23 / 83
第2章 上級貴族の息子
2.7 料理人が来る
しおりを挟む
ようやくエリックとエリーが我が家にやって来た。レシピが書かれた木札や自作した調理器具も一緒に到着した。香辛料やジェルシートも運ばれてきたが、それらの大半は城へ運ばれた。
上級貴族の家の布団は綿が沢山使われた敷布団になっていた。だが長年使っていたせいかも知れないがジェルシートの方が寝心地が良い。
家族にもジェルシートの使い方を教えて試してもらったが、布団に下に敷いたり、上に敷いたり自分で硬さを調整して使っているようだ。やはり寝心地は向上するらしい。
到着の翌日にエリックとエリーから挨拶があった。
「坊ちゃま。このたびの私を救済、そしてお雇い頂き大変感謝しております。これからのあなた様へ料理を作らせて頂けること、栄誉に思っております。これからも精一杯頑張らせていただきます」
あの頃よりも上等の仕事着を着たエリックが余所行きの言葉で挨拶を言ってきた。すごい。こんな丁寧な言葉が使えるとは。かなり練習したのだろう。
「エリック、よろしくね。ここで働くために丁寧な挨拶も覚えて、ここでの生活は昔ほど自由は無いと思うけどそれ以上に得るものもあると思う。苦労もあると思うけれど頑張って働いて欲しい」
「はい。ここに来るために言葉使いも覚えました。お仕事頑張ります」
「頼むよ。エリーも、ここに来てくれたんだね」
「はい。父殿とは別れることになりましたが、坊ちゃまについて行った方がお菓子作りを出来そうだったので、誘っていただいてありがとうございます」
その後で、エリックとエリーの腕を家の料理長が確認したが、香辛料を使った調理やその他も味は抜群だが、包丁の技術が伴っていないらしい。完全な下働きではなく料理人にレシピを教えるために幾つかの料理を担当しつつ、料理技術を学ぶ事になった。
ようやく我が家で慣れた味のご飯が食べれる様になった。家族含め使用人達も急に味が変わりびっくりしていたが、全てがおいしくなったのでエリックとエリーは使用人達のあっという間に受け入れられた。やはり食は大事だ。
慣れるとエリーがお菓子作りを始めたいとおかあさまに申請していた。お菓子作りには砂糖が必要で、砂糖の使用許可はおかあさまがもっている。
ちょうどお茶会に向けて新作が欲しいと言う事だったので、エリーがお菓子作りに挑戦し始めた。天然酵母もまぜてケーキを作っていたがフワフワスポンジは無理のようだ。麦から精麦していれば、自分でもう少し白く出来たかもしれないが、小麦粉の質が思ったよりも悪いようだ。
盗賊達の館では、麦を水につけて柔らかくしてからコツコツと手作業で丁寧に表皮を削り、最後に石臼で挽いて白い上小麦粉を作り出した。
その後に、この失敗を反省し麦から上小麦粉を一生懸命作ったらしい。疲れたとエリーが言っていた。
白い小麦粉から作り出したスポンジケーキはかなり良いできだ。オーブンは料理長でなければ自在に操れ無いらしく、必ず習得するといきまいていた。
あまった小麦粉で、フワフワパンも焼いてくれた。
アイリはフワフワパンとスポンジを使ったケーキを気に入っていたが、手間がかかりすぎるのでなかなか作れ無い。
まあ、手作業では無理だよね。
そして持ってきた自作の調理器具が他の人も使いたいと一式を専門の人に作ってもらう事になった。
せっかく専門化が作るならと、自作では作れなかった調理器具も加えることにした。特にお菓子作りの調理器具がなかったので粉振るい、泡だて器、レモン絞り、おろしがね、マッシャーなど考えられる料理器具で家の中になかったものも頼む事にした。そして肝心の材料。もっと白い小麦粉が欲しかったので、商人が来た時に上小麦粉があるか聞いて見ることにした。なければ精麦機を買うことにした。お金は魔石を売ったので懐に余裕があるのだ。
「この貴族街の近くで商会を開かせていただいているバッカスと申します。本日は御用がおありだと、急ぎはせ参じました」
「急な呼び出しでごめんなさいね。息子が欲しいものがあるらしいので話しを聞いてあげて欲しいのよ」
「はじめましてバッカス。クレストリアと言います。わざわざ呼びつけて悪いね」
「いいえ、坊ちゃま。商品の扱いが無いものだとお聞きしております。こちらの用意が悪いのです。われらに説明の時間まで取っていただきありがとうございます。それでさっそくですがどの様な商品が御望みでしょうか」
「今日頼みたいのはおいしいお菓子を作るのに必要な器具です。料理に使うので細かい点はこちらの二人から説明してもらいます」
エリックが自分達で作った調理器具を一通り並べ、エリックと料理長が商人の傍仕えに説明をしていた。
幾つかの器具は下町で使われている似た物があるらしいが、量を統一したので全て作る事になった。
上級貴族の家の布団は綿が沢山使われた敷布団になっていた。だが長年使っていたせいかも知れないがジェルシートの方が寝心地が良い。
家族にもジェルシートの使い方を教えて試してもらったが、布団に下に敷いたり、上に敷いたり自分で硬さを調整して使っているようだ。やはり寝心地は向上するらしい。
到着の翌日にエリックとエリーから挨拶があった。
