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第2章 上級貴族の息子
2.21 専属文官と護衛
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城の図書館に行きたいと言ったら、手伝ってもらっている学生を正式に雇って自分の専任にすれば城の図書館に入れると言われた。つまり彼らが卒業するまではお預けということだ。
2人の態度は春からずっと執事長が入念に確認して、おとうさまとおかあさまに報告していたそうだ。そして執事長が2人を専属として雇っても問題ない働きだと進言してくれたそうだ。
さっそく正式に雇っても大丈夫なのか聞いてみた。
2人に話をしたら両手をあげて喜んでいた。領主一家に専任で雇われるのは光栄なことらしい。マルティエスが文官希望、護衛がヤットルッドになる。上位貴族に使えるのだから中級で良いのだが、領主一家と考えると今後上級貴族も必要になるそうだ。それは学園に行きだしてからでもよいだろうと、当面はこの二人に頑張ってもらう。
マルティエスは、植物を取ってくるだけではなく、自分の研究も行っていた。この冬の学院で卒業時に発表できるネタがあったと喜んでいた。
彼が集めていたのは土らしい。詳しくはわからないが領内の粘土をいろいろと採取して違いがあったらしい。陶磁器を作ることを趣味とする貴族が多いらしく、綺麗な表面になる陶磁器の粘土はとても好評らしく今回の採取のなかで良い土を見つけたそうだ。
ついでに採取した茎から取れる濃い青の液体や、赤の液体を陶磁器に塗り焼くと綺麗な色になった。
秋になり植物の採取は実を付けた植物に変わってきた。この実をすりつぶして試すと陶磁器の色をつける材料になる物が幾つかあった。
そして植物だけでなく、木の蜜も十分集まりいろいろな種類の蜜が集まってきた。
大体が普通の蜜で量も少ない。だが目的の蜜が取れた。1つはメイプルシロップ。気候がカナダに近いのであるような気がしていた。かなり薄めの色だったがこれは夏の時期にすでに用意した入れ物に溜まっていたらしいので秋までに2度目の収集をして貰ったのだ。2度目は数本同時に採取した。年代違いで採取したが若い木ほど色が薄く高齢の木は濃くなっているようだ。
そして領内にある3種類の魔木からも面白い蜜が取れた。1つは量がとても少ない。傷を付けるとすぐに修復してしまうそうだ。取れた蜜はとても良いにおいがした。鑑定で調べたらリラックス効果のあるお香だった。
二つ目の魔木からは透明度が高い琥珀が手に入った。春から秋で直系2cmほどに成長した琥珀が手に入った。こんな短期間でも琥珀を入手できるのだから魔木は面白い。ただ魔木は普通の木よりも修復する力が強いらしく取りに行った時には蜜の流出が止まっていたらしい。何もしなければ直径2cm程度の琥珀しか取れ無い。もっと大きい物を取るには一工夫必要だ。
最後の魔木からは白くて硬い蜜が取れた。そして暖めるどろッと液体状になる。
僕の魔力を流すと流したところが黒くなり、もう一度魔力を流すと白くなる。試しに執事長にもやってもらったが同じだった。魔力を流せば消えるが、最初に書いた周りの部分が黒く残る。とても使い心地が悪い。
その後、家で働いている下級貴族の侍女に試してもらうと変化が無かった。マルティエスが属性を分けて魔力を流せると言うので試してもらったら橙の土属性魔力を流すと黒くなる、黒くなったうえに青の水属性の魔力を流すと色が消えることがわかった。つまり、ペン先を土属性の魔石にすれば黒い文字が書けて、水属性の魔石でなぞれば消えるのだ。
なかなか便利な勉強道具だ。これも魔木なので一度で量は取れないが普通に使う板なら数枚分を作ることが出来るのでかなり便利な気がする。
商品化は僕の担当ではないので、とりあえず色々と書き溜めて、だれかの研究材料にとっておく。
集まった情報のまとめをしていたら、今年最初のお茶が納品された。
領主会議で使いたいとおかあさまが言ってきた。予想以上に量があったので自分の分を残しておかあさまにお茶を渡した。ついでに植物採取で手にいれた赤豆を使ったどらやきの作り方を教えた。砂糖が高いので餡子(あんこ)の甘みが少ないが僕はあまり甘く無い方が好きなので丁度良かったが、甘みが不足するならお好みでメイプルシロップをかけると良いとアドバイスした。
おかあさまはこのどらやきが気に入ったようだが、赤豆とメイプシロップが足りない。
おかあさまが採取の部隊を出して収穫してもらったようだ。領主会議で使う以上の豆が手に入ったので来年は新しい畑に植えてもらうつもりらしい。メイプルシロップは人が住む村からそれほど遠く無い位置に群生した木から採れるので狩人と下級貴族が一緒になり定期的に回収するようだ。収穫されたメイプルシロップはお菓子との相性がよく、口当たりがまろやかで砂糖よりおいしいお菓子になるようだ。
ついでに魔木の蜜も手にいれて欲しかったが、魔木は貴族が動かなければ簡単には入手できないらしい。残念だ。
2人の態度は春からずっと執事長が入念に確認して、おとうさまとおかあさまに報告していたそうだ。そして執事長が2人を専属として雇っても問題ない働きだと進言してくれたそうだ。
さっそく正式に雇っても大丈夫なのか聞いてみた。
2人に話をしたら両手をあげて喜んでいた。領主一家に専任で雇われるのは光栄なことらしい。マルティエスが文官希望、護衛がヤットルッドになる。上位貴族に使えるのだから中級で良いのだが、領主一家と考えると今後上級貴族も必要になるそうだ。それは学園に行きだしてからでもよいだろうと、当面はこの二人に頑張ってもらう。
マルティエスは、植物を取ってくるだけではなく、自分の研究も行っていた。この冬の学院で卒業時に発表できるネタがあったと喜んでいた。
彼が集めていたのは土らしい。詳しくはわからないが領内の粘土をいろいろと採取して違いがあったらしい。陶磁器を作ることを趣味とする貴族が多いらしく、綺麗な表面になる陶磁器の粘土はとても好評らしく今回の採取のなかで良い土を見つけたそうだ。
ついでに採取した茎から取れる濃い青の液体や、赤の液体を陶磁器に塗り焼くと綺麗な色になった。
秋になり植物の採取は実を付けた植物に変わってきた。この実をすりつぶして試すと陶磁器の色をつける材料になる物が幾つかあった。
そして植物だけでなく、木の蜜も十分集まりいろいろな種類の蜜が集まってきた。
大体が普通の蜜で量も少ない。だが目的の蜜が取れた。1つはメイプルシロップ。気候がカナダに近いのであるような気がしていた。かなり薄めの色だったがこれは夏の時期にすでに用意した入れ物に溜まっていたらしいので秋までに2度目の収集をして貰ったのだ。2度目は数本同時に採取した。年代違いで採取したが若い木ほど色が薄く高齢の木は濃くなっているようだ。
そして領内にある3種類の魔木からも面白い蜜が取れた。1つは量がとても少ない。傷を付けるとすぐに修復してしまうそうだ。取れた蜜はとても良いにおいがした。鑑定で調べたらリラックス効果のあるお香だった。
二つ目の魔木からは透明度が高い琥珀が手に入った。春から秋で直系2cmほどに成長した琥珀が手に入った。こんな短期間でも琥珀を入手できるのだから魔木は面白い。ただ魔木は普通の木よりも修復する力が強いらしく取りに行った時には蜜の流出が止まっていたらしい。何もしなければ直径2cm程度の琥珀しか取れ無い。もっと大きい物を取るには一工夫必要だ。
最後の魔木からは白くて硬い蜜が取れた。そして暖めるどろッと液体状になる。
僕の魔力を流すと流したところが黒くなり、もう一度魔力を流すと白くなる。試しに執事長にもやってもらったが同じだった。魔力を流せば消えるが、最初に書いた周りの部分が黒く残る。とても使い心地が悪い。
その後、家で働いている下級貴族の侍女に試してもらうと変化が無かった。マルティエスが属性を分けて魔力を流せると言うので試してもらったら橙の土属性魔力を流すと黒くなる、黒くなったうえに青の水属性の魔力を流すと色が消えることがわかった。つまり、ペン先を土属性の魔石にすれば黒い文字が書けて、水属性の魔石でなぞれば消えるのだ。
なかなか便利な勉強道具だ。これも魔木なので一度で量は取れないが普通に使う板なら数枚分を作ることが出来るのでかなり便利な気がする。
商品化は僕の担当ではないので、とりあえず色々と書き溜めて、だれかの研究材料にとっておく。
集まった情報のまとめをしていたら、今年最初のお茶が納品された。
領主会議で使いたいとおかあさまが言ってきた。予想以上に量があったので自分の分を残しておかあさまにお茶を渡した。ついでに植物採取で手にいれた赤豆を使ったどらやきの作り方を教えた。砂糖が高いので餡子(あんこ)の甘みが少ないが僕はあまり甘く無い方が好きなので丁度良かったが、甘みが不足するならお好みでメイプルシロップをかけると良いとアドバイスした。
おかあさまはこのどらやきが気に入ったようだが、赤豆とメイプシロップが足りない。
おかあさまが採取の部隊を出して収穫してもらったようだ。領主会議で使う以上の豆が手に入ったので来年は新しい畑に植えてもらうつもりらしい。メイプルシロップは人が住む村からそれほど遠く無い位置に群生した木から採れるので狩人と下級貴族が一緒になり定期的に回収するようだ。収穫されたメイプルシロップはお菓子との相性がよく、口当たりがまろやかで砂糖よりおいしいお菓子になるようだ。
ついでに魔木の蜜も手にいれて欲しかったが、魔木は貴族が動かなければ簡単には入手できないらしい。残念だ。
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