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第14話 温泉騒動と勇者の勲章
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「いいか?絶対にタオルは巻けよ?」
「仕方ないのう…」
「うん!アルキとおんせん!約束は守る!」
二人との温泉、初めは先に入って良いよと促したがコヨミは言うまでも無く反対。それだけなら突っぱねるところだがラヴィがどうしても一緒に入りたいと言うので約束をしたのだ。
「なんでお主はそこまでガードが硬いのじゃ?別に良いではないか。ラッキーくらいに思えば」
「羞恥心とかプライドだよ。そんなくだらないものでも僕には大事な事なの!」
僕も男だ。興味が無い訳は無いし欲望に身を任せれば楽になるだろうとも思う。しかし出会って数日で手を出すような事は出来ない。
触れた瞬間に関係が変わり戻れなくなる事もある。安易に手を出して責任を取れるほど僕は成熟していないんだ。
「はぁ…まぁ良かろう。タオルじゃな、ほれ、真竜もタオルじゃ、妾が手伝ってやろう」
「うん!お願い!」
「じゃあ先に入ってろよー、僕は少ししたら入るから」
「逃げる事は許さんのじゃ」
「待ってるねー!」
少し待って脱衣所に戻ると二人はもう温泉に向かったようだ。僕も服を畳み、しっかりと隠すものを隠して温泉の扉を開く。
少し肌寒い風が吹き湯気が静かに舞い上がる、露天風呂か…風流なもんだ。
「アルキー!早くおいでよー!気持ちいいよー!
「あいよー、今行くよ」
「やはり温泉は良いものじゃ…疲れが吹き飛ぶのう…」
ラヴィとコヨミは仲良く肩を並べて温泉に浸かっている。コヨミも案外大人しいな。
身体の泥を流し石鹸で頭も洗う、そして温泉…これから毎日のように温泉に入れるのだ。テンションも上がる。
二人から少し離れた場所を選びゆっくり肩まで浸かる。温度は少し熱いくらいか。
「なんじゃ…随分と遠くじゃのう…寂しいもんじゃ…」
「ちょうど良い距離感だよ」
「なんじゃ…つれないのう……」
コヨミが湯の中でふわりと笑い、ラヴィはプカプカと浮いて遊んでいる。
――こんな平和がずっと続くのか?そんな不安と期待が入り混じった感情が不意に押し寄せてきた。
「随分と神妙な顔をしておるのう」
「温泉気持ち良くない…?」
「ん、いや気持ち良くてちょっとぼーっとしちゃったんだよ」
「なんじゃ、じゃあそろそろポロリかテロリくらい見せてやるかの」
「テロリってなんだよ、とりあえずやめてくれ」
「ダメなんだよコヨミ!男の人に裸を見せたら信用出来なくなるんだから!」
ラヴィも上手い事言うな。言い得て妙だ。
「そうかのう、妾は見せる事が信頼だと思うのじゃが?まぁ…」
コヨミは視線を落とし、少しだけ口を綻ばせながら続ける。
「昔もこんな事をして怒られた事があったのう…ふふっ…懐かしいのう…」
少しだけ寂しそうなコヨミの表情は…温泉の湯気の中とても儚げに映った……。
「アルキ…パンは…あとここは…温泉?」
「うわっ!!」
急に現れたミレーユに驚く、移動が早いのか空間でも転移しているのか…どちらにせよ速すぎる。
「おや、勇者ではないか、お主も温泉に入りたくなったのか?随分と風呂に入っておらんじゃろ?」
「ミレーユだ!お外に出てるの初めて見たかも!」
ラヴィだって最近部屋を出るようになったけど似たようなもんだったよね。
「今日はパンの日…楽しみにしてたのに…」
「あるよ!パンあるよ!色々あって届けられなかっただけで温泉出たら届けるよ!」
「勇者も入って行けばよかろう、風呂上がりのミルクとパンは最高じゃぞ?温まった身体に冷えたミルクを流し込んでのう、パンをひと齧り、そしてまたミルクじゃ」
「なにそれ!ラヴィもそれやる!!」
いやいや、ミレーユはパンだけ食べたいんだからそんなミルクがどうの言ったって…。
「なにそれ!私もそれやる!!」
まじ…?そんなので風呂入るの?
テンションが上がったミレーユはそそくさとジャージを脱ぎ捨てる。僕は慌てて後ろを向いた。
「勇者お主…そこで待っておれ…妾が洗ってやるのじゃ…そのまま温泉に浸かる事は許さん」
「ラヴィも手伝う!ミレーユの身体洗ってあげる!」
「いやそれより温まってミルクとパンを…」
「問答無用じゃ!!」
「なのじゃ!!」
遠目に見てもそんなに汚かったのか?数年風呂に入らない人間の身体には興味があったが好奇心に任せて女の子の裸を見るのは違う。すごい気になるけど!
見ていないと言っても洗い場に向かった三人の声は聞こえる。
「なんじゃ…何層あるんじゃお主の皮膚…」
層!?地層とダンジョンでしか聞かない単語!
「髪の毛も全然泡立たないよー、なんかネトネトするよー!」
大丈夫かラヴィ!僕は今絶対触りたく無いって思ったぞ!
数十分経っただろうか…やっと洗い終わったらしく温泉に向かってくるが僕はもう限界だ。のぼせちまう。
「ちょっと僕はもう出るよ、先に外で待ってる…か…ら……」
振り返り目の前には身体を洗い綺麗になったミレーユ…透き通った緑の瞳…濡れてストンと真っ直ぐに落ちる美しい栗色の髪の毛。
「おぉ!勇者にタオルを巻くのを忘れておったのう…」
すらっと伸びた長い足、引き締まった腹筋、母性を感じる大きめの胸…でもそんな事より…。
「ミレーユ、そ、その…」
身体中に走る傷跡――斬られた痕、焼かれた痕、貫かれた痕…そのどれもがミレーユがどれほど過酷な戦場で生き抜いてきたかという証…。
僕の視線に気が付きミレーユは静かに語る。
「大丈夫…それにこれは私の誇りなの。戦ってきた記憶…みんな私が戦った事を忘れても…この傷だけは私が戦った事を覚えている。私の大事な…私が勇者としてやってきた証なの…」
胸元の傷を触りながら語るその言葉は疑う余地もなく…勇者ミレーユの心の声だった。
………………。
「これこれこれぇ!そしてミルク!くぅ~っ!たまらない!」
風呂上がり、ミレーユは早速パンを齧りながらミルクを飲み干す。正直風呂上がりにパンはどうかと思うんだけど。
「しっかし風呂だけで変わるもんじゃのう」
「ねー!ミレーユ綺麗になったね!」
「結構気持ちよかった!また明日も入ろうかな!それにしてもパンとミルク!たまらないなぁ!」
風呂キャンセル界隈卒業?案外あっさりだったが…あとはあの部室みたいな部屋も片付けような…。
「仕方ないのう…」
「うん!アルキとおんせん!約束は守る!」
二人との温泉、初めは先に入って良いよと促したがコヨミは言うまでも無く反対。それだけなら突っぱねるところだがラヴィがどうしても一緒に入りたいと言うので約束をしたのだ。
「なんでお主はそこまでガードが硬いのじゃ?別に良いではないか。ラッキーくらいに思えば」
「羞恥心とかプライドだよ。そんなくだらないものでも僕には大事な事なの!」
僕も男だ。興味が無い訳は無いし欲望に身を任せれば楽になるだろうとも思う。しかし出会って数日で手を出すような事は出来ない。
触れた瞬間に関係が変わり戻れなくなる事もある。安易に手を出して責任を取れるほど僕は成熟していないんだ。
「はぁ…まぁ良かろう。タオルじゃな、ほれ、真竜もタオルじゃ、妾が手伝ってやろう」
「うん!お願い!」
「じゃあ先に入ってろよー、僕は少ししたら入るから」
「逃げる事は許さんのじゃ」
「待ってるねー!」
少し待って脱衣所に戻ると二人はもう温泉に向かったようだ。僕も服を畳み、しっかりと隠すものを隠して温泉の扉を開く。
少し肌寒い風が吹き湯気が静かに舞い上がる、露天風呂か…風流なもんだ。
「アルキー!早くおいでよー!気持ちいいよー!
「あいよー、今行くよ」
「やはり温泉は良いものじゃ…疲れが吹き飛ぶのう…」
ラヴィとコヨミは仲良く肩を並べて温泉に浸かっている。コヨミも案外大人しいな。
身体の泥を流し石鹸で頭も洗う、そして温泉…これから毎日のように温泉に入れるのだ。テンションも上がる。
二人から少し離れた場所を選びゆっくり肩まで浸かる。温度は少し熱いくらいか。
「なんじゃ…随分と遠くじゃのう…寂しいもんじゃ…」
「ちょうど良い距離感だよ」
「なんじゃ…つれないのう……」
コヨミが湯の中でふわりと笑い、ラヴィはプカプカと浮いて遊んでいる。
――こんな平和がずっと続くのか?そんな不安と期待が入り混じった感情が不意に押し寄せてきた。
「随分と神妙な顔をしておるのう」
「温泉気持ち良くない…?」
「ん、いや気持ち良くてちょっとぼーっとしちゃったんだよ」
「なんじゃ、じゃあそろそろポロリかテロリくらい見せてやるかの」
「テロリってなんだよ、とりあえずやめてくれ」
「ダメなんだよコヨミ!男の人に裸を見せたら信用出来なくなるんだから!」
ラヴィも上手い事言うな。言い得て妙だ。
「そうかのう、妾は見せる事が信頼だと思うのじゃが?まぁ…」
コヨミは視線を落とし、少しだけ口を綻ばせながら続ける。
「昔もこんな事をして怒られた事があったのう…ふふっ…懐かしいのう…」
少しだけ寂しそうなコヨミの表情は…温泉の湯気の中とても儚げに映った……。
「アルキ…パンは…あとここは…温泉?」
「うわっ!!」
急に現れたミレーユに驚く、移動が早いのか空間でも転移しているのか…どちらにせよ速すぎる。
「おや、勇者ではないか、お主も温泉に入りたくなったのか?随分と風呂に入っておらんじゃろ?」
「ミレーユだ!お外に出てるの初めて見たかも!」
ラヴィだって最近部屋を出るようになったけど似たようなもんだったよね。
「今日はパンの日…楽しみにしてたのに…」
「あるよ!パンあるよ!色々あって届けられなかっただけで温泉出たら届けるよ!」
「勇者も入って行けばよかろう、風呂上がりのミルクとパンは最高じゃぞ?温まった身体に冷えたミルクを流し込んでのう、パンをひと齧り、そしてまたミルクじゃ」
「なにそれ!ラヴィもそれやる!!」
いやいや、ミレーユはパンだけ食べたいんだからそんなミルクがどうの言ったって…。
「なにそれ!私もそれやる!!」
まじ…?そんなので風呂入るの?
テンションが上がったミレーユはそそくさとジャージを脱ぎ捨てる。僕は慌てて後ろを向いた。
「勇者お主…そこで待っておれ…妾が洗ってやるのじゃ…そのまま温泉に浸かる事は許さん」
「ラヴィも手伝う!ミレーユの身体洗ってあげる!」
「いやそれより温まってミルクとパンを…」
「問答無用じゃ!!」
「なのじゃ!!」
遠目に見てもそんなに汚かったのか?数年風呂に入らない人間の身体には興味があったが好奇心に任せて女の子の裸を見るのは違う。すごい気になるけど!
見ていないと言っても洗い場に向かった三人の声は聞こえる。
「なんじゃ…何層あるんじゃお主の皮膚…」
層!?地層とダンジョンでしか聞かない単語!
「髪の毛も全然泡立たないよー、なんかネトネトするよー!」
大丈夫かラヴィ!僕は今絶対触りたく無いって思ったぞ!
数十分経っただろうか…やっと洗い終わったらしく温泉に向かってくるが僕はもう限界だ。のぼせちまう。
「ちょっと僕はもう出るよ、先に外で待ってる…か…ら……」
振り返り目の前には身体を洗い綺麗になったミレーユ…透き通った緑の瞳…濡れてストンと真っ直ぐに落ちる美しい栗色の髪の毛。
「おぉ!勇者にタオルを巻くのを忘れておったのう…」
すらっと伸びた長い足、引き締まった腹筋、母性を感じる大きめの胸…でもそんな事より…。
「ミレーユ、そ、その…」
身体中に走る傷跡――斬られた痕、焼かれた痕、貫かれた痕…そのどれもがミレーユがどれほど過酷な戦場で生き抜いてきたかという証…。
僕の視線に気が付きミレーユは静かに語る。
「大丈夫…それにこれは私の誇りなの。戦ってきた記憶…みんな私が戦った事を忘れても…この傷だけは私が戦った事を覚えている。私の大事な…私が勇者としてやってきた証なの…」
胸元の傷を触りながら語るその言葉は疑う余地もなく…勇者ミレーユの心の声だった。
………………。
「これこれこれぇ!そしてミルク!くぅ~っ!たまらない!」
風呂上がり、ミレーユは早速パンを齧りながらミルクを飲み干す。正直風呂上がりにパンはどうかと思うんだけど。
「しっかし風呂だけで変わるもんじゃのう」
「ねー!ミレーユ綺麗になったね!」
「結構気持ちよかった!また明日も入ろうかな!それにしてもパンとミルク!たまらないなぁ!」
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