44 / 69
第43話 ラヴィ・ギルティア
しおりを挟む
真竜の姿で黒竜を退けたラヴィは、傷だらけになりながらも「友達を守れた」と笑顔を見せて倒れ込んだ。
僕はその小さな身体を抱きとめると、急いで弱者の庭へと連れ帰る。
扉を抜けると、仲間たちが待っていた。
「ラヴィが……!」
状況を理解したミレーユが駆け寄り、アリエルとコヨミが魔法と妖術の光で応急処置を施す。ジークは眉をひそめ、腕を組みながらも心配そうに目を細めていた。
ラヴィはそのまま深い眠りについたままだった。
◇◇◇
数時間後
「……ん」
ベッドの上でラヴィが目を開けると、その身体には傷一つ残っていなかった。アリエルの精霊魔法のおかげだろう。起きるなり隣で看病していた僕たち向かって元気な声で話しかける。
「みんな!ラヴィね、かっこいいって言われたんだよ!」」
弾けるような笑顔で飛び起きると、布団の上で身振り手振りを交えながら戦いを語り始める。
「ラヴィがね!ばぁーってなって!黒竜がわぁって逃げて!それでね、友達が『すごい!』って!」
きっと混乱しているのだろう、順番がバラバラだ。
目を輝かせ、子供らしく自慢げに語るラヴィに、みんなも苦笑いしながら耳を傾ける。
その夜は、夕食のあともずっとラヴィの「武勇伝」が続いた。
笑い声と手振りに、弱者の庭は明るい熱気に包まれていた。
◇◇◇
次の日。
朝からラヴィは元気いっぱいで街へと向かう。なんでも「心配してると思うから元気な顔見せなきゃ」という事らしい。なぜかバットとグローブも抱えているがきっと今日は野球で遊びたいのだろう。
元気そのものだが一応病み上がりなので僕も付いていくことにした。
広場に着くと、友達の子供たちが心配そうに待っていた。
「ラヴィちゃん!」
「元気だった!?」
駆け寄る子供たちに、ラヴィは胸を張って笑う。
「うん!ラヴィ、もう大丈夫だよ!」
その姿を見ていた大人たちも、次々に声をかけてくる。
「昨日は助かった。本当にありがとう」
「君がいなければ、街はどうなっていたか……」
「こんなに可愛い子があの竜かい?なんにせよどうもありがとうねぇ」
住民からかけられる確かな感謝の言葉。
ラヴィは耳まで赤くして「えへへ」と笑い、照れ隠しに友達の後ろへと隠れた。
その後は大人たちも参加し、広場での野球大会が始まる。ラヴィは手加減に手加減を重ねてなんとかやっているようだ。そんな様子もまた微笑ましいな。
昼頃になると、パン屋のハルドさんが焼きたてのパンを大量に広場へと持ってきてくれた。
「英雄へのおごりだ」
どっしりした声に、ラヴィは口いっぱいにパンを頬張り、幸せそうに笑った。
そして食べ終わったらまた野球や鬼ごっこ、子供の時間は早い。僕も一緒になって遊んでいるとすぐに一日が終わってしまう。楽しい時間は一瞬という事だろうか。
◇◇◇
「ラヴィ、そろそろ帰ろうか」
「うん!また明日も遊びにくるね!」
「ラヴィちゃん!待ってるからねー!」
「いつでも来いよ、次はおじさんがバシーンとホームラン打つからな」
ラヴィの愛嬌に大人たちもデレデレだ。しかし可愛いだけではない、無邪気さの中に気遣いもできる。
もう昔のようなただの可愛いラヴィちゃんではないのである。
「アルキ!今日はお肉がいいなー」
「ラヴィいつもお肉ばっかりだね、でもまぁ…肉食なんだしそりゃそうか」
「アルキのご飯楽しみだなー」
他愛のない会話、しかし大事なひと時。自分の子供……とは違うか、しかしそれと似たような愛情が芽生えているのだろう。ラヴィを見ていると心が温かくなる。
そしていつも通りの帰り道、いつも通りの扉、ラヴィが元気よく手を伸ばすと……。
扉は揺らぎ……静かに閉じた。これは……。
――ゼファルドの時と一緒だ……。
「えっ……」
困惑するラヴィ。僕も同じだ、今まで普通に帰ってこられていたじゃないか。
「……」
「ね、ねぇアルキ!この扉壊れちゃったのかなー、どうしよ!直るまで少しお散歩でもしようよ!」
ラヴィはきっと勘づいている、しかし現実から目を逸らしたいのだろう。声は震え、不安の表情を見せる。
………………。
扉は沈黙を保ったまま、もう二度と開く気配を見せなかった。
「……いやだ……」
ラヴィの小さな手が無機質な壁をを叩く。
「やだよ……開いてよ!まだ、みんなと遊びたいのに!一緒にご飯も食べたいのに……!」
涙が頬を伝い、嗚咽がこぼれる。
無理に笑っていた強がりは、もうどこにもない。
僕はそんなラヴィを抱きしめながら、心の奥で拳を握った。
なぜだ?ラヴィはゼファルドのような決心をしていない。”弱者の庭”からの卒業を決めたわけではないのだ。
これじゃただの家を失ってしまった可哀そうな子供じゃないか……。
――このまま黙ってはいられない。
「ラヴィ、少しここで待ってて」
「やだ! アルキどこ行くの!?一緒にいてよ!」
「必ず戻る。約束する」
言葉に力を込めて、僕は扉を抜けた。
◇◇◇
弱者の庭の中。
仲間たちはいつものように夕食の準備をしていたが、僕の顔を見るなり表情を曇らせる。
「……あの、アルキ……?もしかして」
アリエルが目を伏せ、何かを悟ったように小さく息をついた。
ジークが椅子を蹴って立ち上がる。
「遂に決心したのか……寂しくなるな」
ミレーユは唇を噛み、震える声で言った。
「……ラヴィは大丈夫?泣いてない?」
コヨミはただ唇を噛みしめ、じっとその場に佇んでいた。
「あのさ!ラヴィはまだここに帰ってきたいんだよ!決心なんて付いてない!今だって泣いてるんだ!どうにかしたいんだ!力を貸してよ!」
ゼファルドの時とは違う、こんな結末なんてあんまりだ。僕は声を荒げ、みんなに心の内を吐き出した。
「無理じゃ……一度ここから”無害認定”されてしまった者は二度と帰ってこられぬ」
コヨミの言葉に全員が反応し、視線がコヨミに集中する。
「あの……”無害認定”って……どういう事ですか?」
静寂の中、アリエルが静かに疑問を投げかける。
「言葉の通りじゃよ、この場所は”最強種”であり”危険種”の為の施設じゃからの」
――危険種?何を言っているんだコヨミは。
「コヨミ、何か知ってるの?全部教えてよ」
「そうじゃのう……帰ってきたら話してやろう、じゃが今は外で真竜が泣いておるんじゃろ?早く安心させてやれ、それでラヴィは前に進めるじゃろ………」
初めてラヴィの名前を呼ぶコヨミの顔はとても寂しげで……とても見ていられなかった。
「私……行きます……。いつか私もお外に出るから待っててって……伝えなくちゃ……」
突然のコヨミの話、しかしこの雰囲気で嘘を言う理由がない。なによりコヨミの表情が物語っている。
「俺も行こう、最後では無いがもう一度あの太陽のような笑顔は拝んでおかないとな」
「私も行く!ラヴィを泣かせていられないから」
「よろしく伝えておいて欲しいのじゃ」
全員で入口へ向かうとおもいきや、コヨミだけはその場を動かなかった。
「コヨミは行かないの?毎日髪を整えてあげてたんでしょ」
「それも後で話すのじゃ、ほれ、早く行ってやれ」
――コヨミ……一体お前は何を知っているんだ。
◇◇◇
外の空気に触れると、三人は一瞬だけ躊躇した。
長い間、閉ざされた世界で過ごしてきた彼らにとって、外は未知そのものだ。けれど、彼らは歩みを止めなかった。
――泣いているラヴィのために。
すぐに扉の前で、泣きじゃくるラヴィの姿が見えた。
その顔を見て、三人とも表情を歪める。
「……アリエル!ジーク!ミレーユ!」
ラヴィが飛びつくように駆け寄った。
アリエルはそっとその頭を撫で、微笑む。
「大丈夫です……そんなに泣いて……可愛い顔が台無しですよ」
ジークは拳を軽くラヴィの頭に当てる。
「泣き虫だな。また会えるだろ。……だから笑ってくれ」
ミレーユは抱きしめながら泣き笑いした。
「友達と、いっぱい遊んでね……ラヴィ」
「え……?ラヴィはみんなと一緒に帰るよ……だってラヴィ一人じゃ……寂しいもん……」
何度も壁を叩いたのだろう、手には血が滲んでいる。僕は自分の無力さに苛立ちを覚えた。
「ラヴィ、私たちも頑張って会いにきますから……」
「なんで!なんでお別れみたいに言うの!ラヴィも帰るの!」
泣きじゃくるラヴィを見つめる三人、こんなの……いくらなんでもあんまりだろ……。
すると扉の隙間から小さな封筒が差し出された。
白い便箋に、可愛らしい丸文字でこう書かれている。
――ラヴィへ。
妾はこんな形でしか気持ちを伝えられぬ臆病者じゃ。
けれど心だけは、どこまでもそなたと共にある。
もし泣きそうになったら、この手紙を読め。
そなたは強い。誰よりも強く、そして優しい。
わらわの大切な、ちいさな友よ。
――コヨミ
「……コヨミ……」
ラヴィは便箋を胸に抱きしめ、声を詰まらせた。
やがて、涙を拭い、大きく息を吸う。
震える声で、それでも笑って言った。
「みんな……ありがとう。ラヴィ、がんばる!ラヴィは強いから……いっぱい頑張れる!」
その笑顔は泣き顔と一緒だったけれど――
そこにあったのは、確かな決意だった。
僕はその小さな身体を抱きとめると、急いで弱者の庭へと連れ帰る。
扉を抜けると、仲間たちが待っていた。
「ラヴィが……!」
状況を理解したミレーユが駆け寄り、アリエルとコヨミが魔法と妖術の光で応急処置を施す。ジークは眉をひそめ、腕を組みながらも心配そうに目を細めていた。
ラヴィはそのまま深い眠りについたままだった。
◇◇◇
数時間後
「……ん」
ベッドの上でラヴィが目を開けると、その身体には傷一つ残っていなかった。アリエルの精霊魔法のおかげだろう。起きるなり隣で看病していた僕たち向かって元気な声で話しかける。
「みんな!ラヴィね、かっこいいって言われたんだよ!」」
弾けるような笑顔で飛び起きると、布団の上で身振り手振りを交えながら戦いを語り始める。
「ラヴィがね!ばぁーってなって!黒竜がわぁって逃げて!それでね、友達が『すごい!』って!」
きっと混乱しているのだろう、順番がバラバラだ。
目を輝かせ、子供らしく自慢げに語るラヴィに、みんなも苦笑いしながら耳を傾ける。
その夜は、夕食のあともずっとラヴィの「武勇伝」が続いた。
笑い声と手振りに、弱者の庭は明るい熱気に包まれていた。
◇◇◇
次の日。
朝からラヴィは元気いっぱいで街へと向かう。なんでも「心配してると思うから元気な顔見せなきゃ」という事らしい。なぜかバットとグローブも抱えているがきっと今日は野球で遊びたいのだろう。
元気そのものだが一応病み上がりなので僕も付いていくことにした。
広場に着くと、友達の子供たちが心配そうに待っていた。
「ラヴィちゃん!」
「元気だった!?」
駆け寄る子供たちに、ラヴィは胸を張って笑う。
「うん!ラヴィ、もう大丈夫だよ!」
その姿を見ていた大人たちも、次々に声をかけてくる。
「昨日は助かった。本当にありがとう」
「君がいなければ、街はどうなっていたか……」
「こんなに可愛い子があの竜かい?なんにせよどうもありがとうねぇ」
住民からかけられる確かな感謝の言葉。
ラヴィは耳まで赤くして「えへへ」と笑い、照れ隠しに友達の後ろへと隠れた。
その後は大人たちも参加し、広場での野球大会が始まる。ラヴィは手加減に手加減を重ねてなんとかやっているようだ。そんな様子もまた微笑ましいな。
昼頃になると、パン屋のハルドさんが焼きたてのパンを大量に広場へと持ってきてくれた。
「英雄へのおごりだ」
どっしりした声に、ラヴィは口いっぱいにパンを頬張り、幸せそうに笑った。
そして食べ終わったらまた野球や鬼ごっこ、子供の時間は早い。僕も一緒になって遊んでいるとすぐに一日が終わってしまう。楽しい時間は一瞬という事だろうか。
◇◇◇
「ラヴィ、そろそろ帰ろうか」
「うん!また明日も遊びにくるね!」
「ラヴィちゃん!待ってるからねー!」
「いつでも来いよ、次はおじさんがバシーンとホームラン打つからな」
ラヴィの愛嬌に大人たちもデレデレだ。しかし可愛いだけではない、無邪気さの中に気遣いもできる。
もう昔のようなただの可愛いラヴィちゃんではないのである。
「アルキ!今日はお肉がいいなー」
「ラヴィいつもお肉ばっかりだね、でもまぁ…肉食なんだしそりゃそうか」
「アルキのご飯楽しみだなー」
他愛のない会話、しかし大事なひと時。自分の子供……とは違うか、しかしそれと似たような愛情が芽生えているのだろう。ラヴィを見ていると心が温かくなる。
そしていつも通りの帰り道、いつも通りの扉、ラヴィが元気よく手を伸ばすと……。
扉は揺らぎ……静かに閉じた。これは……。
――ゼファルドの時と一緒だ……。
「えっ……」
困惑するラヴィ。僕も同じだ、今まで普通に帰ってこられていたじゃないか。
「……」
「ね、ねぇアルキ!この扉壊れちゃったのかなー、どうしよ!直るまで少しお散歩でもしようよ!」
ラヴィはきっと勘づいている、しかし現実から目を逸らしたいのだろう。声は震え、不安の表情を見せる。
………………。
扉は沈黙を保ったまま、もう二度と開く気配を見せなかった。
「……いやだ……」
ラヴィの小さな手が無機質な壁をを叩く。
「やだよ……開いてよ!まだ、みんなと遊びたいのに!一緒にご飯も食べたいのに……!」
涙が頬を伝い、嗚咽がこぼれる。
無理に笑っていた強がりは、もうどこにもない。
僕はそんなラヴィを抱きしめながら、心の奥で拳を握った。
なぜだ?ラヴィはゼファルドのような決心をしていない。”弱者の庭”からの卒業を決めたわけではないのだ。
これじゃただの家を失ってしまった可哀そうな子供じゃないか……。
――このまま黙ってはいられない。
「ラヴィ、少しここで待ってて」
「やだ! アルキどこ行くの!?一緒にいてよ!」
「必ず戻る。約束する」
言葉に力を込めて、僕は扉を抜けた。
◇◇◇
弱者の庭の中。
仲間たちはいつものように夕食の準備をしていたが、僕の顔を見るなり表情を曇らせる。
「……あの、アルキ……?もしかして」
アリエルが目を伏せ、何かを悟ったように小さく息をついた。
ジークが椅子を蹴って立ち上がる。
「遂に決心したのか……寂しくなるな」
ミレーユは唇を噛み、震える声で言った。
「……ラヴィは大丈夫?泣いてない?」
コヨミはただ唇を噛みしめ、じっとその場に佇んでいた。
「あのさ!ラヴィはまだここに帰ってきたいんだよ!決心なんて付いてない!今だって泣いてるんだ!どうにかしたいんだ!力を貸してよ!」
ゼファルドの時とは違う、こんな結末なんてあんまりだ。僕は声を荒げ、みんなに心の内を吐き出した。
「無理じゃ……一度ここから”無害認定”されてしまった者は二度と帰ってこられぬ」
コヨミの言葉に全員が反応し、視線がコヨミに集中する。
「あの……”無害認定”って……どういう事ですか?」
静寂の中、アリエルが静かに疑問を投げかける。
「言葉の通りじゃよ、この場所は”最強種”であり”危険種”の為の施設じゃからの」
――危険種?何を言っているんだコヨミは。
「コヨミ、何か知ってるの?全部教えてよ」
「そうじゃのう……帰ってきたら話してやろう、じゃが今は外で真竜が泣いておるんじゃろ?早く安心させてやれ、それでラヴィは前に進めるじゃろ………」
初めてラヴィの名前を呼ぶコヨミの顔はとても寂しげで……とても見ていられなかった。
「私……行きます……。いつか私もお外に出るから待っててって……伝えなくちゃ……」
突然のコヨミの話、しかしこの雰囲気で嘘を言う理由がない。なによりコヨミの表情が物語っている。
「俺も行こう、最後では無いがもう一度あの太陽のような笑顔は拝んでおかないとな」
「私も行く!ラヴィを泣かせていられないから」
「よろしく伝えておいて欲しいのじゃ」
全員で入口へ向かうとおもいきや、コヨミだけはその場を動かなかった。
「コヨミは行かないの?毎日髪を整えてあげてたんでしょ」
「それも後で話すのじゃ、ほれ、早く行ってやれ」
――コヨミ……一体お前は何を知っているんだ。
◇◇◇
外の空気に触れると、三人は一瞬だけ躊躇した。
長い間、閉ざされた世界で過ごしてきた彼らにとって、外は未知そのものだ。けれど、彼らは歩みを止めなかった。
――泣いているラヴィのために。
すぐに扉の前で、泣きじゃくるラヴィの姿が見えた。
その顔を見て、三人とも表情を歪める。
「……アリエル!ジーク!ミレーユ!」
ラヴィが飛びつくように駆け寄った。
アリエルはそっとその頭を撫で、微笑む。
「大丈夫です……そんなに泣いて……可愛い顔が台無しですよ」
ジークは拳を軽くラヴィの頭に当てる。
「泣き虫だな。また会えるだろ。……だから笑ってくれ」
ミレーユは抱きしめながら泣き笑いした。
「友達と、いっぱい遊んでね……ラヴィ」
「え……?ラヴィはみんなと一緒に帰るよ……だってラヴィ一人じゃ……寂しいもん……」
何度も壁を叩いたのだろう、手には血が滲んでいる。僕は自分の無力さに苛立ちを覚えた。
「ラヴィ、私たちも頑張って会いにきますから……」
「なんで!なんでお別れみたいに言うの!ラヴィも帰るの!」
泣きじゃくるラヴィを見つめる三人、こんなの……いくらなんでもあんまりだろ……。
すると扉の隙間から小さな封筒が差し出された。
白い便箋に、可愛らしい丸文字でこう書かれている。
――ラヴィへ。
妾はこんな形でしか気持ちを伝えられぬ臆病者じゃ。
けれど心だけは、どこまでもそなたと共にある。
もし泣きそうになったら、この手紙を読め。
そなたは強い。誰よりも強く、そして優しい。
わらわの大切な、ちいさな友よ。
――コヨミ
「……コヨミ……」
ラヴィは便箋を胸に抱きしめ、声を詰まらせた。
やがて、涙を拭い、大きく息を吸う。
震える声で、それでも笑って言った。
「みんな……ありがとう。ラヴィ、がんばる!ラヴィは強いから……いっぱい頑張れる!」
その笑顔は泣き顔と一緒だったけれど――
そこにあったのは、確かな決意だった。
21
あなたにおすすめの小説
極限効率の掃除屋 ――レベル15、物理だけで理を解体する――
銀雪 華音
ファンタジー
「レベル15か? ゴミだな」
世界は男を笑い、男は世界を「解体」した。
魔力も才能も持たず、万年レベル15で停滞する掃除屋、トワ。
彼が十年の歳月を費やして辿り着いたのは、魔法という神秘を物理現象へと引きずり下ろす、狂気的なまでの**『極限効率』**だった。
一万回の反復が生み出す、予備動作ゼロの打撃。
構造の隙間を分子レベルで突く、不可視の解体。
彼にとって、レベル100超えの魔物も、神の加護を受けた聖騎士も、ただの「非効率な肉の塊」に過ぎない。
「レベルは恩恵じゃない……。人類を飼い慣らすための『制限(リミッター)』だ」
暴かれる世界の嘘。動き出すシステムの簒奪者。
管理者が定めた数値(レベル)という鎖を、たった一振りのナイフで叩き切る。
これは、最弱の掃除屋が「論理」という名の剣で、世界の理(バグ)を修正する物語。気になる方は読んでみてください。
※アルファポリスで先行で公開されます。
35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~
月神世一
ファンタジー
紹介文
「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」
そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。
失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。
「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」
手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。
電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。
さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!?
森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、
罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、
競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。
これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。
……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!
Shining Rhapsody 〜神に転生した料理人〜
橘 霞月
ファンタジー
異世界へと転生した有名料理人は、この世界では最強でした。しかし自分の事を理解していない為、自重無しの生活はトラブルだらけ。しかも、いつの間にかハーレムを築いてます。平穏無事に、夢を叶える事は出来るのか!?
アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~
eggy
ファンタジー
もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。
村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。
ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。
しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。
まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。
幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。
「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。
そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。
カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。
やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。
魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。
これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。
エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。
第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。
旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。
ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載
見習い動物看護師最強ビーストテイマーになる
盛平
ファンタジー
新米動物看護師の飯野あかりは、車にひかれそうになった猫を助けて死んでしまう。異世界に転生したあかりは、動物とお話ができる力を授かった。動物とお話ができる力で霊獣やドラゴンを助けてお友達になり、冒険の旅に出た。ハンサムだけど弱虫な勇者アスランと、カッコいいけどうさん臭い魔法使いグリフも仲間に加わり旅を続ける。小説家になろうさまにもあげています。
異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない
葉泪秋
ファンタジー
「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー)
ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。
神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。
そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。
ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。
早く穏やかに暮らしたい。
俺は今日も、規格外に育った野菜を手、皆の姿を眺めている。
【毎日18:00更新】
※表紙画像はAIを使用しています
チートツール×フールライフ!~女神から貰った能力で勇者選抜されたので頑張ってラスダン前まで来たら勇者にパーティ追放されたので復讐します~
黒片大豆
ファンタジー
「お前、追放な。田舎に帰ってゆっくりしてろ」
女神の信託を受け、勇者のひとりとして迎えられた『アイサック=ベルキッド』。
この日、勇者リーダーにより追放が宣告され、そのゴシップニュースは箝口令解除を待って、世界中にバラまかれることとなった。
『勇者道化師ベルキッド、追放される』
『サック』は田舎への帰り道、野党に襲われる少女『二オーレ』を助け、お礼に施しを受ける。しかしその家族には大きな秘密があり、サックの今後の運命を左右することとなった。二オーレとの出会いにより、新たに『女神への復讐』の選択肢が生まれたサックは、女神へのコンタクト方法を探る旅に目的を変更し、その道中、ゴシップ記事を飛ばした記者や、暗殺者の少女、元勇者の同僚との出会いを重ね、魔王との決戦時に女神が現れることを知る。そして一度は追放された身でありながら、彼は元仲間たちの元へむかう。本気で女神を一発ぶん殴る──ただそれだけのために。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる