な変な理由だ。
戦争をかたどった水打ちをやらされるわけだから。
熱をおさえるための打ち合いで何の意味があるのか。
集まる子たちも同じ気持ちでいたのか、
知りたげに事情を聞いている。
まだ他にも質問(疑問)をもっている子がいた。
コトミと同じくとなりにいたノエルが
おくをつくように聞く。
「ちょっとききたいんだけど、
地方でウォーターガンの形がちがうのは
どうやって決めているの?」
「・・・・・・」
スイリュウは答えない、意外にするどい内容らしい。
ウオバトは複数のルールがからみあっているような形式だ。
実は水鉄砲の性質は全国各地でそれぞれ
仕様がちがったものである。
関東、東北、中部、近畿、四国、中つ国、九州の
分かれたエリアによって
規格がバラバラで、1種類のウォーターガンに
まとめられていなかった。
この意味は一般的に使われているタイプは
“アサルトライフル型”という、
ユウジの言っていた自動小銃が一番あつかいやすく、
若者たちも多く利用しているが、タイプは他にも色々ある。
総理、責任者による理由は“質の精査”だという。
たとえば、水玉を連続で打ち出すアサルトライフル型が
あれば、一気に水しぶきを発射するショットガン型。
細長い水線を長く出すスナイパーライフル型も
存在している。
形作る素材は日本産だけでなく外国産もまざっているが、
生産工場にも政府の息がかかっており、
多様なとくちょうがあるのだ。
ただ、精査というあいまいな言い方に
大人の事情がふくまれているため、
スイリュウ自身もすべて理解しきれていないところだった。
「デザインは地方によって規格がちがうから、
今はなんとも言えない。
形については全て話せない・・・ごめん」
「ふつう、ルールってみんな同じ規格から
始まるはずなのに、
地方で色々勝手に作るって変だなって」
「それは・・・そうだけど」
聞かれたくないところなのか、細かく話そうとしない。
周囲は多分、国から口止めされているだろうと
思っている。
彼も小学生なりで親の言う通りに
やらされているだけだから、
ここで言い合ってもどうにもならないくらい
子どもでも理解している。
総理大臣の関係者であろうと、やっぱり1人の児童。
近年のせいさくとして動かされているにちがいはない。
教室は少しの間、静かになる。
しどろもどろな決まりごとにどんな種別があろうと
別になんてことないと、
黒い肌の子は手をだしてとりあえずがんばろうと願いでた。
「まあ、良いじゃないか! 楽しければ別に良い!
よろしくな、おれはジェド。色々教えてくれ!」
「サスケ、よろしくな!」
「ぼくはユウジ、ほどほどにたのむよ」
「カイムだ、ぼくはアメリカから来たばかりで
ウオバトをよく知らない」
「コトミよ、クラス一の記者だからヨロシク!」
「サナエ!」
「私はロール、私の家ではパン屋をやってるの」
「ノエル、運動はちょっとニガテだけど」
「キイっていうの、呼び名はきいちゃんでOK」
「ミュウといいます。
マンガをかいているので、いつか読んでもらえると
うれしいなって」
次々とクラスメイトたちが名乗って自己紹介する。
ちなみに、このクラスは男女合わせて12人。
自分を合わせると13人となるが、
見回してみると1人足りない。
「あれ、聞いていたのと人数が――」
「今、1人入院しちゃってるんだ。だから、いないんだよ」
ヤスケに空いている席があることをしめされる。
けがでもしたのか、欠席者がいたようだ。
執事から聞いた話だと、全校児童は100人ていど。
この時代は子どもの数があまり多くなく、
1学年1~2クラス10人前後しか
おかれていないのがどこの学校でも当たり前。
全員そろってはいないものの、
とりあえずクラスの様は理解。
初めにやることは身体能力や道具一式のかくにんなので、
みんながどこまでウオバトがじょうずにできるのか
見なければならない。
たしかに、報告通りな体力不足に見えるような
子ばかりだけど、
トラブルなく仲を取りもてそうだと分かると、
あらためてあいさつを返した。
「そうか、よろしくたの――」
「やなこった」
しかし、ここにいる全ての児童がスイリュウの考えに
賛成していなかった。
声をあげたのはタケル。
青い目の子どもをかこっている外がわのはしっこの席に
1人すわったまま、低めな一言で協力をこばんだ。
「大臣の子どもだからって、チームを強くできたら
苦労しないだろ。
だいたい、お前が来たところで何が上がるってんだよ?」
「上げさせてみせる、まだこの学校をすべて
知ってるわけじゃないけど。
ぼくはそのためにここへ来たわけだから」
茶髪の少年は信用していないようだ。
まるで、転校したばかりでいっちょ前に
まとめるなという風に、いきなりやってきて
リーダー気取りされるのが気に入らなかった。
彼はこのクラスでトップクラスの腕前をもっている。
自慢げに腕時計型のウオバトタブレットを見せた。
「ちなみに、オレは140Pだ!
4年の中で6年最強のアーゲイル君の210に一番近く、取っている。お前はいくつだ?」
「35000」
「ごっ!?」
過去の成績をサラリと公開。
どこで取ったのか、小学生とは思えないくらいの結果を
見せつけられた。
(2ケタもちがう・・・)
スイリュウはまだうでを上げて画面を表示し続ける。
聞くんじゃなかったと後悔したげに下を向く。
しかし、ここで引いたら恥だと思ったのか。
席を立ち、意地をはって言い返した。
「そうか。じゃあ、見せびらかすくらい自慢できる
実力があるんなら、オレと勝負してもらおうか?
体育のウオバトで1:1な!」
「分かった」
茶髪の元気な少年は対戦をもうしこんだ。
すんなりと引き受けた総理のむすこは静かに自分の席に
すわるのに対して、周りの子どもたちはもり上がってゆく。
小さなプライドをかけたウオバトをたたきつける。
こうして、スイリュウとタケルの出会い場早々に
一騎打ちが決定。
まずは、本人がどれだけの実力か確かめようと始まる。
体育の授業が始まるまで、教室の中は静かにピリピリとした空気に包まれていた。
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