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1章 囚われた生活
1.9 無事に6歳になりました
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6歳の秋。なんと今年は魔力枯渇に陥っていない。助かった。
この冬の間、ここに住む平民の多くは暖かい土地へ移動させたようだ。この地に残ったのは僅かな人員だけだった。いつもどおりの冬。
そして春になると沢山の人が戻ってきた。去年一緒だった平民のエリーだけでなく今年は5人も女性がいる。そして男は倍ぐらい10名前後に増えた。
かなりの大所帯となった。エリーは去年も厨房の手伝いをしていたが今年は厨房専属になるらしいので、エリックがいろいろと教えている。
そして新旧含め平民の皆が声をそろえてダーヴィッドの事を誉めていた。
「クリスト様は、ダーヴィッド様の息子様ですよね。あのように立派なお方にお使えできて大変嬉しく思っています」
新しく来た男性にそういわれた。
どうみても似てないし。もちろん子供では無いと否定する。
「ウルレアール様を妻のような者だと紹介されたので、ウルレアール様の息子であるクリスト様はダーヴィッド様の息子だと思ってのです。勘違いですか。申し訳ありません。ですが貴族でありながら小さい身なりでお手伝いをされて、とても偉いですね。貴族と共に生きる土地で暮らしたことがありますが、このようなことまでされている方は見たことがありません。皆も口々にこの地が富んでいるのはウルレアール様と息子であるクリスト様の魔力があるからだと言っていました。私がどの程度お役に立てるかわかりませんが、できる限りの事をさせていただきたいと思っておりますので、なにか出来る事があればお声かけ下さい」
大変丁寧な言葉をかけられ、僕の前から立ち去っていったビッシュルと言う男性。エリーの父親だ。それほどダーヴィッドに感謝していたとは驚きだ。
ママに相談したら外の平民とはあまり口を聞いてはいけない。ダーヴィッドが見ると叱られる可能性があるので、厨房のエリックとエリー以外は話しかけられても無視するように言われた。
そして、夏。7歳になる頃。
「魔獣だ。大型の魔獣が来た。みんな武器を出せ」
屋敷中に声が響いた。だが今日はダーヴィッドがいないらしい。ダーヴィッドの腹心らしく男含めここの最大戦力5名がいない。
ママが、僕の手を引いて、ロビーに来た。
「クリスト。魔獣を倒せない場合は逃げますよ。私の手を離してはダメよ」
僕は、かあさまを見上げてうなずくが、ここの平民達を放置して逃げて良いのだろうか。
いつの間にか僕の後ろに武器を持ったエリックがいる。
「エリックも戦うの?」
「私は坊ちゃんの近くで守ります。命をかけてお守りしますので安心してください」
ママがエリックを見てうなずいてから声をかけた。
「そうね。魔法を使えない私よりはあなたの方が力になれますね。エリック、クリストをお願いね。せめて守りの指輪があれば。残念だわ」
「守りの指輪ですか?」
「ええ、貴族が魔法を使うには魔石が必要なのよ。色のついた魔石があれば魔法を使えるわ」
「エリック、このまえ処理した魔魚から黄色の魔石が出たよね。あれはどこにあるの」
「あ、厨房にあります。ですが小さいですよ」
「取りに行きましょう、くずでも無いよりはマシよ」
厨房に行ってエリックはママに魔石を渡した。
「あまり何回も仕える物ではないわね。クリスト、手伝ってくれる。あなたの魔力があればかなり大きな守りの結界が作れるわ。一旦外に追い出せればダーヴィッド達が戻ってくるのを待った方がよいわ」
僕らは、魔物のいるほうへ向かい裏口から外に出る。
大型の熊のような魔獣と平民達がにらみ合っているのが見えた。まだどちらも警戒しあっていて戦闘は始まっていない。
「あなたが魔石を持って、その上から私が魔法を使うわ」
そう言ってウルレアールが呪文を詠唱した。それほど長い言葉ではなかった。残念ながら口元で言った言葉ははっきりとは聞こえなかった。
魔法が発動し、魔獣に黄色い壁が当たる。壁は魔獣に当たるとそのままどんどん外へ向かって行った。魔獣が壁を押し返そうとすると僕の魔力に反発する様な印象がある。暫く押し合いが続いたが徐々に魔獣が押されて姿が見えなくなった。
どうやらその後、諦めたのか別の場所に向かったらしい。
とりあえず危機を脱したようだ。その後で魔石は壊れた。やはり1回しか使えなかったようだ。
ダーヴィッドが戻ってきた。他の人から報告があったらしく、僕らは怒られることはなかったが、魔石を見つけたら隠さずに出すように注意を受けただけだった。
やはりダーヴィッドはやさしくなってきている気がする。
よく考えるとダーヴィッドの仕事は暗殺だ。誘拐ではない。もしかしたら赤ん坊の僕を暗殺する仕事だったが殺すことが出来ずに誘拐したのか?
監禁されているが、割と自由に動いているし、ご飯もきちんと食べている。恐らく年相応の体型に成長している。特別、酷い服を着ているわけでもない。3日に1回は体もお湯で拭いているから臭くはない。
もしかしたらダーヴィッドはそれほど悪い人間では無いのかも知れない。そう思いはじめたが、魔力枯渇に何度も陥ったことを考えると、それも肯定できない。
まあ、ダーヴィッドの事は考えるだけ無駄だな。
この冬の間、ここに住む平民の多くは暖かい土地へ移動させたようだ。この地に残ったのは僅かな人員だけだった。いつもどおりの冬。
そして春になると沢山の人が戻ってきた。去年一緒だった平民のエリーだけでなく今年は5人も女性がいる。そして男は倍ぐらい10名前後に増えた。
かなりの大所帯となった。エリーは去年も厨房の手伝いをしていたが今年は厨房専属になるらしいので、エリックがいろいろと教えている。
そして新旧含め平民の皆が声をそろえてダーヴィッドの事を誉めていた。
「クリスト様は、ダーヴィッド様の息子様ですよね。あのように立派なお方にお使えできて大変嬉しく思っています」
新しく来た男性にそういわれた。
どうみても似てないし。もちろん子供では無いと否定する。
「ウルレアール様を妻のような者だと紹介されたので、ウルレアール様の息子であるクリスト様はダーヴィッド様の息子だと思ってのです。勘違いですか。申し訳ありません。ですが貴族でありながら小さい身なりでお手伝いをされて、とても偉いですね。貴族と共に生きる土地で暮らしたことがありますが、このようなことまでされている方は見たことがありません。皆も口々にこの地が富んでいるのはウルレアール様と息子であるクリスト様の魔力があるからだと言っていました。私がどの程度お役に立てるかわかりませんが、できる限りの事をさせていただきたいと思っておりますので、なにか出来る事があればお声かけ下さい」
大変丁寧な言葉をかけられ、僕の前から立ち去っていったビッシュルと言う男性。エリーの父親だ。それほどダーヴィッドに感謝していたとは驚きだ。
ママに相談したら外の平民とはあまり口を聞いてはいけない。ダーヴィッドが見ると叱られる可能性があるので、厨房のエリックとエリー以外は話しかけられても無視するように言われた。
そして、夏。7歳になる頃。
「魔獣だ。大型の魔獣が来た。みんな武器を出せ」
屋敷中に声が響いた。だが今日はダーヴィッドがいないらしい。ダーヴィッドの腹心らしく男含めここの最大戦力5名がいない。
ママが、僕の手を引いて、ロビーに来た。
「クリスト。魔獣を倒せない場合は逃げますよ。私の手を離してはダメよ」
僕は、かあさまを見上げてうなずくが、ここの平民達を放置して逃げて良いのだろうか。
いつの間にか僕の後ろに武器を持ったエリックがいる。
「エリックも戦うの?」
「私は坊ちゃんの近くで守ります。命をかけてお守りしますので安心してください」
ママがエリックを見てうなずいてから声をかけた。
「そうね。魔法を使えない私よりはあなたの方が力になれますね。エリック、クリストをお願いね。せめて守りの指輪があれば。残念だわ」
「守りの指輪ですか?」
「ええ、貴族が魔法を使うには魔石が必要なのよ。色のついた魔石があれば魔法を使えるわ」
「エリック、このまえ処理した魔魚から黄色の魔石が出たよね。あれはどこにあるの」
「あ、厨房にあります。ですが小さいですよ」
「取りに行きましょう、くずでも無いよりはマシよ」
厨房に行ってエリックはママに魔石を渡した。
「あまり何回も仕える物ではないわね。クリスト、手伝ってくれる。あなたの魔力があればかなり大きな守りの結界が作れるわ。一旦外に追い出せればダーヴィッド達が戻ってくるのを待った方がよいわ」
僕らは、魔物のいるほうへ向かい裏口から外に出る。
大型の熊のような魔獣と平民達がにらみ合っているのが見えた。まだどちらも警戒しあっていて戦闘は始まっていない。
「あなたが魔石を持って、その上から私が魔法を使うわ」
そう言ってウルレアールが呪文を詠唱した。それほど長い言葉ではなかった。残念ながら口元で言った言葉ははっきりとは聞こえなかった。
魔法が発動し、魔獣に黄色い壁が当たる。壁は魔獣に当たるとそのままどんどん外へ向かって行った。魔獣が壁を押し返そうとすると僕の魔力に反発する様な印象がある。暫く押し合いが続いたが徐々に魔獣が押されて姿が見えなくなった。
どうやらその後、諦めたのか別の場所に向かったらしい。
とりあえず危機を脱したようだ。その後で魔石は壊れた。やはり1回しか使えなかったようだ。
ダーヴィッドが戻ってきた。他の人から報告があったらしく、僕らは怒られることはなかったが、魔石を見つけたら隠さずに出すように注意を受けただけだった。
やはりダーヴィッドはやさしくなってきている気がする。
よく考えるとダーヴィッドの仕事は暗殺だ。誘拐ではない。もしかしたら赤ん坊の僕を暗殺する仕事だったが殺すことが出来ずに誘拐したのか?
監禁されているが、割と自由に動いているし、ご飯もきちんと食べている。恐らく年相応の体型に成長している。特別、酷い服を着ているわけでもない。3日に1回は体もお湯で拭いているから臭くはない。
もしかしたらダーヴィッドはそれほど悪い人間では無いのかも知れない。そう思いはじめたが、魔力枯渇に何度も陥ったことを考えると、それも肯定できない。
まあ、ダーヴィッドの事は考えるだけ無駄だな。
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