「坊ちゃま。このたびの私を救済、そしてお雇い頂き大変感謝しております。これからのあなた様へ料理を作らせて頂けること、栄誉に思っております。これからも精一杯頑張らせていただきます」
あの頃よりも上等の仕事着を着たエリックが余所行きの言葉で挨拶を言ってきた。すごい。こんな丁寧な言葉が使えるとは。かなり練習したのだろう。
「エリック、よろしくね。ここで働くために丁寧な挨拶も覚えて、ここでの生活は昔ほど自由は無いと思うけどそれ以上に得るものもあると思う。苦労もあると思うけれど頑張って働いて欲しい」
「はい。ここに来るために言葉使いも覚えました。お仕事頑張ります」
「頼むよ。エリーも、ここに来てくれたんだね」
「はい。父殿とは別れることになりましたが、坊ちゃまについて行った方がお菓子作りを出来そうだったので、誘っていただいてありがとうございます」
その後で、エリックとエリーの腕を家の料理長が確認したが、香辛料を使った調理やその他も味は抜群だが、包丁の技術が伴っていないらしい。完全な下働きではなく料理人にレシピを教えるために幾つかの料理を担当しつつ、料理技術を学ぶ事になった。
ようやく我が家で慣れた味のご飯が食べれる様になった。家族含め使用人達も急に味が変わりびっくりしていたが、全てがおいしくなったのでエリックとエリーは使用人達のあっという間に受け入れられた。やはり食は大事だ。
慣れるとエリーがお菓子作りを始めたいとおかあさまに申請していた。お菓子作りには砂糖が必要で、砂糖の使用許可はおかあさまがもっている。
ちょうどお茶会に向けて新作が欲しいと言う事だったので、エリーがお菓子作りに挑戦し始めた。天然酵母もまぜてケーキを作っていたがフワフワスポンジは無理のようだ。麦から精麦していれば、自分でもう少し白く出来たかもしれないが、小麦粉の質が思ったよりも悪いようだ。
盗賊達の館では、麦を水につけて柔らかくしてからコツコツと手作業で丁寧に表皮を削り、最後に石臼で挽いて白い上小麦粉を作り出した。
その後に、この失敗を反省し麦から上小麦粉を一生懸命作ったらしい。疲れたとエリーが言っていた。
白い小麦粉から作り出したスポンジケーキはかなり良いできだ。オーブンは料理長でなければ自在に操れ無いらしく、必ず習得するといきまいていた。
あまった小麦粉で、フワフワパンも焼いてくれた。
アイリはフワフワパンとスポンジを使ったケーキを気に入っていたが、手間がかかりすぎるのでなかなか作れ無い。
まあ、手作業では無理だよね。
そして持ってきた自作の調理器具が他の人も使いたいと一式を専門の人に作ってもらう事になった。
せっかく専門化が作るならと、自作では作れなかった調理器具も加えることにした。特にお菓子作りの調理器具がなかったので粉振るい、泡だて器、レモン絞り、おろしがね、マッシャーなど考えられる料理器具で家の中になかったものも頼む事にした。そして肝心の材料。もっと白い小麦粉が欲しかったので、商人が来た時に上小麦粉があるか聞いて見ることにした。なければ精麦機を買うことにした。お金は魔石を売ったので懐に余裕があるのだ。
「この貴族街の近くで商会を開かせていただいているバッカスと申します。本日は御用がおありだと、急ぎはせ参じました」
「急な呼び出しでごめんなさいね。息子が欲しいものがあるらしいので話しを聞いてあげて欲しいのよ」
「はじめましてバッカス。クレストリアと言います。わざわざ呼びつけて悪いね」
「いいえ、坊ちゃま。商品の扱いが無いものだとお聞きしております。こちらの用意が悪いのです。われらに説明の時間まで取っていただきありがとうございます。それでさっそくですがどの様な商品が御望みでしょうか」
「今日頼みたいのはおいしいお菓子を作るのに必要な器具です。料理に使うので細かい点はこちらの二人から説明してもらいます」
エリックが自分達で作った調理器具を一通り並べ、エリックと料理長が商人の傍仕えに説明をしていた。
幾つかの器具は下町で使われている似た物があるらしいが、量を統一したので全て作る事になった。
606
あなたにおすすめの小説
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
転生幼女は幸せを得る。
泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−
【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。
いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。
そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。
【第二章】
原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。
原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。
生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる