64 / 83
第3章 学園編1
3.17 お披露目
しおりを挟む
今日は、学園に通う王子や王女達と領主会議に向かっている。どうやら今日が僕のお披露目らしい。夕方の領主会議で紹介され、そのまま夜会に少し出席する。
領主会議に行くと久しぶりにアンゼルム様を見かけた。あちらからにこりと笑顔で返答があった。
まず王様から僕の事が紹介した。おばあさまは後見人として僕の隣に立っている。
「陛下、なぜこの時期にヴィルヘルム王子とは別の王子を立てるのですか。その真意をお聞きしたい。我々もそれによって今後の対応を考える必要があります」
「クレストリアが13歳になるまでは今の状態を維持するつもりだが、その時にヴィルヘルムの王位継承順位を下げようと思っておる。体調の事も理由だが。魔力量は圧倒的にクレストリアの方が優秀なのだ」
「多少の優劣ならば、前王の子であるヴィルヘルム王子をたてる。それが貴方を王に押した私との盟約だったはずだ」
第1夫人 アマーリエエリザの親で最大領地を持つクライスバーク領の領主が厳しい目で陛下をにらんだ。陛下よりも年上でこの場を仕切っているのが陛下ではなくこの人だと言っても過言ではないぐらいの雰囲気だ。
「多少ならばと言う約束通りだ。アンゼルム、クリスティーナ、今のクレストリアの魔力量がどのくらいか教えられるか」
「はい、陛下。去年の段階で私の2倍。今は3倍にも届こうとしていると思われます」
「なんだと、アンゼルムは若手領主の中で最高位に近い魔力量であっただろう、だから王家かのクリスティーナを嫁に出した。それを今の段階で上回ると言うのか」
そう言われて、鑑定で全体を見回していて結果を比べるとわかった。確かにアンゼルム様が少しだけ他の領主よりも魔力量が多い。そしてこの威張っているクライスバーク領の領主はアンゼルム様よりもさらに魔力量が多い。陛下と同じ全属性で魔力量も多いのだから、そもそも陛下を押して王家の政変を納めなずに自分が王位につくことも可能だったのだろう。
「クレストリアの能力は、その片鱗を見せ始めているが、もうしばらくは様子を見たいと考えておる。予定通りならば13歳になった段階で正式な養子とし王太子候補とするつもりだ」
言い切ったな。一呼あいた後でクライスバーク領の領主が声を出す。
「御意。陛下のお心のままに」
そして、クライスバーク領の領主が急に態度を改めて、臣下の礼をとった。
あれ、もしかして演技ですか。そりゃそうだ。こんな場でもめるはずないか。
その後は王子、王女を含めた食事会が行われ、食事が終わると僕らは学園の領に帰された。すこしだけクリスティーナ様と話した時に、属性判定する装置で魔力を測ったら持っていなかった属性にうっすらと色がにじみ出てきたらしい。小さい方の像は魔力を注ぎ終わるころらしい。
魔石を作った時にまだ虹色にならないが効果が出てきているので頑張ると言っていた。
クリスティーナ様で結果も見えてきた。アンゼルム様は、領主会議中は領地に魔力を使えないのでこの期間の間に白の属性を付けるために像へ魔力を奉納するそうだ。回復薬も用意しているらしい。
アンゼルム様からは僕の護衛で中央に来てもらったレイマルティナ・ファルケンマイヤーに同じ同級生のヴィエラシャルル・サンジェストの家から婚約の打診が来ていると教えてもらった。今年の学園が終わったらお互いの家同士で話し合いがあるらしい。
領に戻ってから、レイマルティナにその話をしたら、今回学園に行く前から話が出てきていたらしい。結婚は親が決めるので、そこまで嫌な相手でなければ断ることはないらしく、ずいぶんとあっさりとしているなと思ったが、夜にビアンカが休みの日にはデートだと喜んで出かけてますよと教えてくれた。
その日の夜に布団の中で領主会議でも僕が王になると話されていたことを思い出す。
どうしてこうなったのだろうかと疑問に思う。そして逃げる事の出来ない運命を恨む。
では幼い時に死んだ方がましだったのかと言えばそういうわけでもない。
少なくとも僕の死んだ記憶にない父親はそのための僕を生かしてくれたはずだ。その父親の意志を尊重するためにも運命を受け入れるべきなのだろうか。この寮で過ごす中で、時折王女達と話した時にも思ったが、僕は幼少期に王となるような教育を受けていないこともあり、今の僕は民に対する重い責任感や使命を持っていない。そういった意識がほとんど無い。聖礼式以降で領主候補生として教育を受け、領民を幸せにしなければと思うようになっては来たが、国を背負うような意識は無い。他領の貴族の為に何かをする気も全く起きない。
こんな状態で王を目指して良いのか疑問だ。だが、周りの期待もあり裏切ることは良くないように感じている。覚悟は無いが亡くなった父親の期待を裏切ることがないように生きたいとは思っている。
結局、いくら悩んでも明確な答えは無い。明日急に王になるわけでもない。まだだからこれからなのだろう。とりあえずすぐに逃げ出す決意も無く、結局は流れに任せることにしようと思った。
領主会議に行くと久しぶりにアンゼルム様を見かけた。あちらからにこりと笑顔で返答があった。
まず王様から僕の事が紹介した。おばあさまは後見人として僕の隣に立っている。
「陛下、なぜこの時期にヴィルヘルム王子とは別の王子を立てるのですか。その真意をお聞きしたい。我々もそれによって今後の対応を考える必要があります」
