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第37話 アリエルの発見
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「あ、あの……昨日はその……ごめんなさい…!」
二日酔いでベッドに沈んでいた僕の部屋に、ポコ丸を抱えたアリエルがやってきた。
頭を下げながら、ついでにポコ丸の頭まで下げて謝罪する。
いやいや、ポコ丸は何も悪くないでしょ。
「良いよ良いよ、みんなも楽しそうだったし」
「うぅ……本当にごめんなさい!」
彼女はさらに深く頭を下げる。ポコ丸の首はとんでもないほど曲げられ、取れてしまわないか心配なくらいだ。
「本当に大丈夫だよ。アリエルは二日酔いとか平気?」
「はい……寝て起きれば浄化されますので……」
飲んだ瞬間浄化が始まらないあたり自分で切り替えが可能なのだろう。便利なもんだ。
「それでその……罪滅ぼしに”弱者の庭”のお掃除でもしようかと……」
「それは僕の仕事だから大丈夫だよ、そもそもそんなに汚れないし」
「いえ……掃除でもしようかと思い先ほど終わったんです……」
あ、そうなんだ……。
「ありがとう、助かるよ」
「それでですね……地下室に気になるものがあって……」
――ん?地下室?
「え…?僕知らないけど」
「お掃除中に見つけたんです。丁度この部屋を出てすぐに入口がありました」
「ちょっと案内してもらっていいかな?」
フワフワと移動するアリエルに付いていくと、僕の部屋の前の床の上で止まった。
「ここ?何も無くない?」
「えっと……よいしょ……」
世界一気合の入らない掛け声を発し、アリエルが手を前に出すと床が開いた。
その先には暗闇の中に重厚な石の階段が見える。秘密基地の入口のようで少しワクワクする。
「本当だ、降りても危険はないの?」
「まぁありませんね……それでは行きましょう」
アリエルの前に現れた光の玉が暗闇を照らし出す。思ったよりは深くないようだ、降りるとすぐに出口が見えるほどの深さだった。
「これなんですけど……」
中は地下室……というか倉庫のようだがほとんど物がない。アリエルの指さす方向に目をやると部屋の一角に棚があり、整頓されて陳列されているのは……。
「――なんだこれ……」
ここでは見覚えのない、しかしはっきりと分かる。僕の前世では誰もが知っているような遊具の数々。
バットに野球ボール、グローブ、すごろく、バスケットボール、綱引きの綱、ジェンガ、トランプ……。
「私には見覚えのないものですけど……前の住人の物でしょうか……どうします?お掃除していいならしますけど……」
アリエルはそう言うが、ゼファルドの部屋は跡形もなく消えていた。多分だがここの住人が旅立つと持ち物や供給システムで出したものは消えるのだろう。
前の住人のものでないなら……答えは一つ。”前の管理人”の持ち物だ。今の住人の持ち物である可能性もあるが、その可能性は低いだろう。
急に背筋に冷たい感覚を覚え、後ろを振り返る。しかしそこには誰もいなかった。流石にこの部屋で前の管理人が生活しているなんて事はなさそうだ。
まぁ好き好んで地下室で生活するヤツなんかいるわけないよね。
「うーん、掃除はしなくていいけど、せっかくだし遊んでみる?遊び方は分かるからさ」
「そ、そうですか……。じゃあせっかくなので……」
温泉やアスレチックなどはあるが、この場所には娯楽が少ないからな。せっかくだしみんなを誘って野球でもしてみるか。
そう言えばコヨミも将棋持ってたな。何か関係あるのか?
僕とアリエルはバットとボール、グローブを持って地下室を出る。そしてそれぞれの住人に声をかけて回ったのだ。
……………………。
ジーク、ミレーユ、ラヴィは二つ返事で了承してくれた。みんな娯楽と聞いてやる気満々である。
ちなみに地下室の事は全員知らなかったようだ。ジークとミレーユは空間の存在は知っていたが入り方までは分からなかったそう。
そして最後はコヨミか。
昨日の事があるからなぁ……なんとなく顔を合わせるのが気恥ずかしい気がする。
そうも言ってはいられないのでドアをノックすると、中から元気な声が聞こえてきた。
「開いておるのじゃー」
いつも通りだな。僕の考えすぎか……。
アリエルと一緒にドアをくぐるといつも通り……布団の上で淫乱のお手本のような恰好をしていた。
……そしてこのコノミの部屋独特の香り、しかし今日はなんというか少し湿った香りというか……。
「なんじゃ、精霊王も一緒じゃったか。妾は準備万端で待っておったというのに」
「あ、あの……コヨミ……その……換気した方が良いんじゃない……?」
「確かに少し空気が重い感じがするね、アリエルの言う通り換気したら?」
「妾のメスの匂いに気が付かんとはアルキ……まだまだ女性経験が足りんと見える」
――メスの匂い……?
「こ、コヨミ!だめだよ!男の人の前でそういうのは……え、えっちすぎると思う……!」
なるほど……。さっきまでコヨミはこの部屋で随分と楽しんでいたんだな。
――よしっ!
「コヨミー!野球しようぜ!」
アリエルの顔も真っ赤だしみんなも待たせてる、こんな淫猥空間さっさと脱出するのが吉ってもんだ。
「野球?お主のバットでか?」
「違うよ!無理やり話を戻すんじゃないよまったく!」
結果、コヨミも遊ぶらしく住人全員が参加の野球大会が決まった。
二日酔いでベッドに沈んでいた僕の部屋に、ポコ丸を抱えたアリエルがやってきた。
頭を下げながら、ついでにポコ丸の頭まで下げて謝罪する。
いやいや、ポコ丸は何も悪くないでしょ。
「良いよ良いよ、みんなも楽しそうだったし」
「うぅ……本当にごめんなさい!」
彼女はさらに深く頭を下げる。ポコ丸の首はとんでもないほど曲げられ、取れてしまわないか心配なくらいだ。
「本当に大丈夫だよ。アリエルは二日酔いとか平気?」
「はい……寝て起きれば浄化されますので……」
飲んだ瞬間浄化が始まらないあたり自分で切り替えが可能なのだろう。便利なもんだ。
「それでその……罪滅ぼしに”弱者の庭”のお掃除でもしようかと……」
「それは僕の仕事だから大丈夫だよ、そもそもそんなに汚れないし」
「いえ……掃除でもしようかと思い先ほど終わったんです……」
あ、そうなんだ……。
「ありがとう、助かるよ」
「それでですね……地下室に気になるものがあって……」
――ん?地下室?
「え…?僕知らないけど」
「お掃除中に見つけたんです。丁度この部屋を出てすぐに入口がありました」
「ちょっと案内してもらっていいかな?」
フワフワと移動するアリエルに付いていくと、僕の部屋の前の床の上で止まった。
「ここ?何も無くない?」
「えっと……よいしょ……」
世界一気合の入らない掛け声を発し、アリエルが手を前に出すと床が開いた。
その先には暗闇の中に重厚な石の階段が見える。秘密基地の入口のようで少しワクワクする。
「本当だ、降りても危険はないの?」
「まぁありませんね……それでは行きましょう」
アリエルの前に現れた光の玉が暗闇を照らし出す。思ったよりは深くないようだ、降りるとすぐに出口が見えるほどの深さだった。
「これなんですけど……」
中は地下室……というか倉庫のようだがほとんど物がない。アリエルの指さす方向に目をやると部屋の一角に棚があり、整頓されて陳列されているのは……。
「――なんだこれ……」
ここでは見覚えのない、しかしはっきりと分かる。僕の前世では誰もが知っているような遊具の数々。
バットに野球ボール、グローブ、すごろく、バスケットボール、綱引きの綱、ジェンガ、トランプ……。
「私には見覚えのないものですけど……前の住人の物でしょうか……どうします?お掃除していいならしますけど……」
アリエルはそう言うが、ゼファルドの部屋は跡形もなく消えていた。多分だがここの住人が旅立つと持ち物や供給システムで出したものは消えるのだろう。
前の住人のものでないなら……答えは一つ。”前の管理人”の持ち物だ。今の住人の持ち物である可能性もあるが、その可能性は低いだろう。
急に背筋に冷たい感覚を覚え、後ろを振り返る。しかしそこには誰もいなかった。流石にこの部屋で前の管理人が生活しているなんて事はなさそうだ。
まぁ好き好んで地下室で生活するヤツなんかいるわけないよね。
「うーん、掃除はしなくていいけど、せっかくだし遊んでみる?遊び方は分かるからさ」
「そ、そうですか……。じゃあせっかくなので……」
温泉やアスレチックなどはあるが、この場所には娯楽が少ないからな。せっかくだしみんなを誘って野球でもしてみるか。
そう言えばコヨミも将棋持ってたな。何か関係あるのか?
僕とアリエルはバットとボール、グローブを持って地下室を出る。そしてそれぞれの住人に声をかけて回ったのだ。
……………………。
ジーク、ミレーユ、ラヴィは二つ返事で了承してくれた。みんな娯楽と聞いてやる気満々である。
ちなみに地下室の事は全員知らなかったようだ。ジークとミレーユは空間の存在は知っていたが入り方までは分からなかったそう。
そして最後はコヨミか。
昨日の事があるからなぁ……なんとなく顔を合わせるのが気恥ずかしい気がする。
そうも言ってはいられないのでドアをノックすると、中から元気な声が聞こえてきた。
「開いておるのじゃー」
いつも通りだな。僕の考えすぎか……。
アリエルと一緒にドアをくぐるといつも通り……布団の上で淫乱のお手本のような恰好をしていた。
……そしてこのコノミの部屋独特の香り、しかし今日はなんというか少し湿った香りというか……。
「なんじゃ、精霊王も一緒じゃったか。妾は準備万端で待っておったというのに」
「あ、あの……コヨミ……その……換気した方が良いんじゃない……?」
「確かに少し空気が重い感じがするね、アリエルの言う通り換気したら?」
「妾のメスの匂いに気が付かんとはアルキ……まだまだ女性経験が足りんと見える」
――メスの匂い……?
「こ、コヨミ!だめだよ!男の人の前でそういうのは……え、えっちすぎると思う……!」
なるほど……。さっきまでコヨミはこの部屋で随分と楽しんでいたんだな。
――よしっ!
「コヨミー!野球しようぜ!」
アリエルの顔も真っ赤だしみんなも待たせてる、こんな淫猥空間さっさと脱出するのが吉ってもんだ。
「野球?お主のバットでか?」
「違うよ!無理やり話を戻すんじゃないよまったく!」
結果、コヨミも遊ぶらしく住人全員が参加の野球大会が決まった。
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