まおうさまの勇者育成計画

okamiyu

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第一章:覚醒せよ、灰かぶりの勇者――ゴーストタウンに隠された声

第30話:聖剣戦略!私再改造!!

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「あなたは、ユキナさんですね」



私は、最初に私を導いた小さな光に話しかけてみました。

彼女は、もう声を出すことも、言葉を交わすこともできません。



けれど、少しの間でも彼女と一体となり、彼女の生活を体験した私は、

彼女が“何を言いたいのか”を、感じ取ることができます。



「……人間を、恨んでいますか?」



光は何も言わず、ただ静かに揺れました。

けれど、その光からあふれ出す感情が――私の心に、直接流れ込んでくる。



両親を失った、深い悲しみ。

理不尽な死への、果てしない憎しみ。

世界を救うという“正義”の名のもとに犠牲にされたことへの恨み。



ユキナさんは、三十年という時間の中で――

その負の感情の渦の中から、一度も抜け出すことができなかった。

終わらない悪夢のループ。目覚めることさえできなかった。



……それは、あまりに悲しい。



「あなたも、このままではいけないって……だから、私に取り憑いたんですよね?」



憎しみの先に、救いはない。

公爵を、許せとは言えない。

その命で召喚された勇者を、許せとは言えない。

そして、何も知らずに平和を享受している人間たちを、許せなくても――



でも。

このまま、みんなが苦しみ続けていいはずもない。



「わかります。私も……あなたの気持ちが」



憎しみの底で、それでも“誰かに救われたかった”。

その願いが、確かにあったことを。



あなたたちは、敵じゃない。

あの日、世界の都合に巻き込まれて、犠牲になった――ただの、被害者。



「――任せてください。こう見えても、私は“勇者”ですから!」



光が、ふるふると揺れる。



「えっ、信じてませんね? ほんとですよ! たしかにまだ頼りないけど……

でも、マオウさんがいて、レン君がいて、みんながいて……

いつか、私は一人前の勇者になります!」



そのとき。

ユキナさんの光が、静かに私に触れた。



そして――私の手にある聖剣が、ひときわ強く光を放ち始めた。

心が、重なる。

私とユキナさん、そして聖剣の心が、いま共鳴している。



呪文が、自然と口を突いて出た。

これはきっと、勇者としての責務を果たす、その“始まり”の言葉――



「――聖剣戦略! 私再改造!!」
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