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本編
14、埋まるピース
しおりを挟む流石に正樹の初めてが保健室なんて可愛そうだ。
そう思い、理性を総動員して迎えの車を寄越し、誰にも見られないように正樹を車に乗せて家に向かった。
正樹は俺の香りに当てられて、意識を上手く保てないようだった。可哀想に、フェロモンにのまれないようにと必死に抗う姿を見ていたけど、でも今は流されて欲しい。抱き抱えられている正樹は、呼吸を苦しそうにして、何かにずっと耐えているようだった。
体は正直で、可愛い香りをずっと俺に向けているし、シャツの下の乳首は立ち上がり、ズボンは本当にキツそうだった。でも車の中では、俺は正樹を抱えるだけで決定的な何かを与えなかった。
今少しでも始めてしまったら、抑えられない。
家に着くとまっさきに俺の部屋へと向かった。ちょうど両親は海外出張中で家にいないので煩わしいこともなかったが、使用人には俺の番のヒートだと伝えた。皆驚いている、それはそうだろう、両親すらも俺がオメガと付き合うことはもう無理だろうと諦めていたのだから。
使用人たちは、驚いていても嬉しそうだった。
「正樹、大丈夫か? よく耐えたな、もう無理に我慢する必要はない」
「西条、西条っ」
「どうした?」
「辛い、からだ、あついっ」
先ほどまでは必死に耐えていて、まだ少し理性を感じたが、二人きりになった途端、正樹のフェロモンの香りに包まれた。色っぽく誘う目に、俺の欲望もはち切れんばかりに限界を迎えていた。
すぐにでも挿れたい
「そんな目で見られたらたまらないな。ほら服を脱がすから、そのまま全てを俺に委ねればいい。そうすれば体の熱さも……」
「西条に全て任せるっ!! お願いっ早くっ」
正樹は自分の意思では会話が成り立たなくなっているオメガと化した。ただひたすらに俺を求め、俺にすがりつく。そんなオメガを煩わしいと今まで思っていたのが嘘のように、俺を求める目の前のオメガが可愛くて仕方なかった。
正樹から俺に触ってくる、オメガ性を感じても嫌悪など微塵も感じない。むしろ俺の心も体も喜びしかない。こいつは俺の番だ!!
「あっ、あついっ、西条っ、ふあっ」
「ふふっ、正樹っ。そんなにくっついたら服が脱がせられないぞ、ほら、離して?」
「あっ、ごめっ、」
「キス、していいか?」
「えっ、きす?」
俺は正樹の顔を手で包み込み、目をまっすぐ見た。欲望に濡れた瞳は少し潤んでいたので、そのまま顔を近づけて唇に触れるところで、正樹が不意に、顔をそらした、そして涙を流した。
「それ、は……だめ」
「どうして?」
「はあっ、はあっ、キスは好きな人とじゃなきゃ……」
ヒートに入っているのにそこだけは、必死に抵抗をしている。
俺のこと好きじゃないのは、まぁわかる。
正樹にとっては今日いきなり初対面を果たして、しかもヒート中だ。いきなり俺を好きになれという方がおかしい。でも、これはおかしくない。だって、どう考えても正樹は俺の番になるべきオメガだ。
どうしよう……ここで俺が正樹を好きと告白して、このまま引かれでもしたら。今から他のアルファとヒートを収めるとでも言われたら俺は辛い。それに正樹の了承を取れなくなった場合、無理やりにでも関係を結んだらあの櫻井と一緒になってしまう。
告白して正樹と付き合って、順番を踏んできちんと初夜を迎えたかったけど、今はそれどころじゃない。正樹がヒートの相手としてだけでも俺を選んでくれた、このチャンスを逃すわけにはいかない!!
今はただの性欲処理の為のアルファ、正樹にとって俺はその場にいた、ただの都合のいいアルファ。
悔しいけど、それでも正樹と接点が持てただけでも満足しないとだめだ。俺、今はこれ以上望むな! 正樹が体だけでも俺を受け入れてくれたならそれでいい! 俺の思いは正樹には関係ない。俺は棒、俺は棒、正樹に都合のいい肉棒。呪文のように言い聞かせて冷静さを保った。
「正樹は俺が嫌い?」
「すき」
そこは驚きの即答だった。
好き、なのか?
言われた瞬間自分の顔が絶対不自然なくらいにやけたと思う。単純に嬉しかった。これはオメガのヒートが言わせている? それでもいい、あんなに嫌だと思った本能からの欲望、それすらももうどうでもいい。正樹が俺を好きだというのがオメガからくる言葉だろうと、今はそれでいい。
「じゃあ、キスしていいよね?」
「だめ」
「どうして、好きならキスしたい」
「ダメ、しないで。そんなことより、西条っ、お願いはやく俺にそれを挿れて」
キスはダメだと言いながらも、ズボンの中で窮屈そうにしている俺の愚息を撫でてくる。な、な、なんてエロ可愛い行動をするんだ!?
肉欲に支配された頭ではコレを挿れられることしか考えられないのだろう、キスはまた発情が明けてから了承をとればいいか!
「正樹、煽るな、じゃあ遠慮なく抱くから」
いいよね? いいんだよね? やっちゃうぞ!
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