158 / 171
第八章:散るは忠誠、燃ゆるは誇り――約束の交差点、勇者計画の終焉
第148話:コハクの五日目──幻術の檻、九尾を喰らう影
しおりを挟む
長い、長い夢を見ていたような気がするのじゃ。
暗い闇の中、わらわは彷徨っていた。出口どころか、入り口さえもわからぬ。
そして目を閉じると──
「ミラージュ、運転中のお眠りは危ないわよ。」
懐かしい声がしたのじゃ。再び目を開けると、わらわは車の運転席に座っていた。後部座席には、いつもと変わらぬ佇まいで、あの方がいる。
「これは失礼しました、総統閣下。何せ昨夜は……激しかったものですから。」
「生々しい表現はやめてちょうだい。」
そうおっしゃるは、ツバキ・ブラッドムーン、帝国の女帝その人なのじゃ。
おかしい。わらわは確かに、戦場の中にいたはず。うろ覚えではあるが、わらわは確かに──
モリアの姿に変化し、総指揮室に紛れ込み、混乱に乗じてドクターを背後から襲った。そして見事に、わらわの尾が彼の急所を貫き、絶命させたはず。なのに、その後の記憶がわらわにはない。
「ミラージュ!ミラージュ!まだボーッとしている。まだそんな年でもないでしょ。」
「はい、聞こえております、総統閣下。今日のご予定ですね。あれ……?」いつもならびっしりと書き込まれているはずの手帳が、真っ白なのじゃ。新しいものに替えた覚えはない。記憶が混乱している。まさか、ドクターを暗殺したこと自体が、わらわの夢だったのか?
そんなはずがない。わらわには確かな触感があった。この尻尾があの男を貫く、あの生々しい感触が。
「申し訳ございません。新しい手帳に替えたもので、今日のスケジュールはまだ記入しておりません。今すぐ確認いたしますので、少々お待ちください。」
「調べる必要はないわ。だって……裏切り者に、教えることは何もないから。」
頭の中が一瞬、真っ白になった。バレたのか?このコハクは、ミラージュという仮の姿で二十年も潜伏し、女帝の腹心まで登り詰め、これまで一切のボロを出さなかった。今さらバレるはずがない。これは罠だ。
「裏切り者?ご冗談を。このミラージュは、いつも総統閣下の味方ですよ。まさか、皇帝殿下とご喧嘩なさったのですか?」あくまで、ミラージュという仮面を崩さぬ。わらわは証拠を何一つ残していない。
「へえ~……役者ね。それとも、狐は皆そうなのかしら。ティアノはあんなに正直なのに。」
正体まで見抜かれていたのじゃ!!どうする?知らぬ存ぜぬを通すか、それとも……
こっそりと尾を身構えさせる。いざとなれば、女帝に「不慮の死」を演じてもらうのじゃ。
「酷いわね。私を魔王ダークソウルに差し出すことで、息子のティアノの安全を守りたいだなんて……自分勝手すぎるわ。それに──」ツバキは膨らんだ腹を優しくなでた。「あなたも母親でしょう?この子から母親を奪うなんて、そんな残忍なことがよくできますね。」
瞬間、九本の尾が暴れ出し、後部座席のツバキを貫いた!
「あなたは、総統閣下では……ありませんね。あの方は、そこまでのことをご存知ないはずですから。」
しかし、コハクの尾に貫かれたはずのツバキは、何ごともなかったように話し続けた。体にはいくつもの穴が開いているのに、一滴の血も流れていない。不気味すぎる。
「あなただって、『ミラージュ』じゃないでしょう?九尾の狐、コハク。」
ツバキの姿は次第に白い糸へと変わり、逆にわらわを捕え縛り上げようとする。
これは……!蜘蛛の糸だ。粘々として解けにくい。いや、この光景……覚えがある。あの時──
わらわがドクターを尾で貫いた時、あの男からも血は流れなかった。そして今と同じ、この蜘蛛の糸を!
……そうじゃ。あの時も同じ糸に捕らわれたのじゃ。
気付いた時には、わらわはすでに再び──蜘蛛の繭の中に封じられていたのじゃ。
*
「ミラージュ!運転中のお眠りは危ないわよ。」
再び目を開ける。驚くことに、先ほどとまったく同じ光景が広がっていた。わらわはまだ同じ車を運転しており、窓の外の景色も同じ。なにより、後部座席に座る「総統閣下」の姿も──
「ミラージュ!ミラージュ!まだボーッとしている。まだそんな年でもないでしょ。」
同じ言葉が、同じ口調で、わらわに投げかけられる。
わらわはこの状況を、もう何度も繰り返しているのじゃ。
幻術。わらわは幻術に嵌められた。そうとしか考えられぬ。もし、わらわがまたあの「ツバキ」を殺せば、新たな輪廻が始まるのだろう。永遠に終わらない檻の中に。
「……なれなのじゃ、お主。ツバキではないのじゃろ。」
「あなただって、『ミラージュ』じゃないでしょう?お互い様じゃない。」
偽物のツバキは、やはり同じ言葉を返してきた。術者本人なのか、それとも単なる作り物か。迂闊に手を出せぬなら、会話で情報を引き出すしかないのじゃ。
「そうなのじゃ。わらわは前代の魔王として、今は魔王軍四天王の第五人、九尾の狐、コハクなのじゃ。」
「ははは……無理無理無理、面白すぎる~!魔王って……はははっ……アスにゃん、ツボに入ったかも~!はははっ!」
偽物のツバキは、腹を抱えて、ありえないほど大げさに笑い転げた。あの本物のツバキなら、絶対に取らない態度だ。彼女が偽物であることを再び証明した。それに、「アスにゃん」などという言葉──どこかで聞いたことが……
「あっ!」
思い出したのじゃ。帝国附属高校で、「恋愛相談部」を開きたいと騒いでいた、あのおかしな学生。「アスモデウス」。
「正解~♡」
ツバキの姿が次第に形を変え、金髪に小麦色の肌をもつ少女へと変わった。ふざけたようにピースサインを掲げ、ウインクしてくる。
「地獄七十二柱の一つ、王クラス、色欲の悪魔アスモデウス。よろしくね♪ ミラージュせ・ん・せ・い♡」
悪魔だと!?ありえない。あれは伝説の存在。何万年も前に地獄に封じられたはずの幻の生き物。それが、こんなふざけた姿で現れるはずがない。ドクターの策略か?しかし、彼が幻術を使えるとは聞いたことがない。
「もし、お主が本当の悪魔ならば、なぜわらわの邪魔をするのじゃ!悪魔は我ら魔族の味方のはず。なぜ人間を助ける真似をするのじゃ!」
「あなたたちが悪いんだよ~♪ あなたも、あのダークソウルっていう痛い奴も、『魔王』とか名乗るでしょ。人間の王様が『神』を自称するのと同じじゃん。今まで好きにさせてた分、感謝されるべきだと思わない?♪ そ・れ・に──」
アスモデウスは後ろから腕をわらわの首に回し、魅惑的で甘い声で、わらわの耳元に唇を寄せて囁いた。
「本物の魔王様を襲っちゃ、ダメでしょ~?♪ それも、モリリンの姿で襲うなんて♡」
その声は、魂の底に直接響くように冷たく、暖かいはずの車内が、全身を走る悪寒で凍りついた。冷や汗が襟を濡らす。生き物の本能が、わらわに警告する──危険、食われる。
先手必勝!
九本の尾を総動員し、車体を粉砕して脱出する。素早く陰陽術の札を取り出し、詠唱を開始。
「唵 阿瑟吒 紇哩」
木の真言。木の文字が現れた。
「唵 阿祢陀羅 紇哩」
火の真言。火の文字が現れた。
「唵 阿毘羅 紇哩」
土の真言。土の文字が現れた。
「唵 阿囉吒 紇哩」
金の真言。金の文字が現れた。
「唵 阿婆羅 紇哩」
水の真言。水の文字が現れた。
「五行結成、陰陽一如、急急如律令!」
五枚の札が光の線で結ばれ、五芒星が形成される。物理攻撃が通じぬなら、五つの属性を調和させたこの陰陽術で喰らうのじゃ!
「接近戦得意のアスにゃんの前で、呪文唱えてる余裕があるんだね~♪」
術が発動するより先に、アスモデウスは既にわらわの懐に潜り込んでいた。右足に刈りを入れられ、体勢を崩され、後ろへと倒れていく。マズい!体を反らせ、後方への重心移動を抑えねば!
だが、それさえも見透かされていたかのように、アスモデウスは力で押し切ろうとはせず、わらわの力を「受け流して利用」した。
「巴投げ(ともえなげ)!」
大外刈りの引き手を強く引き上げ、釣り手でわらわの腕を自らの方へ引き寄せる。その右足を地面につけず、そのままわらわの膝裏に踏み込み、支え軸とし、自ら積極的に後方へ倒れ込む。
地面に背中を強打する衝撃が、骨の髄まで響き渡る。一瞬、意識が飛びそうになった。ここは幻術の中ではなかったのか?なのに、この痛みは何なのじゃ?
だが、アスモデウスの手は緩んでいなかった。
着地と同時に、その両腿でわらわの首と胴体を挟み込み、体勢を固定する。さらに、わらわの腕をその胸の上で十字に組み、完全に封じた。
「やっぱり、投げ技の後は絞め技で決めないとね~♪ 腕挫十字固(うでひしぎじゅうじがため)。今回のアスにゃん、手を抜かないよ。」
最初はただ、肘が引き伸ばされる奇妙な張力だけだった。だが、アスモデウスは徐々に、しかし確実に力を込めていく。次の瞬間、関節の奥深くから、金属のバネが限界まで引き伸ばされるような、鈍い軋む音を伴う痛みが走った。その痛みはすぐに、『もうこれ以上は耐えられない』と警告する、鋭い切断感へと変貌する。脳裏に、枯れ枝がぽっきりと折れる幻聴が響く。
痛くてたまらぬ!四肢は動かせぬが、わらわには尾がある……くたばれ、古き時代の遺物よ!
わらわが痛みに耐え、必死で尾を動かそうとしたその時──
「残念~♡ 時間切れだよ♪」
軽い、「くしっ」という音。
強烈な痛覚が、わらわの全神経を焼き尽くす。わらわの骨、靭帯、それに全てが、彼女の力の前にあっけなく折れたのだ。
悲鳴が、幻術の世界に反響する。だが、ここにいるのはわらわと彼女だけ。彼女の嗜虐的な笑みと、激しい苦痛の波の中で、わらわの意識は暗闇へと沈んでいった。
*
「ミラージュ♪ 運転中のお眠りは危ないわよ♡」
何度目の目覚めか、もはやわからぬ。再び目を開ければ、先ほどとまったく同じ光景が広がっていた。わらわはまだ同じ車を運転し、窓の外の景色も同じ。なにより、後部座席に座る「総統閣下」の姿も──
「ミラージュ♪ ミラージュ♪ まだボーッとしている。まだそんな年でもないでしょ♡」
同じ言葉が、同じ甘ったるい口調で、わらわに投げかけられる。
「今回は、女帝の真似はせぬのね。どんな風の吹き回しなのじゃ。」
「総統閣下」はツバキではなく、ツバキの服を着たアスモデウスだった。
「ええ~? せっかくアスにゃんが女帝コスプレでサービスしてるのに♡ もっと喜んでくれてもいいのにな♪」
どこまでふざけているのか。彼女が悪魔であることは、もはや疑いようもないのじゃ。
幻術に柔道。この二つだけでも厄介極まりないのに、まだ何か隠した能力があるに違いない。とにかく、この幻術の檻から脱出せねば。
「無駄だよ~♪ あなたがアスにゃんの幻術にかかった時点で、もう詰んでるんだから。アスにゃんの幻術が効かない相手ってね……」アスモデウスは指を折りながら数え始める。
「神様でしょ、明けの明星でしょ、モリリンでしょ、それに魔王様。この四人だけかな♪ あれ? こう見ると、アスにゃんって結構強いかも♡ こんなこともできるんだからね♪」
アスモデウスが指を鳴らすと、車内に一人の青年が現れた。
「皇帝陛下……!」わらわの最愛なる一人息子、帝国皇帝ティアノ・ブラッドムーン。これもまた、アスモデウスの創り出した幻影に違いない。しかし──
「あれ? 僕、なぜここに……? ミラージュ? あれ?」何も理解できず、困惑する姿は本物と見分けがつかない。まさか、彼女の狙いは……「やめるのじゃ!」
「嫌だよ~♡」
数万の剣が現れ、幻影のティアノを次々と貫いていく。ティアノの悲鳴が耳元で響く。偽物と知りながら、わらわの心はズタズタに引き裂かれる思いだった。
「母……さん……た……すけ……て……」そう呟いて、幻影のティアノは絶命した。その姿は、あまりにも痛々しい。
許さぬ……許さぬ、許さぬ!
全てを打ち払え。この悪魔だけは、絶対に許せぬ!
わらわは、全ての力を解放する。もはや、人間の姿を保っている余地はない。
*
コハクの姿が微かに揺らぐ。まるで遠くの陽炎のように、その輪郭が滲み始める。
最初に変化したのは背中だった。肩甲骨のあたりから柔らかな光が滲み出し、それが黄金の柔らかな毛並みへと変じていく。彼女の体が前傾する。背骨が優雅な弧を描き、獣のそれへと伸びていく。衣服は光の粒子となって散り、肌からは一気に金色の毛が生え揃う。それは陽光を浴びた小麦穂の色で、一本一本が微かに輝いている。
耳が尖り、顔立ちは妖艶な狐面へと変化する。目は細長く吊り上がり、瞳孔が紅玉のように深く輝く。口元からは、鋭く美しい牙が覗いた。
そして──尾が生える。
一本、また一本と、背骨の付け根から金色の流れのような尾が湧き出る。九本の尾は独立してうねりながらも、一つの生き物として調和し、周囲を優雅に旋回する。尾先は光の束のように、空間に細かな金色の軌跡を残す。
四肢は細くしなやかに伸び、爪が研ぎ澄まされた宝石のように地面を捉える。
最後に、彼女の全身を柔らかな光が一瞬包み──
そこに立っていたのは、もはや人間の女性ではない。優美な肢体を持ち、九本の黄金の尾をなびかせる、気高き妖獣そのものだった。琥珀色の瞳は虚空を見据え、深い怒りと力を宿している。
「へえ~♪ これが九尾の狐の本当の姿ね。かっこいい~! でも残念だけど、それでもアスにゃんには届かないんだよね~」
どうやら、柔道への対策で体を大きくしたわけね。だけど、アスにゃんは色欲の悪魔。幻術や柔道より、性魔術の方が一番得意なんだから♪
なぜか、あの時のモリリンの言葉を思い出す。
『彼の前で、私の姿を利用した暗殺行為は万死に値しますわ。だけど、彼女もまた一人の母親。それに免じて、半殺しで許してあげますわ。ふふふ。』
モリリンがあそこまで怒るのは初めてかも。アスにゃん、ちょっとお漏らししちゃいそうだったよ~。
狐化したコハクが、アスモデウスに襲いかかる。鋭い牙と爪、それぞれが意志を持つ九本の尾。どれも敵を八つ裂きにするには十分すぎる凶器だが、アスにゃんに接近戦を挑む時点で、負けは確定なのさ♪
あたしは何の抵抗もせず、彼女に噛みつかせた。大きく鋭い牙がアスにゃんの体に刺さる。ちょっと……エロくない? 考えただけで、軽くイっちゃいそう♡
「ああん♡ 大きい……ダメ、そんなに激しくされたら、アスにゃん壊れちゃうよ~♪」
攻撃側のコハクの方が、なぜか段々おかしくなっていく。なぜだかわかる? アスにゃんの体に粘膜接触した時点で、もうおしまいなんだから♡ 精力が吸われるのは当然。アスにゃん自身がエナジードレインを発動しているから、その速度はさらに倍増するんだよ。
「本番までしちゃうと、ミリリンがやきもち焼いちゃうから、今回はキスだけにしてあげる♡」
もはや立つことすらぎりぎりの獣化コハクに、あたしは唇を重ねた。
「♡エクスタシア・ブリーズ♡」
美味しい~♡ この精力は、きつねうどんの油揚げのように……爽やかで深いコクがある。
最初に軽やかな歯応え。薄い黄金色の皮がパリッと割れ、中からほんのり湯気とともに、大豆の優しい香りがふわり。
噛み進むと、表面の微かな甘みから、じんわり広がる優しい塩気へ。衣の食感が心地よく、中心はしっとり。油っこくなく、あっさりしていて、ついもうひと口……と手が伸びる軽食感。
アスにゃん、思わず食レポしちゃうほど美味な精気。さあ、もっと舌を動かして、あたしを楽しませて♪
精気がどんどん吸い取られ、コハクは巨大な狐の姿を保てなくなり、元の人間サイズに戻る。しかし、アスにゃんの食事はまだ終わっていない。
「やっ……ぱり……はむ……女の子……も結構いけるね♡ その……唇の柔らかさには……はむ……まれそう♪」
さらに精気を奪われ、コハクの体はどんどん小さくなっていく。しかし、もはやあたしの性魔術の支配下にある彼女に、反抗する術はない。蜘蛛の糸に絡め取られた虫のように、ただ一方的に食われるだけの運命だ。
「やっば、食べ過ぎたかも~♪」
最後に、モリリンの「半殺し」という言葉を思い出し、コハクが吸い殺される前に引き留めた。だけど、かつて妖艶を誇った美女コハクは、10歳にも満たない童女のような姿に変わっていた。どうやら、精気を奪いすぎたようだ。でへへ♪
「狐ちゃんの精気、美味しかったから、これからアスにゃんのベッドにしてあげるね♡」
気絶したロリ姿のコハクのお腹に、あたしのシジルが浮かび上がる。これで狐ちゃんは、永遠にアスにゃんのエネルギー供給源。彼女がそれ以上回復する精気は、全てあたしのシジルに吸収される。食べ物の心配がなくなったね。でも、狐ちゃんも永遠にこの姿のまま。
まあ、可愛いからいいかな♪
コハクサイド、五日目、終了。
暗い闇の中、わらわは彷徨っていた。出口どころか、入り口さえもわからぬ。
そして目を閉じると──
「ミラージュ、運転中のお眠りは危ないわよ。」
懐かしい声がしたのじゃ。再び目を開けると、わらわは車の運転席に座っていた。後部座席には、いつもと変わらぬ佇まいで、あの方がいる。
「これは失礼しました、総統閣下。何せ昨夜は……激しかったものですから。」
「生々しい表現はやめてちょうだい。」
そうおっしゃるは、ツバキ・ブラッドムーン、帝国の女帝その人なのじゃ。
おかしい。わらわは確かに、戦場の中にいたはず。うろ覚えではあるが、わらわは確かに──
モリアの姿に変化し、総指揮室に紛れ込み、混乱に乗じてドクターを背後から襲った。そして見事に、わらわの尾が彼の急所を貫き、絶命させたはず。なのに、その後の記憶がわらわにはない。
「ミラージュ!ミラージュ!まだボーッとしている。まだそんな年でもないでしょ。」
「はい、聞こえております、総統閣下。今日のご予定ですね。あれ……?」いつもならびっしりと書き込まれているはずの手帳が、真っ白なのじゃ。新しいものに替えた覚えはない。記憶が混乱している。まさか、ドクターを暗殺したこと自体が、わらわの夢だったのか?
そんなはずがない。わらわには確かな触感があった。この尻尾があの男を貫く、あの生々しい感触が。
「申し訳ございません。新しい手帳に替えたもので、今日のスケジュールはまだ記入しておりません。今すぐ確認いたしますので、少々お待ちください。」
「調べる必要はないわ。だって……裏切り者に、教えることは何もないから。」
頭の中が一瞬、真っ白になった。バレたのか?このコハクは、ミラージュという仮の姿で二十年も潜伏し、女帝の腹心まで登り詰め、これまで一切のボロを出さなかった。今さらバレるはずがない。これは罠だ。
「裏切り者?ご冗談を。このミラージュは、いつも総統閣下の味方ですよ。まさか、皇帝殿下とご喧嘩なさったのですか?」あくまで、ミラージュという仮面を崩さぬ。わらわは証拠を何一つ残していない。
「へえ~……役者ね。それとも、狐は皆そうなのかしら。ティアノはあんなに正直なのに。」
正体まで見抜かれていたのじゃ!!どうする?知らぬ存ぜぬを通すか、それとも……
こっそりと尾を身構えさせる。いざとなれば、女帝に「不慮の死」を演じてもらうのじゃ。
「酷いわね。私を魔王ダークソウルに差し出すことで、息子のティアノの安全を守りたいだなんて……自分勝手すぎるわ。それに──」ツバキは膨らんだ腹を優しくなでた。「あなたも母親でしょう?この子から母親を奪うなんて、そんな残忍なことがよくできますね。」
瞬間、九本の尾が暴れ出し、後部座席のツバキを貫いた!
「あなたは、総統閣下では……ありませんね。あの方は、そこまでのことをご存知ないはずですから。」
しかし、コハクの尾に貫かれたはずのツバキは、何ごともなかったように話し続けた。体にはいくつもの穴が開いているのに、一滴の血も流れていない。不気味すぎる。
「あなただって、『ミラージュ』じゃないでしょう?九尾の狐、コハク。」
ツバキの姿は次第に白い糸へと変わり、逆にわらわを捕え縛り上げようとする。
これは……!蜘蛛の糸だ。粘々として解けにくい。いや、この光景……覚えがある。あの時──
わらわがドクターを尾で貫いた時、あの男からも血は流れなかった。そして今と同じ、この蜘蛛の糸を!