「クレストリアが13歳になるまでは今の状態を維持するつもりだが、その時にヴィルヘルムの王位継承順位を下げようと思っておる。体調の事も理由だが。魔力量は圧倒的にクレストリアの方が優秀なのだ」
「多少の優劣ならば、前王の子であるヴィルヘルム王子をたてる。それが貴方を王に押した私との盟約だったはずだ」
第1夫人 アマーリエエリザの親で最大領地を持つクライスバーク領の領主が厳しい目で陛下をにらんだ。陛下よりも年上でこの場を仕切っているのが陛下ではなくこの人だと言っても過言ではないぐらいの雰囲気だ。
「多少ならばと言う約束通りだ。アンゼルム、クリスティーナ、今のクレストリアの魔力量がどのくらいか教えられるか」
「はい、陛下。去年の段階で私の2倍。今は3倍にも届こうとしていると思われます」
「なんだと、アンゼルムは若手領主の中で最高位に近い魔力量であっただろう、だから王家かのクリスティーナを嫁に出した。それを今の段階で上回ると言うのか」
そう言われて、鑑定で全体を見回していて結果を比べるとわかった。確かにアンゼルム様が少しだけ他の領主よりも魔力量が多い。そしてこの威張っているクライスバーク領の領主はアンゼルム様よりもさらに魔力量が多い。陛下と同じ全属性で魔力量も多いのだから、そもそも陛下を押して王家の政変を納めなずに自分が王位につくことも可能だったのだろう。
「クレストリアの能力は、その片鱗を見せ始めているが、もうしばらくは様子を見たいと考えておる。予定通りならば13歳になった段階で正式な養子とし王太子候補とするつもりだ」
言い切ったな。一呼あいた後でクライスバーク領の領主が声を出す。
「御意。陛下のお心のままに」
そして、クライスバーク領の領主が急に態度を改めて、臣下の礼をとった。
あれ、もしかして演技ですか。そりゃそうだ。こんな場でもめるはずないか。
その後は王子、王女を含めた食事会が行われ、食事が終わると僕らは学園の領に帰された。すこしだけクリスティーナ様と話した時に、属性判定する装置で魔力を測ったら持っていなかった属性にうっすらと色がにじみ出てきたらしい。小さい方の像は魔力を注ぎ終わるころらしい。
魔石を作った時にまだ虹色にならないが効果が出てきているので頑張ると言っていた。
クリスティーナ様で結果も見えてきた。アンゼルム様は、領主会議中は領地に魔力を使えないのでこの期間の間に白の属性を付けるために像へ魔力を奉納するそうだ。回復薬も用意しているらしい。
アンゼルム様からは僕の護衛で中央に来てもらったレイマルティナ・ファルケンマイヤーに同じ同級生のヴィエラシャルル・サンジェストの家から婚約の打診が来ていると教えてもらった。今年の学園が終わったらお互いの家同士で話し合いがあるらしい。
領に戻ってから、レイマルティナにその話をしたら、今回学園に行く前から話が出てきていたらしい。結婚は親が決めるので、そこまで嫌な相手でなければ断ることはないらしく、ずいぶんとあっさりとしているなと思ったが、夜にビアンカが休みの日にはデートだと喜んで出かけてますよと教えてくれた。
その日の夜に布団の中で領主会議でも僕が王になると話されていたことを思い出す。
どうしてこうなったのだろうかと疑問に思う。そして逃げる事の出来ない運命を恨む。
では幼い時に死んだ方がましだったのかと言えばそういうわけでもない。
少なくとも僕の死んだ記憶にない父親はそのための僕を生かしてくれたはずだ。その父親の意志を尊重するためにも運命を受け入れるべきなのだろうか。この寮で過ごす中で、時折王女達と話した時にも思ったが、僕は幼少期に王となるような教育を受けていないこともあり、今の僕は民に対する重い責任感や使命を持っていない。そういった意識がほとんど無い。聖礼式以降で領主候補生として教育を受け、領民を幸せにしなければと思うようになっては来たが、国を背負うような意識は無い。他領の貴族の為に何かをする気も全く起きない。
こんな状態で王を目指して良いのか疑問だ。だが、周りの期待もあり裏切ることは良くないように感じている。覚悟は無いが亡くなった父親の期待を裏切ることがないように生きたいとは思っている。
結局、いくら悩んでも明確な答えは無い。明日急に王になるわけでもない。まだだからこれからなのだろう。とりあえずすぐに逃げ出す決意も無く、結局は流れに任せることにしようと思った。
433
あなたにおすすめの小説
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。
いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。
そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。
【第二章】
原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。
原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
転生幼女は幸せを得る。
泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−
生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる