貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油

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第2章 上級貴族の息子

2.11 精麦機の改良

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 壷の契約内容も決まり、契約魔法が結ばれた。これで契約違反を起こすと罰金の支払いが強制的に行われるらしい。契約魔法には領主の許可が必要だから城に行くのかと思ったら家でサインをして契約を結び、城に転移陣で送っていた。後で城の文官が最終確認し、領主のサインが入るそうだ。
 子供教室が休みの日に精麦機(せいばくき)が納品された。
 精麦機はばらばらの状態で運び込まれ、頼んでいた職人が組み立ててくれた。僕はその様子を見ながら精麦機の仕組みを理解した。試し運転で正常に動くことを確認。動きなどの仕組みも理解した。僕の調べられる知識の中に同じ物はないけれど似た構造の物を見つけ出した。
 手動で動かすので大変な労力が必要になる。現在の精麦機は2回精麦をしてから市場にだすそうだ。貴族向けの小麦粉が3回だ。残念ながらそれ以上やってもこれ以上良質の小麦粉にはならない。細かい殻ついたままの小麦だ。
 念のために4回、5回と繰り返したが効果がなかった。やはり改良しなければこの機械ではこれ以上の白い小麦粉は手に入らない。
 次に日から工程を変更した。水に付けて柔らかくした麦で挑戦してもらったが、同じ3回で比べると少しだけ殻の残りが減ったが完全ではない。どうしても殻が残る。
 装置を開けて麦を剥く部分を一部変更してもらう様に職人に頼んだ。
 現代知識を元にそのまま説明すると金属を多用する装置になる。効果がありそうな形で石や木を組み合わせた物を提案した。
 重い研磨石を隙間ぴったりに作りこむと時間がかかる。耐久性は無いが焼き固た素焼きでテストをしてもらうことにした。
 僕は昼間は子供教室に行っているので帰ってきたらすぐに状況を確認。微調整が上手く行かない時に執事長が魔法便利な剤質を変更して隙間を埋めてくれたしてくれた。次の日までにその部分は職人が調整を終えていた。
 僕が夕食前まで精麦機の調整をしているので僕の世話係りになっている平民の娘が食事の差し入れを持ってくる。職人達が休憩にはいるので、僕は世話係りに連れられそのまま屋敷に戻される。綺麗な娘からの食事が運ばれた次の日は非常に仕事が進むという2次効果もあり、かなり早いペースで改良が進んだ。
 そうして職人や執事長が平民に積極的に手助けをしてくれたおかげで早々に殻が完全に無くなった小麦を作れる様になった。ただ、余りにも精麦の回数が多い。
 出来上がりの目標が見えたので、後は回数を減らす改良だ。レベルアップに入ると万能執事長が頑張ってくれ、魔法で硬めの材料に変形させたり柔らかくしたりして調整を繰り返し材料の良し悪しを判断し上段と下段で材料を変えるなどの試行錯誤を何度も繰り返す。そうする中で少ない回数で白くなる装置にたどり着いた。今回の事で、魔法が万能だと言う事がよくわかった。執事長が手伝ってくれなければ平民が少しづつ形を変更したのだろう。どれほどの時間がかかったかわからない。
 最終的には昔の仕組みとの併用か砥石の入れ替えを行う事で回数を減らせると言う結論になった。一つで全てをする事はできない。現状は機械をかなり変更してしまったので昔の装置には戻せなくなってしまった。つまりこの機械は砥石を入れ替えないと回数が減らない。
 使用人達は、この家で作るお菓子の量から考えれば砥石の入れ替えでも大変では無いと言ってくれたので、硬さや仕組みに応じて正式な装置を作り上げて改造が終了した。
 今後、大量に作ることがあればさらなる改善が必要だが、現状でお菓子を作ったり食事に使うだけなら十分なので満足だ。
 エリーがお菓子作りを頑張りますと宣言していたのでおかあさまが喜ぶお菓子を作ってくれるだろう。
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