……そうじゃ。あの時も同じ糸に捕らわれたのじゃ。
気付いた時には、わらわはすでに再び──蜘蛛の繭の中に封じられていたのじゃ。
*
「ミラージュ!運転中のお眠りは危ないわよ。」
再び目を開ける。驚くことに、先ほどとまったく同じ光景が広がっていた。わらわはまだ同じ車を運転しており、窓の外の景色も同じ。なにより、後部座席に座る「総統閣下」の姿も──
「ミラージュ!ミラージュ!まだボーッとしている。まだそんな年でもないでしょ。」
同じ言葉が、同じ口調で、わらわに投げかけられる。
わらわはこの状況を、もう何度も繰り返しているのじゃ。
幻術。わらわは幻術に嵌められた。そうとしか考えられぬ。もし、わらわがまたあの「ツバキ」を殺せば、新たな輪廻が始まるのだろう。永遠に終わらない檻の中に。
「……なれなのじゃ、お主。ツバキではないのじゃろ。」
「あなただって、『ミラージュ』じゃないでしょう?お互い様じゃない。」
偽物のツバキは、やはり同じ言葉を返してきた。術者本人なのか、それとも単なる作り物か。迂闊に手を出せぬなら、会話で情報を引き出すしかないのじゃ。
「そうなのじゃ。わらわは前代の魔王として、今は魔王軍四天王の第五人、九尾の狐、コハクなのじゃ。」
「ははは……無理無理無理、面白すぎる~!魔王って……はははっ……アスにゃん、ツボに入ったかも~!はははっ!」
偽物のツバキは、腹を抱えて、ありえないほど大げさに笑い転げた。あの本物のツバキなら、絶対に取らない態度だ。彼女が偽物であることを再び証明した。それに、「アスにゃん」などという言葉──どこかで聞いたことが……
「あっ!」
思い出したのじゃ。帝国附属高校で、「恋愛相談部」を開きたいと騒いでいた、あのおかしな学生。「アスモデウス」。
「正解~♡」
ツバキの姿が次第に形を変え、金髪に小麦色の肌をもつ少女へと変わった。ふざけたようにピースサインを掲げ、ウインクしてくる。
「地獄七十二柱の一つ、王クラス、色欲の悪魔アスモデウス。よろしくね♪ ミラージュせ・ん・せ・い♡」
悪魔だと!?ありえない。あれは伝説の存在。何万年も前に地獄に封じられたはずの幻の生き物。それが、こんなふざけた姿で現れるはずがない。ドクターの策略か?しかし、彼が幻術を使えるとは聞いたことがない。
「もし、お主が本当の悪魔ならば、なぜわらわの邪魔をするのじゃ!悪魔は我ら魔族の味方のはず。なぜ人間を助ける真似をするのじゃ!」
「あなたたちが悪いんだよ~♪ あなたも、あのダークソウルっていう痛い奴も、『魔王』とか名乗るでしょ。人間の王様が『神』を自称するのと同じじゃん。今まで好きにさせてた分、感謝されるべきだと思わない?♪ そ・れ・に──」
アスモデウスは後ろから腕をわらわの首に回し、魅惑的で甘い声で、わらわの耳元に唇を寄せて囁いた。
「本物の魔王様を襲っちゃ、ダメでしょ~?♪ それも、モリリンの姿で襲うなんて♡」
その声は、魂の底に直接響くように冷たく、暖かいはずの車内が、全身を走る悪寒で凍りついた。冷や汗が襟を濡らす。生き物の本能が、わらわに警告する──危険、食われる。
先手必勝!
九本の尾を総動員し、車体を粉砕して脱出する。素早く陰陽術の札を取り出し、詠唱を開始。
「唵 阿瑟吒 紇哩」
木の真言。木の文字が現れた。
「唵 阿祢陀羅 紇哩」
火の真言。火の文字が現れた。
「唵 阿毘羅 紇哩」
土の真言。土の文字が現れた。
「唵 阿囉吒 紇哩」
金の真言。金の文字が現れた。
「唵 阿婆羅 紇哩」
水の真言。水の文字が現れた。
「五行結成、陰陽一如、急急如律令!」
五枚の札が光の線で結ばれ、五芒星が形成される。物理攻撃が通じぬなら、五つの属性を調和させたこの陰陽術で喰らうのじゃ!
「接近戦得意のアスにゃんの前で、呪文唱えてる余裕があるんだね~♪」
術が発動するより先に、アスモデウスは既にわらわの懐に潜り込んでいた。右足に刈りを入れられ、体勢を崩され、後ろへと倒れていく。マズい!体を反らせ、後方への重心移動を抑えねば!
だが、それさえも見透かされていたかのように、アスモデウスは力で押し切ろうとはせず、わらわの力を「受け流して利用」した。
「巴投げ(ともえなげ)!」
大外刈りの引き手を強く引き上げ、釣り手でわらわの腕を自らの方へ引き寄せる。その右足を地面につけず、そのままわらわの膝裏に踏み込み、支え軸とし、自ら積極的に後方へ倒れ込む。
地面に背中を強打する衝撃が、骨の髄まで響き渡る。一瞬、意識が飛びそうになった。ここは幻術の中ではなかったのか?なのに、この痛みは何なのじゃ?
だが、アスモデウスの手は緩んでいなかった。
着地と同時に、その両腿でわらわの首と胴体を挟み込み、体勢を固定する。さらに、わらわの腕をその胸の上で十字に組み、完全に封じた。
「やっぱり、投げ技の後は絞め技で決めないとね~♪ 腕挫十字固(うでひしぎじゅうじがため)。今回のアスにゃん、手を抜かないよ。」
最初はただ、肘が引き伸ばされる奇妙な張力だけだった。だが、アスモデウスは徐々に、しかし確実に力を込めていく。次の瞬間、関節の奥深くから、金属のバネが限界まで引き伸ばされるような、鈍い軋む音を伴う痛みが走った。その痛みはすぐに、『もうこれ以上は耐えられない』と警告する、鋭い切断感へと変貌する。脳裏に、枯れ枝がぽっきりと折れる幻聴が響く。
痛くてたまらぬ!四肢は動かせぬが、わらわには尾がある……くたばれ、古き時代の遺物よ!
わらわが痛みに耐え、必死で尾を動かそうとしたその時──
「残念~♡ 時間切れだよ♪」
軽い、「くしっ」という音。
強烈な痛覚が、わらわの全神経を焼き尽くす。わらわの骨、靭帯、それに全てが、彼女の力の前にあっけなく折れたのだ。
悲鳴が、幻術の世界に反響する。だが、ここにいるのはわらわと彼女だけ。彼女の嗜虐的な笑みと、激しい苦痛の波の中で、わらわの意識は暗闇へと沈んでいった。
*
「ミラージュ♪ 運転中のお眠りは危ないわよ♡」
何度目の目覚めか、もはやわからぬ。再び目を開ければ、先ほどとまったく同じ光景が広がっていた。わらわはまだ同じ車を運転し、窓の外の景色も同じ。なにより、後部座席に座る「総統閣下」の姿も──
「ミラージュ♪ ミラージュ♪ まだボーッとしている。まだそんな年でもないでしょ♡」
同じ言葉が、同じ甘ったるい口調で、わらわに投げかけられる。
「今回は、女帝の真似はせぬのね。どんな風の吹き回しなのじゃ。」
「総統閣下」はツバキではなく、ツバキの服を着たアスモデウスだった。
「ええ~? せっかくアスにゃんが女帝コスプレでサービスしてるのに♡ もっと喜んでくれてもいいのにな♪」
どこまでふざけているのか。彼女が悪魔であることは、もはや疑いようもないのじゃ。
幻術に柔道。この二つだけでも厄介極まりないのに、まだ何か隠した能力があるに違いない。とにかく、この幻術の檻から脱出せねば。
「無駄だよ~♪ あなたがアスにゃんの幻術にかかった時点で、もう詰んでるんだから。アスにゃんの幻術が効かない相手ってね……」アスモデウスは指を折りながら数え始める。
「神様でしょ、明けの明星でしょ、モリリンでしょ、それに魔王様。この四人だけかな♪ あれ? こう見ると、アスにゃんって結構強いかも♡ こんなこともできるんだからね♪」
アスモデウスが指を鳴らすと、車内に一人の青年が現れた。
「皇帝陛下……!」わらわの最愛なる一人息子、帝国皇帝ティアノ・ブラッドムーン。これもまた、アスモデウスの創り出した幻影に違いない。しかし──
「あれ? 僕、なぜここに……? ミラージュ? あれ?」何も理解できず、困惑する姿は本物と見分けがつかない。まさか、彼女の狙いは……「やめるのじゃ!」
「嫌だよ~♡」
数万の剣が現れ、幻影のティアノを次々と貫いていく。ティアノの悲鳴が耳元で響く。偽物と知りながら、わらわの心はズタズタに引き裂かれる思いだった。
「母……さん……た……すけ……て……」そう呟いて、幻影のティアノは絶命した。その姿は、あまりにも痛々しい。
許さぬ……許さぬ、許さぬ!
全てを打ち払え。この悪魔だけは、絶対に許せぬ!
わらわは、全ての力を解放する。もはや、人間の姿を保っている余地はない。
*
コハクの姿が微かに揺らぐ。まるで遠くの陽炎のように、その輪郭が滲み始める。
最初に変化したのは背中だった。肩甲骨のあたりから柔らかな光が滲み出し、それが黄金の柔らかな毛並みへと変じていく。彼女の体が前傾する。背骨が優雅な弧を描き、獣のそれへと伸びていく。衣服は光の粒子となって散り、肌からは一気に金色の毛が生え揃う。それは陽光を浴びた小麦穂の色で、一本一本が微かに輝いている。
耳が尖り、顔立ちは妖艶な狐面へと変化する。目は細長く吊り上がり、瞳孔が紅玉のように深く輝く。口元からは、鋭く美しい牙が覗いた。
そして──尾が生える。
一本、また一本と、背骨の付け根から金色の流れのような尾が湧き出る。九本の尾は独立してうねりながらも、一つの生き物として調和し、周囲を優雅に旋回する。尾先は光の束のように、空間に細かな金色の軌跡を残す。
四肢は細くしなやかに伸び、爪が研ぎ澄まされた宝石のように地面を捉える。
最後に、彼女の全身を柔らかな光が一瞬包み──
そこに立っていたのは、もはや人間の女性ではない。優美な肢体を持ち、九本の黄金の尾をなびかせる、気高き妖獣そのものだった。琥珀色の瞳は虚空を見据え、深い怒りと力を宿している。
「へえ~♪ これが九尾の狐の本当の姿ね。かっこいい~! でも残念だけど、それでもアスにゃんには届かないんだよね~」
どうやら、柔道への対策で体を大きくしたわけね。だけど、アスにゃんは色欲の悪魔。幻術や柔道より、性魔術の方が一番得意なんだから♪
なぜか、あの時のモリリンの言葉を思い出す。
『彼の前で、私の姿を利用した暗殺行為は万死に値しますわ。だけど、彼女もまた一人の母親。それに免じて、半殺しで許してあげますわ。ふふふ。』
モリリンがあそこまで怒るのは初めてかも。アスにゃん、ちょっとお漏らししちゃいそうだったよ~。
狐化したコハクが、アスモデウスに襲いかかる。鋭い牙と爪、それぞれが意志を持つ九本の尾。どれも敵を八つ裂きにするには十分すぎる凶器だが、アスにゃんに接近戦を挑む時点で、負けは確定なのさ♪
あたしは何の抵抗もせず、彼女に噛みつかせた。大きく鋭い牙がアスにゃんの体に刺さる。ちょっと……エロくない? 考えただけで、軽くイっちゃいそう♡
「ああん♡ 大きい……ダメ、そんなに激しくされたら、アスにゃん壊れちゃうよ~♪」
攻撃側のコハクの方が、なぜか段々おかしくなっていく。なぜだかわかる? アスにゃんの体に粘膜接触した時点で、もうおしまいなんだから♡ 精力が吸われるのは当然。アスにゃん自身がエナジードレインを発動しているから、その速度はさらに倍増するんだよ。
「本番までしちゃうと、ミリリンがやきもち焼いちゃうから、今回はキスだけにしてあげる♡」
もはや立つことすらぎりぎりの獣化コハクに、あたしは唇を重ねた。
「♡エクスタシア・ブリーズ♡」
美味しい~♡ この精力は、きつねうどんの油揚げのように……爽やかで深いコクがある。
最初に軽やかな歯応え。薄い黄金色の皮がパリッと割れ、中からほんのり湯気とともに、大豆の優しい香りがふわり。
噛み進むと、表面の微かな甘みから、じんわり広がる優しい塩気へ。衣の食感が心地よく、中心はしっとり。油っこくなく、あっさりしていて、ついもうひと口……と手が伸びる軽食感。
アスにゃん、思わず食レポしちゃうほど美味な精気。さあ、もっと舌を動かして、あたしを楽しませて♪
精気がどんどん吸い取られ、コハクは巨大な狐の姿を保てなくなり、元の人間サイズに戻る。しかし、アスにゃんの食事はまだ終わっていない。
「やっ……ぱり……はむ……女の子……も結構いけるね♡ その……唇の柔らかさには……はむ……まれそう♪」
さらに精気を奪われ、コハクの体はどんどん小さくなっていく。しかし、もはやあたしの性魔術の支配下にある彼女に、反抗する術はない。蜘蛛の糸に絡め取られた虫のように、ただ一方的に食われるだけの運命だ。
「やっば、食べ過ぎたかも~♪」
最後に、モリリンの「半殺し」という言葉を思い出し、コハクが吸い殺される前に引き留めた。だけど、かつて妖艶を誇った美女コハクは、10歳にも満たない童女のような姿に変わっていた。どうやら、精気を奪いすぎたようだ。でへへ♪
「狐ちゃんの精気、美味しかったから、これからアスにゃんのベッドにしてあげるね♡」
気絶したロリ姿のコハクのお腹に、あたしのシジルが浮かび上がる。これで狐ちゃんは、永遠にアスにゃんのエネルギー供給源。彼女がそれ以上回復する精気は、全てあたしのシジルに吸収される。食べ物の心配がなくなったね。でも、狐ちゃんも永遠にこの姿のまま。
まあ、可愛いからいいかな♪
コハクサイド、五日目、終了。
0
あなたにおすすめの小説
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる